西郷隆盛も尊敬!水戸藩の学者・藤田東湖ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第7回】
2018年7月27日 更新

西郷隆盛も尊敬!水戸藩の学者・藤田東湖ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第7回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第7回は、藤田東湖ゆかりの地・水戸。西郷隆盛が師として敬った水戸藩の学者・藤田東湖は、徳川慶喜の父・斉昭の側近としても活躍。西郷や吉田松陰だけでなく、全国の志士や大名にまで影響を与えた人物です。今回はそんな藤田東湖のルーツをご案内します。

小栗さくら小栗さくら

西郷「ただ畏るべき者は東湖先生独りのみ」

藤田東湖 生誕の地

藤田東湖 生誕の地

水戸の町には、1m程の銅像がいくつもあります。
大きな銅像もいいですが、先人への愛を感じる水戸の銅像も素敵ですよ。
via 提供:小栗さくら
西郷隆盛が「天下真に畏(おそ)るべき者なし、ただ畏るべき者は東湖先生独りのみ」と評したほどの学者・藤田東湖。水戸藩主・徳川斉昭の側近としても活躍し、西郷だけでなく、全国の志士や大名にまで影響を与えた人物です。

そんな東湖は、西郷と出会う前に人生で3度も危機が訪れています。
今回はその危機を追いながら、東湖ゆかりの水戸史跡を巡ってみます。

学者である父・幽谷に影響を受ける

藤田東湖は、文化3年(1806)に水戸・梅香の屋敷で生まれました。

東湖の父も学者で、藤田幽谷(ゆうこく)という、水戸の歴史に欠かせない人物の一人。
父・幽谷は古着屋の息子でしたが、そこから飛躍し、「彰考館」の総裁にまで上りつめています。彰考館というのは、徳川光圀による水戸藩の一大事業、『大日本史』を編纂するために作られた修史局のことです。

水戸黄門の「格さん」のモデルとなった安積澹泊(あさか・たんぱく)も、彰考館の総裁だったんですよ!
藤田幽谷 生誕の地碑

藤田幽谷 生誕の地碑

この坂を登り、突き当たりを左に曲がれば、東湖の生誕地が見えてきます。
水戸は意外と坂が多いので、歩きやすい靴をオススメします。
via 提供:小栗さくら
東湖は次男でしたが、兄が幼くして亡くなったため、跡取りとして幽谷の影響を大いに受けて育ちました。

東湖が生まれた文化年間は、外国船による圧力が強まっていた頃。
文化元年(1804)にはロシアのレザノフが交易を求め、文化3年~4年にかけてはロシア人が樺太や択捉島に侵入、文化5年にはイギリス軍艦が長崎に侵入したフェートン号事件が起きています。

こうした情勢も、幽谷や東湖の人生に影響を与えていたことでしょうね。
藤田東湖  産湯の井戸

藤田東湖 産湯の井戸

東湖の生誕地にある産湯の井戸。銅像の左手にあります。
via 提供:小栗さくら

一度目の死の覚悟:大津浜事件

藤田東湖

藤田東湖

戸田忠太夫と水戸藩の双璧をなし、徳川斉昭の腹心として「水戸の両田」と称されていました。
東湖は39歳の時に、「三たび死を決して、而(しこう)して死せず」と記しています。
その人生には3度、死を覚悟したことがあったという東湖。

一度目は19歳で、水戸藩に危機が訪れた時でした。
文政7年(1824)5月28日、異国船数隻が大津浜(茨城県北茨城市)に現れて上陸するという、「大津浜事件」が起こります。
実はこれより以前から、常陸国周辺には異国船が相次いで現れていたのですが、ついにこの日、上陸されるという事態になってしまうのです。

この時異国人を取り調べるため、筆談役として向かった1人が、会沢正志斎(あいざわ・せいしさい)という、父・幽谷の門人だった人物でした。そのため筆談の内容は、幽谷にも報告されていたといいます。

上陸したイギリス人の本意を見抜いた正志斎

会沢正志斎 銅像

会沢正志斎 銅像

異国人を取り調べた会沢正志斎。彼も幕末の志士たちに大きな影響を及ぼしています。
銅像はほんのりモデル立ち風…。
via 提供:小栗さくら
正志斎らは、筆談により相手がイギリス人だと分かると、今度はその目的を追求します。

すると船員たちは、「捕鯨が目的」だと説明。しかし、正志斎はその本意は別にあると怪しんでおり、イギリスが既にアジアを侵略している情報を得ます。日本にもその危機がある…そう感じた正志斎は、藩主・斉脩(なりのぶ)に危険性を上申しました。
しかし結局、藩主は幕府役人に任せるという判断を下してしまうのです。

この時、「異国の船員たちがお咎めなく釈放されてしまう」という噂を聞いた幽谷は、そんなことではいけないと憤り、息子・東湖を呼んで大津浜へ急ぐように命じます。

これが一度目の死の覚悟です!

異国人の釈放を防ぐため、急ぎ大津浜へ

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小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

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