薩長同盟締結の舞台にもなった薩摩藩家老・小松帯刀ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第19回】
2018年8月16日 更新

薩長同盟締結の舞台にもなった薩摩藩家老・小松帯刀ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第19回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第19回は、薩摩藩家老・小松帯刀(こまつ・たてわき)ゆかりの地。若くして家老に抜擢され、藩政に欠かせない人物だった帯刀。あの薩長同盟が結ばれたのも帯刀の寓居でした。今回はその舞台にもなった京都・烏丸通りにある帯刀と薩摩藩ゆかりの史跡をご紹介します。

小栗さくら小栗さくら

乾御門や蛤御門のある烏丸通りでは大きな戦いが繰り広げられました。

このとき帯刀は、一橋慶喜の参内にも同行していたといいます。藩内外からの信頼を得た帯刀は、幕末の薩摩藩に欠かせない人物となっていたのですね。のちに坂本龍馬は、天下の人物を評した中で、薩摩藩では「小松と西郷」としていますし、勝海舟も帯刀に会う前からその評判を耳にしていたほどだったようです。

禁門の変での働きによって、帯刀は島津久光父子から越中守正俊の刀と、馬一頭を賜りました。さらに役料加増の達しも受けましたが、それは辞退したのだとか。
蛤御門

蛤御門

門の梁には銃痕らしき痕が残っています。
via 提供:小栗さくら
清水谷家の椋(むく)

清水谷家の椋(むく)

禁門の変のとき、長州藩士・来島又兵衛がこの木の付近で戦死したという言い伝えがあります。「西郷どん」では、長州力さんが又兵衛を演じられて話題になりましたね!
via 提供:小栗さくら

同志社大学は薩摩藩邸跡

龍馬も訪れた薩摩藩・二本松藩邸跡

龍馬も訪れた薩摩藩・二本松藩邸跡

via 提供:小栗さくら
錦小路の藩邸に代わり使われたのが、御所に近い二本松藩邸。現在は同志社大学の今出川キャンパスになっています。写真は烏丸通りに面した場所ですが、角の今出川通りを挟んだ向こうは近衛邸です。そんな位置関係からも両者のつながりが感じられる気がしますね。

薩長同盟の事前会合の場所として知られるだけでなく、新島八重の兄・山本覚馬が収容された場所でもあります。

薩長同盟が結ばれた帯刀の寓居!

小松帯刀寓居跡

小松帯刀寓居跡

via 提供:小栗さくら
慶応2(1866)年1月22日といえば薩長同盟(薩長盟約)が結ばれた日(21日説もあり)。
坂本龍馬や中岡慎太郎を介して結ばれたこの同盟は、近年では倒幕のためのものではなく、対幕府(一会桑)に薩長が協力して事に当たるためのものだったとされています。

同盟締結の場所は、近衛家別邸で小松帯刀の寓居「御花畑」とされてきましたが、その場所は諸説あり分かっていませんでした。
ところが2016年、新たな資料が確認され、鞍馬口駅近くが「御花畑屋敷」だと発表されたのです。
近衛家別邸・御花畑御屋敷碑

近衛家別邸・御花畑御屋敷碑

via 提供:小栗さくら
薩長同盟というと坂本龍馬の活躍がよく話されますよね。そんな龍馬は、元治元年(1864)、神戸海軍操練所の廃止により行き場をなくしたとき、帯刀や西郷によって薩摩藩邸で世話になっていたり、翌慶応元年(1865)の亀山社中発足にも帯刀の力を借りています。龍馬が薩摩に訪れた時、小松家別邸に宿泊したことも有名ですよね。

また、同年薩摩が長州に代わり武器の調達をしたとき、帯刀は「今後も力の及ぶだけ、いかようにも尽力する」として、長州人を非常に喜ばせています。

薩長同盟は、帯刀のこれまでの様々な立ち回りが活きた結果ともいえるのではないでしょうか。
薩長同盟所縁之地碑

薩長同盟所縁之地碑

こちらは別角度から撮った碑。昨年建ったばかりなので真新しいですね。
via 提供:小栗さくら
御花畑屋敷は、薩摩藩二本松藩邸から烏丸通り沿いに歩いても行けますし、時間のない方は、地下鉄烏丸線「鞍馬口」で降りればすぐですよ。現在はフランジパニというカフェになっています。
小松帯刀や西郷隆盛、木戸孝允ら錚々たるメンバーに思いを馳せてお茶をするのも良いかもしれませんね。

幻の宰相・小松帯刀をめぐる京の旅

32 件

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

関連する記事 こんな記事も人気です♪

貧乏公家から維新の十傑へ!異色のお公家様・岩倉具視

貧乏公家から維新の十傑へ!異色のお公家様・岩倉具視

大河ドラマ「西郷どん」では笑福亭鶴瓶さんが演じる岩倉具視。それだけでも何やら性格にクセがありそうな気がしますが、歴史に残る彼はどんな人物だったのでしょうか。武士ではなく公家として明治維新を成し遂げた彼の人生とゆかりの地をご紹介します。
「西郷どん」で話題!西郷隆盛と入水した月照の最期の地

