鹿児島の歴史を正しく楽しく!仙巌園学芸員・岩川氏【ゆかりの案内人|第1回】
2018年7月5日 更新

鹿児島の歴史を正しく楽しく!仙巌園学芸員・岩川氏【ゆかりの案内人|第1回】

ご当地で歴史を伝え続けている「人」に注目する特集。第1弾は、2018年大河ドラマ『西郷どん』の舞台、鹿児島県にある名勝 仙巌園の学芸員・岩川拓夫氏に注目。自身も鹿児島出身である岩川氏は、地元鹿児島の歴史を新しい形で発信することをモットーに幅広く活動している。その活動内容や、今後の展望を教えていただきました。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

鹿児島の歴史を「正しく楽しく」をモットーに

2018年大河ドラマ『西郷どん』の放送で、島津家ゆかりの地としてロケ地にもなり盛り上がっている鹿児島の名勝 仙巌園。その現場で、鹿児島の歴史にまつわるイベントなどを企画・運営・監修しているのが、同学芸員の岩川拓夫氏である。

その経歴をみると、日置市教育委員会や尚古集成館の学芸員を経て、現在は本業のほかに鹿児島国際大学や志學館大学の非常勤講師、島津義弘没後400年事業「三州同盟会議」のコーディネータや西郷南洲顕彰館専門委員など、幅広く活動。現在三十代という若さながら、まさに鹿児島の歴史を伝える伝道師なのである。

大河ドラマ効果で連日お忙しい中、その活動や現地での盛り上がりについてどのように感じているか、お話しを伺ってみた。
撮影:ユカリノ編集部 (19535)

via 撮影:ユカリノ編集部
岩川「2018年になって、仙巌園は前年比1.5倍を超えるお客様にお越しいただいています。『西郷隆盛全集』によると、島津家28代斉彬と西郷隆盛が最期に会ったとされるのがこの地。明治維新150周年やドラマの撮影が行われたことも合わせて、多くの方々が、名場面に思いを馳せながら、幕末薩摩の輝きをご堪能いただいているようです。

お越しになられた方々からも、雄大な桜島と鹿児島湾を眺められる素敵なお庭だとお褒めの言葉をいただいています。」
写真提供:仙巌園 (19657)

via 写真提供:仙巌園
――今年は仙巌園だけでなく、鹿児島各地で「西郷どん」関連のイベントが多数開催されていますが、岩川さんが特に印象に残ったイベントや企画はありますか?
岩川「『西郷どん』のパブリック・ビューイングが県内2ヶ所で催されたことでしょうか。
鹿児島市には藤真利子さん(大久保福役)と渡邉蒼さん(西郷小吉役)、西郷真悠子さん(西郷桜子役)が登壇されました。西郷真悠子さんは西郷隆盛の弟・従道の子孫にあたり、芝居に励む大学生ということもあって、このドラマの撮影を通じてとても熱心に歴史を勉強されていらっしゃると聞いています。
また姶良市(鹿児島市の北隣)では、薩摩言葉指導の迫田孝也さんと田上晃吉さんが登壇。2人とも情熱と笑いあふれるトークを繰り広げ、会場がとても盛り上がっていました。

役者さんやスタッフの方々の情熱を直接肌で感じることで、鹿児島県が一丸となって明治維新150周年と大河ドラマを盛り上げているのではないかと思います。」

鹿児島県民にとって、島津家と西郷隆盛とは?

西郷隆盛銅像(鹿児島県鹿児島市)

西郷隆盛銅像(鹿児島県鹿児島市)

――岩川さんご自身も鹿児島出身ですが、地元の方にとっての「西郷隆盛」「島津家」とはどのような存在なのでしょうか?
岩川「島津家は鎌倉時代からずっと鹿児島と関わり続け、今なおその地で暮らしているということもあり、馴染み深いものではないかと思います。

島津の家紋は『丸十紋』ですが、描きやすいということもあってか、県内各地で見ることができます。『丸十紋』を見たら、鹿児島県をイメージされる方が多いのではないでしょうか。それだけ地域を代表する一族なのです。

島津家が地域を代表する一族ならば、西郷隆盛は地域を代表する偉人でしょうか。
これほどまで県内各地で親しまれている人物は他にいません。この背景には、生前の性格・人柄に加え、奄美群島を含む県内各地にゆかりの地が点在していること、西南戦争で県内各地の人々が共に戦ったことなどが挙げられるのではないかと考えています。
昭和の末ごろまで、西郷隆盛の研究をしなければ鹿児島の歴史を研究していない、と言う人もいたという話なども聞きますので。」

きっかけは"薩摩義士"?地元・鹿児島の歴史を活かした仕事を志した理由

――そもそも、地元・鹿児島の歴史を発信する仕事をしようと決めたきっかけは何だったのでしょうか?
撮影:ユカリノ編集部 (19550)

via 撮影:ユカリノ編集部
岩川「一帯が世界遺産に登録されている島津家別邸の仙巌園を中心に、鹿児島の歴史を“正しく楽しく”発信することが私の仕事です。そのために研究や講座の開催のほか、イベントの企画・運営などもおこなっています。

もともと歴史を仕事にしようと思ったきっかけは、中学2年生の時です。鹿児島市内の中学生各校1名が無料で岐阜県に行ける、というものに参加しました。
新幹線で到着する時、プラットホームに横断幕を掲げて駆けつけた地元の方々、行った先ではとてつもないおもてなしの数々。鹿児島と岐阜とのつながりは薩摩義士(江戸時代中期の薩摩藩による木曽三川治水工事)が縁となったものですが、いわば『薩摩義士』が250年後の私たちを動かしているわけです。

そのように感じたとき、歴史のすごさ、歴史を活かした交流や発展の可能性を信じ、歴史を活かした仕事をしようと思いました。」
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