最後の将軍・徳川慶喜も学んだ日本最大の藩校・弘道館
2018年9月27日 更新

最後の将軍・徳川慶喜も学んだ日本最大の藩校・弘道館

水戸藩9代藩主・徳川斉昭によって開設された藩校・弘道館(茨城県水戸市)。江戸幕府最後の将軍となった徳川慶喜も、幼少期はここで学び、大政奉還後は謹慎生活を送りました。平成27年には「近世日本の教育遺産群―学ぶ心・礼節の本源―」の構成文化財として、日本遺産にも認定。その見どころをご紹介します。

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日本最大の藩校・弘道館

正庁・正席の間の床の間にかけらた弘道館記碑拓本。建学の...

正庁・正席の間の床の間にかけらた弘道館記碑拓本。建学の精神を示した「弘道館記」は、徳川斉昭の起草、藤田東湖の草稿により、天保9年(1838)に斉昭の名で公表されました。

via 写真提供:弘道館
旧水戸藩の藩校である弘道館は、9代藩主徳川斉昭が推進した藩政改革のひとつとして開設されました。
天保12年(1841)8月1日に仮開館式が挙行され、さらに15年余の年月を経て、安政4年(1857)5月9日に本開館式の日を迎えます。
弘道館にある徳川斉昭像

弘道館にある徳川斉昭像

改革派の人材を登用し西洋式軍備を導入、民政を重視して藩財政基盤の再建に務めた斉昭。ペリー来航後は幕府に海防参与として迎えられますが、尊攘派としての立場を貫き、井伊直弼と対立します。

面積も内容も日本最大規模

弘道館・正庁

弘道館・正庁

学校御殿ともいい、藩主臨席のもと試験が行われたり、儀式などに使われました。

via 写真提供:茨城県
江戸時代には日本最大規模の面積を誇った弘道館。残念ながら幕末の藩内抗争で文館、武館、医学館などを、太平洋戦争では八卦堂、鹿島神社、孔子廟などを焼失してしまいました。
それでも中心となる正門、正庁、至善堂は創建当時のまま現存し、国の重要文化財に指定されています。
江戸時代の弘道館を描いた鳥瞰図。その広大さがわかります。

江戸時代の弘道館を描いた鳥瞰図。その広大さがわかります。

via 写真提供:弘道館
また弘道館では学問と武芸の両方が重視され、学問では儒学や礼儀、歴史、天文、数学、地図、和歌、音楽など、武芸では剣術、槍、柔術、兵学、鉄砲、馬術、水泳など、実に多彩な科目が教えられていました。まるで総合大学と呼べる規模と内容は、徳川斉昭の教育への熱意がうかがえます。

他藩の藩士にも影響を与えた「水戸学」の拠点

この弘道館を舞台に「水戸学」が発展し、その思想は吉田松陰や西郷隆盛など多くの幕末の志士にも大きな影響を与えたといわれ、後に明治維新の原動力になっていくのです。
来館者控えの間である諸役会所。「尊攘」の掛け軸は、水戸...

来館者控えの間である諸役会所。「尊攘」の掛け軸は、水戸藩の藩医で能書家で知られた松延年の筆で、安政3年(1856)に斉昭の命で書かれました。

via 写真提供:弘道館

徳川慶喜も学んだ弘道館

徳川慶喜

徳川慶喜

大河ドラマ「西郷どん」では松田翔太さんが演じる慶喜。ドラマでの「ヒー様」という呼び名は、一橋慶喜の「ひ」からとったものだとか。
天保8年(1837)、斉昭の七男として生まれた慶喜は、5歳から11歳までこの弘道館で学びます。当時から優秀で、「家康の再来」とも称されていたとか。

そして弘化4年(1847)、老中・阿部正弘の口添えにより、わずか11歳で一橋家を相続します。一橋家とは、将軍候補を輩出する御三卿のひとつです。
12代将軍・徳川家慶の死後、島津斉彬らによって将軍に推されますが、実現しなかったばかりか、大老の井伊直弼によって隠居・謹慎処分になってしまいました。
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