【愛知県】「テーホヘ、テホヘ」鎌倉時代から続く奥三河の花祭|日本名珍祭り図鑑
2018年11月5日 更新

【愛知県】「テーホヘ、テホヘ」鎌倉時代から続く奥三河の花祭|日本名珍祭り図鑑

祭り写真家の芳賀日向さんが、日本全国よりその土地ならではの珍しい祭りを紹介する連載。今回は、奥三河の花祭です。毎年11~3月にかけて、愛知県の奥三河各地で開催されるこのお祭り。鎌倉時代から続く、国の重要無形民俗文化財にも指定された伝統芸能は一見の価値あり!

芳賀日向芳賀日向

奥三河15地区で夜通し開催される「花祭」

榊鬼(東栄町月)

榊鬼(東栄町月)

via 撮影:芳賀日向
鬼は里人の信じる超自然の象徴であり、神の化身となって花祭の日に里に訪れるといいます。愛知県、奥三河地方では11月から3月にかけて15カ所の集落で夜を徹して「花祭」が行われます。

愛知県東部の三河、長野県南部の南信、静岡県西部の遠江(とおとうみ)の境界にあたる地域は「三遠南信」と呼ばれています。
伊勢からの信仰を伝える修験道の行者らが通行したというこの地は、詠み人知らずの「人も馬も道ゆき疲れ死に」という石碑が残っているほどの秘境です。この地域には室町時代からの古い祭りがそのまま残り、芸能の宝庫とも呼ばれています。

花祭の確かな起源、由来は不明ですが、平安末期から室町時代に修験者がこのけわしい土地を信仰の理想郷とし、土地の人に舞を教えたとも言われています。
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「花祭」の楽しみ方と見どころ

旧暦11月は霜月(しもつき)と呼ばれます。2018年は12月7日から翌年1月5日までで、12月22日が1年の中で最も太陽の力が弱まる「冬至」です。

昔は、この頃に人間の魂が肉体を離れてしまうと恐れられました。そのため、中部地方や秋田県などでは釜に湯を立てて神楽を舞います。
釜を清め、湯を立てる(東栄町御園)

釜を清め、湯を立てる(東栄町御園)

釜(場所によっては竈)の上にたつ湯煙に神々が集まり、最後に湯を浴びることにより、神の力で人間から浮遊する魂を鎮め新しい生命力を与えてもらうのです。
via 撮影:芳賀日向
花祭は「生まれ清まり」ともいわれ、罪や穢れを祓って新たな人間の魂の再生をおこなう祭りなのです。祭場には神が降りてきて人間に祝福を与え、長寿と幸せを願います。
舞庭の中央に釜、天井には神様の依り代となる湯蓋が飾られ...

舞庭の中央に釜、天井には神様の依り代となる湯蓋が飾られています。(東栄町月)

via 撮影:芳賀日向
祭場は各地区の集会所の中にある舞庭(まいど)と呼ばれる土間です。中央には釜が設置され、天井には湯蓋(ゆぶた)と呼ばれる神様が降りてこられる切り抜きで模様を飾った切り紙が天井に張り巡らされます。
飾られた切り紙。神様が降りてこられる目印となる。

飾られた切り紙。神様が降りてこられる目印となる。

via 撮影:芳賀日向

皆で唄おう「テーホヘ、テホヘ」

夕方になると釜を浄め、花太夫(はなたゆう)と呼ばれる祭司が指で密教の呪法である印を結んで、火打ち石で火を起こし、湯を焚きます。
祭文を唱え、日本国中の神々を湯煙の中に勧請すると、夜を徹して奉納される神事・舞が始まります。演目は40近くにもなり、囃子は笛と太鼓。皆で「テーホヘ、テホヘ、テホホヘテホヘ」と繰り返し唄います。
花の舞(東栄町御園)

花の舞(東栄町御園)

via 撮影:芳賀日向
真夜中0時頃に登場するのは小学生の稚児による花の舞。保護者に励まされながら里の繁栄、家庭の安全を願い舞う姿は可憐です。
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芳賀日向

芳賀日向

はがひなた。祭り写真家。1956年長野県生まれ。米国西イリノイ大学文化人類学科卒業。30年間に渡り世界の祭り48ヵ国、日本各地の祭りを撮り続ける。週刊朝日百科『日本の祭りシリーズ』連載(朝日新聞出版)、『祭りを撮る』監修(旅行読売出版社)、『日本全国祭り図鑑』監修(フレーベル館)など。写真展「世界のカーニバル」、「被災地の夏祭り」(キヤノン)他。日本写真家協会会員。 公式

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