【会津と土佐、衝突の危機?】明保野亭事件の悲劇
2018年7月13日 更新

【会津と土佐、衝突の危機?】明保野亭事件の悲劇

1864年7月13日、京都で起こった明保野亭事件。これは実に奇妙な事件であり、同時に悲しい結末を迎えた事件でもあります。当事者は、新選組・会津藩・土佐藩。激動の幕末で起きてしまった明保野亭事件の概要とその舞台となった明保野亭をご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

明保野亭事件とは?

明保野亭がある三年坂(産寧坂)

明保野亭がある三年坂(産寧坂)

池田屋事件からわずか5日後の元治元年6月10日(1864年7月13日)。残党狩りをしていた新選組は、東山の「明保野亭」に長州の浪士がいるとの情報を得てその場に急行しました。

新選組が踏み込むと、中にいた武士が逃げようとしたため、新選組の応援として派遣されていた会津藩士・柴司が槍でその背中を突き、傷を負わせたのです。
ところがその武士は、「自分は長州の者ではなく、土佐藩士の麻田時太郎だ」と名乗ったため、新選組の面々はその場で彼を解放しました。

事情を聞いた会津藩は、柴の行為は職務遂行をしただけのこととしてお咎めなしの処分を下したのですが、土佐藩は麻田に対して切腹を申し付けてしまったのです。「逃げようとした上に背中に傷を負うとは、まさに『士道不覚悟』!」というのがその理由でした。

苦悩の松平容保、そして・・・

松平容保

松平容保

会津藩としては「え、そこまでやるの!?」といった感じでした。
このことで藩主・松平容保は苦悩します。というのも、会津藩と土佐藩は公武合体路線でそこそこうまくやっていたのですが、麻田の切腹によって土佐藩の一部強硬派が「会津に報復すべし!」と言いだしたのです。

このままでは土佐藩との関係も崩れてしまう、しかし、一旦は柴の行為を正当と裁いた以上、切腹を申し付けることは難しい・・・容保は悩みました。

そこで、柴は自ら切腹することを決断したのでした。会津と土佐の衝突を避けるなら、自分の命を差し出すしかないと決心したのです。
兄に介錯され自決した柴の葬儀には、多くの会津藩士や新選組隊士が訪れ、その死を悼みました。
こうして、会津藩と土佐藩の衝突は避けられたのです。松平容保は、切腹した柴の兄に別家を興させ、忠義に報いたといいます。

現在の明保野亭

現在の明保野亭

現在の明保野亭

via 撮影:ユカリノ編集部
旅籠と料亭を兼ねていた明保野亭は、清水の三年坂(産寧坂)にあります。本来の店は今のものよりも北東にあったと言われており、坂本龍馬も常宿にしていたそうですよ。このことからも、志士の密談に使われていたと考えられて新選組に踏み込まれたのでしょう。
人気の「竜馬御膳」

人気の「竜馬御膳」

※写真は取材時のものなので、最新の情報とは異なる可能性があります。
via 撮影:ユカリノ編集部
現在の明保野亭は、京料理や湯葉料理で人気の店となっています。中でも、歴史ファンにおすすめなのが「竜馬御膳」。炊き合わせや焼き物、お造り、天ぷら、蒸し物、デザートなどフルコースで堪能でき、大満足のボリュームとなっています。また、2階には幕末期の襖も飾られていますよ。
会津藩と土佐藩、両者がもう少し密に連絡を取っていれば、麻田も柴も死なずに済んだのかもしれません。しかし目まぐるしく変わる情勢では、難しい選択だったのでしょう。
京都旅行ではぜひ、明保野亭を訪れてみて下さいね。

(xiao)
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