大河ドラマ撮影裏話も!「西郷どん」で見る鹿児島・仙巌園の歴史
2018年2月10日 更新

大河ドラマ撮影裏話も!「西郷どん」で見る鹿児島・仙巌園の歴史

大河ドラマ「西郷どん」をご覧になっている方、第1回から鹿児島の風景がふんだんに出て来たことをご確認できたかと思います。オープニング映像でも、桜島を代表とする県内各地の豊かな自然と美しい歴史的景観が紹介されています。今回は、鹿児島・仙巌園の学芸員で歴史イベントのプロデュースをしている岩川拓夫が「西郷どん」の風景を紹介します。

岩川拓夫岩川拓夫

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大河ドラマ「西郷どん」鹿児島ロケ撮影秘話

第1次ロケは、2017年8月末から9月はじめに実施。主演の鈴木亮平さんをはじめ、瑛太さん、黒木華さんなどのほか、子役の皆さんも多く参加しました。この時は連日35℃以上…、暑い中で子どもたちは鎧兜を身につけて駆け抜ける「妙円寺詣り」のシーンが撮影されたのです。

第2次ロケは2017年10月末から11月はじめに行われました。この時には渡辺謙さんや北川景子さんも参加。途中台風が接近しましたが、なんとかほぼスケジュール通りに撮影されたそうです。

子どもたちが駆け抜けたシーンも!園内各地の撮影スポット

第1回では、西郷小吉をはじめとする子どもたちが美味しいお菓子を求めて「磯の御殿」にお菓子を盗みに行く、という話がありました。「磯の御殿」とは鹿児島市北部にある仙巌園のことです。万治元年(1658)に19代島津光久が別邸として構え、島津家歴代が暮らしました。
仙厳園

仙厳園

via 仙厳園
それでは仙巌園へ、と鹿児島市の中心部に近い下加治屋町と高麗町に住んでいる子どもたちが出発…彼らが到着したのは「磯の御殿」の船着き場。実際に島津家のお殿様たちも、主に船で鹿児島城下から仙巌園に向かったそうです。

しかし、この船着き場、鹿児島市の北隣・姶良市にある重富海岸で撮影されました。鹿児島県民はわかるのですが、桜島の形が鹿児島市内から見たものと違うのです!!(笑)
現在の仙巌園前は国道、鉄道が走っていますので、かつての景色に近い場所がロケ地として選ばれたのでしょう。
船着き場から「磯の御殿」に侵入します。ここからは実際に仙巌園の景色です。
まず彼らが隠れたのが鶴灯籠。灯籠の上部・笠石の形が、羽を広げた鶴に似ていることから名づけられたと考えられています。安政5年(1857)に28代島津斉彬がこの灯籠などを用いてガス灯の実験を行ったことで知られています。ドラマでも今後紹介されると思いますが、斉彬は仙巌園内で近代化の実験をいくつも行っており、このことから園内一帯は「明治日本の産業革命遺産」として2015年7月に世界遺産に登録されました。
鶴灯籠

鶴灯籠

via 仙巌園
鶴灯籠から警備の者たちの眼をかいくぐって向かった先が望嶽楼です。
江戸時代はじめに琉球国王から薩摩藩主に贈られたこの東屋(あずまや)は、お客様をおもてなしする時に用いられました。幕末にはオランダ海軍の面々とともに訪れた勝海舟がここで島津斉彬からもてなされ、明治時代にはロシアの最後の皇帝・ニコライ2世が29代島津忠義のおもてなしを受けています。
望嶽楼

望嶽楼

via 仙巌園
その後、御殿目の前にある中庭のところで小吉たちはお菓子を遠くから目撃しますが、新八少年が池ポチャしてばれてしまいましたね。この池のところで、27代島津斉興(鹿賀丈史さん)が息子たち、側室のお遊羅(ドラマでは「お由羅」、小柳ルミ子さん)と話すシーンも放送されました。
この池の景色は幕末から変わっていません。イギリス公使パークスが慶応2年(1866)に仙巌園を訪れた際の景色が、スケッチで残されています。その姿は150年後の現在とほぼ同じです。
江南竹林

江南竹林

via 仙巌園
追いかけられた小吉たちは、園内を走り回ります。橋の上や川の中…
その後、竹林の中に入っていきますが、これは園内奥にある「江南竹林」です。
21代島津吉貴が琉球王国を通じて中国から孟宗竹(別名・江南竹)を取り寄せてこの地に植えました。その後、島津家や幕府を通じてこの種の竹は全国に育つようになったのです。つまり「孟宗竹の日本繁茂の原点」なのですね。

江南竹林の由来については、竹林の隣に江戸時代建てられた「江南竹林の碑」に詳しく記されています。ちなみにこの碑文を書いたのは五代秀堯。五代友厚の父親です。

竹林を抜けた先で、島津斉彬が大砲の実験を行っていましたが、これは仙巌園ではありません。といいますか、鹿児島県内でもありません。
「天狗様」の特殊能力でどこか別の場所にワープしたのでしょう。

大河ドラマの撮影が初となる御殿、VIP専用・錫門でも!

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岩川拓夫

岩川拓夫

鹿児島・仙巌園の学芸員。「正しく楽しく」がスタンスに、鹿児島の歴史を新しい形で発信するイベントなどを企画・運営・監修しています。本業のほかに鹿児島国際大学&志學館大学の非常勤講師や島津義弘没後400年事業「三州同盟会議」コーディネータや西郷南洲顕彰館専門委員としても活動。 公式

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