薩長同盟締結の舞台にもなった薩摩藩家老・小松帯刀ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第19回】
2018年8月16日 更新

薩長同盟締結の舞台にもなった薩摩藩家老・小松帯刀ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第19回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第19回は、薩摩藩家老・小松帯刀(こまつ・たてわき)ゆかりの地。若くして家老に抜擢され、藩政に欠かせない人物だった帯刀。あの薩長同盟が結ばれたのも帯刀の寓居でした。今回はその舞台にもなった京都・烏丸通りにある帯刀と薩摩藩ゆかりの史跡をご紹介します。

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薩摩藩家老・小松帯刀

小松帯刀肖像

小松帯刀肖像

小松清廉(きよかど)、「帯刀」は通称です。
幕末薩摩の政局に欠かせないのが、薩摩藩の家老だった小松帯刀。重要な役割を担いながらも、少し前までは全くといっていいほど知られていませんでした。
転機が訪れたのは、2008年の大河ドラマ「篤姫」。瑛太さん演じる小松帯刀によって、世間にその名が知られたのは記憶に新しいですね。
小松家墓所にある顔出しパネル

小松家墓所にある顔出しパネル

こちらは鹿児島の小松家墓所(園林寺跡)にある顔出しパネル。
大河ドラマ「西郷どん」では町田啓太さんが演じられていますが、写真はドラマ放送前だったので瑛太さんになっています。
via 提供:小栗さくら

優秀すぎて多忙

薩摩藩の国父・島津久光は若手の人材を多く抜擢した人物でした。帯刀もその一人です。

28歳の若さで家老になった帯刀は、同時期に御軍役掛、琉球産物方掛、造士館演武館掛、琉球掛、唐物取扱掛…その他諸々の掛に任じられています。藩政に欠かせない人物だったことは分かりますが、体が丈夫でない帯刀が心配になってくるレベルの役職の多さですよね。

イギリスの外交官・アーネスト・サトウが「小松は私の知っている日本人の中で一番魅力のある人物」と評した小松帯刀。
今回はその小松帯刀と薩摩藩ゆかりの史跡を、京都・烏丸通りにしぼって紹介します。

薩摩藩と公家・近衛家

京都御所

京都御所

via 提供:小栗さくら
薩摩藩と深い関わりのある公家といえば「近衛家」です。

島津家の先祖が近衛家に仕えていたことから、両家の関係は長く続いていきました。幕末には、篤姫が将軍に輿入れする時、近衛家の養女になっていたことをご存知の方も多いのではないでしょうか。
それだけでなく、近衛家は薩摩と朝廷の橋渡し役もしていたので、幕末の薩摩藩とは切っても切れない関係なのですね。

文久2年(1862)4月、島津久光が京に入り近衛邸を訪れたときには、帯刀はそれを迎えるため先に近衛邸に入りました。
御所北西にある近衛邸跡周辺

御所北西にある近衛邸跡周辺

近衛邸は糸桜が有名なので、桜の時期にぜひ!
via 提供:小栗さくら
帯刀は近衛家でお目見得を許され、盃や人形を頂戴したことなどを家族宛に記しています。
多忙な中でも、妻に手紙を欠かさないところに出来る男を感じますね。「湯治に出かけるならしっかり入湯するといい」とか「さぞ寂しいだろう」とか「こちらは寒いが私はとても元気だ」といった細やかな手紙を何度も出している帯刀。
そうした細やかさは、京での政治においても大いに発揮されていたことでしょうね。

禁門の変

乾御門

乾御門

via 提供:小栗さくら
その近衛邸のそばにあるのが、乾御門。「西郷どん」で放送された禁門の変(蛤御門の変)の回にも出てきましたね。元治元年(1864)のこの戦いでは、薩摩と会津が協力して長州と戦いました。

帯刀はこの時の戦況を記した書状を大久保利通宛に出しています。それによると、薩摩はこの乾御門と天竜寺に兵を分けて派遣しようとしたところ、会津が守っていた蛤御門が破られて公家の屋敷門前まで長州兵が押し寄せてきた、とあります。
蛤御門

蛤御門

via 提供:小栗さくら
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小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

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