【 意外と知らない戦国大名としての政宗 】生誕450年記念シンポジウム『伊達政宗、戦国大名から藩主へ』レポと仙台市博物館特別展見どころ
2017年10月4日 更新

【 意外と知らない戦国大名としての政宗 】生誕450年記念シンポジウム『伊達政宗、戦国大名から藩主へ』レポと仙台市博物館特別展見どころ

伊達政宗公生誕450年の今年、各地で関連イベントが開催されています。先日、東京・淑徳大学でも伊達政宗生誕450年記念シンポジウムin東京『伊達政宗、戦国大名から藩主へ』が開催。研究者が語った仙台藩や藩主としての伊達政宗とは?仙台市博物館・菅野氏による伊達家臣団についての登壇レポートとともに、10月7日から仙台市博物館で開催される特別展「伊達政宗―生誕450年記念」の見どころも合わせてお伺いしました。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

専門家たちから見た仙台藩主・伊達政宗とは?

会場となった淑徳大学

会場となった淑徳大学

このシンポジウムは、歴史を通じて日本人の生き方を問いかける上廣歴史・文化フォーラムが伊達政宗生誕450年を記念して南奥羽戦国史研究会、淑徳大学、板橋区教育委員会と共同開催したもの。

『伊達政宗、戦国大名から藩主へ~支配のしくみの変遷をたどる~』と題し、研究者4名により伊達政宗を中心に伊達家や仙台藩についての研究結果が発表されました。
①「戦国期の一門・家臣と領国支配」佐藤貴浩氏(駒沢大学非常勤講師/足立区立郷土博物館専門員)
②「仙台藩家臣団の形成過程」菅野正道氏(仙台市博物館主幹兼学芸普及室長)
③「戦国時代の村・町支配」遠藤ゆり子氏(淑徳大学人文学部准教授)
④「江戸時代の村・町支配」籠橋俊光氏(東北大学大学院文学研究科准教授)
会場には歴史好きのおじさまから若い女性まで、幅広い年代の方で満員!さすが伊達政宗公、いまもなお衰えぬ人気に驚かされました。

意外と知らない!?藩主としての「伊達政宗」

撮影:ユカリノ編集部 (8000)

via 撮影:ユカリノ編集部
「最後の戦国武将」といわれる政宗ですが、実は戦国武将として活躍したのは十代半ばから二十代後半のせいぜい十年間。その期間よりずっと長い、三十代からの三十数年間は仙台藩主として過ごしているのです。仙台藩主として政宗がどんな政策を行っていたかは、あまり取り上げられていないかもしれません。

仙台市博物館主幹兼学芸普及室長・菅野正道氏による「仙台藩家臣団の形成過程」では、意外と知られていない政宗の藩主としての話を書状や記録から紐解いていきます。

政宗の書状から、家臣団との関係性を探る

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筆まめとして知られる政宗、数多く残る書状からは家臣団との関係も垣間見えます。
菅野氏が、その時期や種類、宛先を調べていくと、とくに文禄から慶長初期に激減しているのだそう。天正19年に書かれた書状が43通確認できるのに対し、文禄になると半減、慶長3年の書状で確認できるのはたった1通。

家臣宛ての書状は減り、あの有名な花押も文禄3年頃からあまり用いられなくなり、代わりにこの前後数年間は黒印を用いた書状が見られるように。他にも、同日付けで同じ内容をコピペしたような書状が増加したり、宛先複数の家臣に連名で送っていたりと、量も質もかなり変わっていたんですね。

しかも、政宗はこの文禄~慶長初期の約10年間、伏見など上方に居たため、ほとんど帰国していません。帰ってこないわ書状は減るわで、家臣たちの不安や不満は溜まりまくり。重臣たちが相次いで反発・出奔してしまいます。

伊達三傑として知られ、のちに亘理伊達氏の初代当主となる従弟・成実も、実は慶長4年ごろに出奔。茂庭綱元も文禄4年頃に政宗と対立して強制隠居させられるなど、この頃重臣たちと政宗の間に軋轢が見てとれます。家臣たちの不満は岩出山留守居・屋代景頼に向かって噴出してしまったそうです。

あまり知られていない?戦国大名・政宗の政策

関ヶ原の戦い以降、慶長8年に政宗は帰国し本格的な領国整備を始めます。ワンマン型の政宗をサポートしたのは伊達家に復帰した茂庭綱元でした。
伊達三傑でも片倉景綱や伊達成実の方が大きく取り上げられ、どうしてもその陰に隠れがちですが、実は茂庭綱元との関わりもかなり長いのですね。

政宗は、米沢・会津時代から積極的に家臣の召し抱えを行っています。
奥羽仕置で所領が半分になっても家臣たちの知行を減らしてもなお、積極的に新規採用を進め、家臣団を大きくしていきました。このような政策の結果、仙台藩は大集団となっていったのです。

今回のシンポジウムでは、仙台藩の家臣団の構成にまつわる興味深いデータをたくさん見ることができました。メディアではどうしても政宗の奇抜なエピソードばかりが取り上げられがち。生誕450年の今年、改めて仙台藩主としての政宗の功績を見つめ直してはいかがでしょうか。

特別展「伊達政宗―生誕450年記念」

仙台市博物館 (7844)

via 仙台市博物館
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