「西郷どん」で話題!西郷隆盛と入水した月照の最期の地

大河ドラマ『西郷どん』では、その優雅な姿に西郷隆盛が目を奪われた僧・月照。歌舞伎役者の尾上菊之助さんの演技も話題になっています。2人は後に錦江湾に身を投げ、運命を共にしようとするのですが、結末は悲しいものでした。月照の最期の地と共に、京都・清水寺成就院の住職だった彼の生涯を紹介します。
過激すぎ!?西郷の友・有馬新七と薩摩藩の「寺田屋事件」

過激すぎ!?西郷の友・有馬新七と薩摩藩の「寺田屋事件」

大河ドラマ『西郷どん』にも登場している有馬新七ですが、文久2年(1862)4月23日、彼は京都の寺田屋で最期を遂げました。この寺田屋は坂本龍馬も襲われた宿ですが、今回ご紹介する寺田屋事件は龍馬の話とはまた別物。今回は有馬新七の生涯と寺田屋事件、そのゆかりの地についてご紹介します。
西郷隆盛の貴重な詩書や肖像画が見られる!「大西郷展」が京都・霊山歴史館で開催中

西郷隆盛の貴重な詩書や肖像画が見られる!「大西郷展」が京都・霊山歴史館で開催中

明治維新の立役者、西郷隆盛に関する史料で紹介する通年特別展「大西郷展」が、幕末維新ミュージアム「霊山歴史館」(京都府)で開催されています。3月18日(日)までの第1期は「西郷隆盛と薩摩藩」と題し、西郷が京都で活躍した時代や西南戦争の模様を約100点の史料で紹介。幕末ファンはもちろん、大河ドラマ「西郷どん」がより楽しめる、その見どころをご紹介します!
2018年大河ドラマ『西郷どん』ゆかりの地まとめ

2018年大河ドラマ『西郷どん』ゆかりの地まとめ

2018年NHK大河ドラマ『西郷どん』。主役の西郷隆盛ゆかりの地といえば薩摩(鹿児島県)が有名ですが、幕末維新の舞台・京都や東京など、その軌跡は全国各地に残っています。また明治維新150年の今年、西郷だけでなく幕末志士たちゆかりの地では記念イベントや施設が続々誕生。今までたくさん掲載した「西郷どん」関連記事をまとめました。今年の歴史旅の参考にどうぞ!
【西郷のドタキャンで桂が激怒!?】歴史を大きく変えた世紀の盟約「薩長同盟」

【西郷のドタキャンで桂が激怒!?】歴史を大きく変えた世紀の盟約「薩長同盟」

慶応2年(1866)1月21日に締結された薩長同盟。当時は犬猿の仲だった薩摩と長州を、坂本龍馬らの仲立ちによって結ばれた同盟は、幕末のみならず日本の歴史においてとても大きな出来事でした。しかし、下関での会談では西郷隆盛がドタキャンして桂小五郎を怒らせるなど、なかなか大変だったようです。今回は薩長同盟締結に至るまでと、ゆかりの地をご紹介します。
2018年大河ドラマ「西郷どん」のロケ地になるかも?西郷隆盛ゆかりの地

2018年大河ドラマ「西郷どん」のロケ地になるかも?西郷隆盛ゆかりの地

2018年に放送予定の大河ドラマは西郷隆盛を主人公とした「西郷どん」に決まりました。西郷隆盛といえば薩摩の偉人ですが、活躍の舞台は日本各地に存在します。今回は一足先に、大河ドラマのロケ地になるであろう西郷隆盛ゆかりの場所をご紹介します。
徳川家康から慶喜まで…江戸時代の始まりと終わりを見届けた京都の城・二条城【月刊 日本の城】

徳川家康から慶喜まで…江戸時代の始まりと終わりを見届けた京都の城・二条城【月刊 日本の城】

webサイト「日本の城写真集」の管理人・けいすけが、日本の名城の見どころ、撮りどころを徹底的に紹介する連載「月刊 日本の城」。第14回は江戸幕府の京都の拠点・二条城です。現在の二条城は関ヶ原合戦に勝利した徳川家康が慶長8(1603)年に築いたのが始まり。江戸幕府の始まりと終わりを見届けた二条城のおすすめポイントを写真を中心に紹介します。
龍馬も登った!「西郷どん」最終章メインビジュアルの撮影地・高千穂峰と霧島神宮の歴史

龍馬も登った!「西郷どん」最終章メインビジュアルの撮影地・高千穂峰と霧島神宮の歴史

NHK大河ドラマ「西郷どん」が、いよいよ大詰めとなる最終章「明治編」へと突入します。先日、そのメインビジュアルが発表されましたが、撮影地に選ばれたのが鹿児島県と宮崎県の県境にそびえる高千穂峰。西郷隆盛と大久保利通を演じる鈴木亮平さんと瑛太さん、そして大勢のスタッフが、わざわざ本格的な登山を行ってまで撮影を行ったこだわりの聖地、高千穂峰とは?
「人斬り」半次郎は真実?最後まで西郷と歩んだ桐野利秋ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第22回】

「人斬り」半次郎は真実?最後まで西郷と歩んだ桐野利秋ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第22回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第22回は、中村半次郎こと桐野利秋(きりの・としあき)ゆかりの地。西郷の側近として西南戦争で戦い、「人斬り半次郎」という名でも有名な桐野。しかし本当に“人斬り”と恐れられるような人物だったのか?桐野が生まれ、最後の戦いをした鹿児島の史跡とともに、その人生を追ってみました。