【薩長土肥の「肥」】幕末のトップランナー!肥前藩主・鍋島直正の先進的改革
2018年2月8日 更新

【薩長土肥の「肥」】幕末のトップランナー!肥前藩主・鍋島直正の先進的改革

明治維新期に薩長と肩を並べた勢力・肥前。その藩主だった鍋島直正は「肥前の妖怪」と呼ばれ恐れられた傑物でした。時代のはるか先を見据えていた彼が行った改革は、どの藩よりも先進的だったのです。そんな彼の功績とゆかりの地をご紹介したいと思います。

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改革に踏み出せたきっかけは佐賀城の火災!?

鍋島直正

鍋島直正

明治維新前は「斉正」、隠居後は「閑叟」と号した鍋島直正。
天保元年(1830)、17歳の若さで藩主となった直正ですが、スタートからいきなり波乱でした。
というのも、当時の肥前佐賀藩の財政は火の車だったのです。フェートン号事件後、管轄していた長崎の警備に資金を割かねばならず、父・斉直の贅沢生活、台風の被害など、出費ばかりでした。そして、藩主となり国へ向かおうとした直正の行列に、金貸しの商人たちが押しかけてくるという事態になったのです。
フェートン号事件

フェートン号事件

文化5年(1808)オランダ船を追って長崎港に侵入した英国軍艦フェートンが、オランダ商館員を捕らえ、長崎奉行に食糧や薪水を強要した事件。責任をとって長崎奉行松平康英は自刃。これ以降、幕府は異国船打払令を出して鎖国と海防の強化に力を注ぐこととなります。
また、視察に出かけた直正はオランダ船に乗る機会を得、外国の軍事技術に驚愕し、同時に危機感を抱きます。その後、佐賀城の二の丸が全焼すると再建に踏み切り、父に影響されずに自ら藩政改革に乗り出したのでした。
佐賀城趾(佐賀県佐賀市)の鯱の門と続櫓

佐賀城趾(佐賀県佐賀市)の鯱の門と続櫓

via 写真提供:一般社団法人 佐賀県観光連盟
直正の居城・佐賀城は、元々龍造寺氏所有だったものを改修・拡張したものです。周りに樹木や堀が巡らされており、「沈み城」の別名を持ちます。天保9年(1838)に直正によって本丸が再建されますが、明治初期に佐賀の乱で大半を失ってしまいました。
現在は、表門である「鯱の門」や藩主の居室「御座間」が残ります。
佐賀城本丸歴史館

佐賀城本丸歴史館

via 写真提供:一般社団法人 佐賀県観光連盟
直正によって再建された本丸御殿を復元した佐賀城本丸歴史館。幕末・維新期の佐賀をテーマに、佐賀城の歴史や佐賀藩の科学技術、佐賀が輩出した偉人について、紹介されています。
また館内では、45mもの畳敷きの長い廊下や、320畳の大広間が広がり、心地よい和空間を体感することができますよ。

直正が行った近代化政策

鍋島直正

鍋島直正

日本人が撮影した写真の中では、島津斉彬の次に古いといわれている写真。
佐賀城本丸再建をきっかけに、直正は積極的に藩の財政改革と近代化に乗り出します。
多額の借金はほぼ棒引きさせ、産業振興と外国との交易に尽力し、これによって財政も上向きになりました。

弘道館で人材育成!

 弘道館記念碑(佐賀県佐賀市)

弘道館記念碑(佐賀県佐賀市)

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