第9回:戊辰戦争を戦い抜いた異色の幕臣・大鳥圭介ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち】
2018年3月30日 更新

第9回:戊辰戦争を戦い抜いた異色の幕臣・大鳥圭介ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第9回は大鳥圭介ゆかりの地です。新選組の土方歳三が戦死したことで知られる函館戦争。そのとき旧幕府軍・総裁だったのが榎本武揚、陸軍奉行だったのが大鳥圭介でした。「全身これ肝」といわれ、幕臣となって戊辰戦争を戦い抜いた大鳥の生涯とゆかりの地をご紹介します。

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戊辰戦争を戦い抜いた男・大鳥圭介

大鳥圭介

大鳥圭介

誕生日は天保4年(1833)2月25日とされますが、大鳥家では2月28日とされているそうです。
新政府軍と旧幕府軍の最後の戦いとなった箱館戦争。多くの方は新選組の土方歳三が戦死したことでよくご存知かと思います。その箱館において旧幕府軍・総裁だったのが榎本武揚、陸軍奉行だったのが大鳥圭介です。
この2人のことは、大河ドラマ「新選組!」の続編「新選組!!土方歳三最期の一日」で知ったという方も多いのではないでしょうか。

とはいえ大鳥を主人公にしたものは少なく、一般的にはあまり知られていないように思います。
そこで今回は、「全身これ肝」といわれた大鳥のさまざまなエピソードを交えて紹介いたします。

大鳥圭介、播磨に生まれる

大鳥圭介

大鳥圭介

幕臣の頃の大鳥。
幕臣となって戊辰戦争を戦い抜いた大鳥ですが、生まれたのは播磨国赤穂郡(現在の兵庫県)、代々漢方医を生業としてきた医者の家でした。

漢学者である祖父・純平から勉学の手ほどきを受けた大鳥は、教えるとすぐ暗記した「神童」であったといわれます。一方で子供の頃はかなり腕白だったようで、自分より背の高い子もいる中で、大将になって采配を振るい遊んでいたというお話もあります。

13歳で岡山藩の郷学・閑谷(しずたに)学校へ入学した大鳥は、そこで漢学や儒学・詩文等を学び、書家としての才能も開花。普通在校は1年に限られていましたが、大鳥が通うことを許された年月は5年!先生も教えがいがあったのでしょうね。この頃の大鳥は儒学者を目指していたといいます。
閑谷学校(岡山県備前市)

閑谷学校(岡山県備前市)

岡山藩主・池田光政によって開設された庶民のための学校。講堂は国宝に指定されています。
via 写真提供:岡山県

大坂に出て適塾に入門

しかし先祖の生業を継ぐことを父に望まれ、医者修行をし、やがて漢方医学ではなく蘭方医学を学ぼうと、大坂へ出て緒方洪庵の適塾(てきじゅく)に入門します。

大鳥はお金がなかったため、按摩(あんま)や筆写をして生活費の足しにしていたといいます。しかも按摩は緒方洪庵が大鳥に頼むほどの腕前。何事もそつなくこなす姿が思い浮かびますね。

また、芝居が好きだった大鳥は、仲間の前でよく真似をして笑わせていたそうです。
自分が早起きだからか、いつも眠りを貪る同窓の玄龍を起こす時に「あれ、玄龍どのお起きめされ」と芝居のように言って起こしていたのだとか。仲間たちとの楽しそうな雰囲気が伝わる逸話ですね。
適塾(大阪府大阪市)

適塾(大阪府大阪市)

福沢諭吉も通っていた適塾は、現存する唯一の蘭学塾の遺構として重要文化財に指定されています。

帰郷と偽って江戸へ

蘭学に夢中だった大鳥は、江戸に出て更に学びたいと考え始めます。といっても普段から生活費が足りない大鳥に、そんな資金はありません。

そこで大鳥が考えたのは、両親に「帰郷するため」と偽って資金をもらい、そのお金で江戸に行くということでした。大鳥がその時したためた書状には「このたび万事宜しく致し帰宅仕り候には種々入用多く…」と、帰宅には何かとお金がかかり産物なども少々買いたいので…と記されています。

そうして親から送られてきた4両を手にした大鳥は、旅立ちの前日に詫び状を出して江戸へと出立したのでした。親のお金を別のことに使ってしまうというのは現代でも聞くお話ですが、あくまでも遊びではなく勉学のためだったのですね。

江戸で勝海舟、大山巌らと出会う

江川英龍

江川英龍

伊豆韮山の代官。反射炉を築き、日本に西洋砲術を普及。大鳥も彼から西洋砲術を学びます。
江戸に出た大鳥は、師・緒方洪庵の紹介状を持って、蘭学者・大木忠益を訪ねました。忠益は、のちに薩摩藩主・島津斉彬の侍医となった人物です。

大鳥はここで、半年も経たないうちに塾長を命じられたほか、その後江川英龍で知られる江川塾でもオランダ兵学書を教えることになります。
このころ勝海舟や、西郷隆盛のいとこである大山巌、黒田清隆と出会ったのだとか。
その後も大鳥は、薩摩藩の台場造営を手がけるなど薩摩との縁は続きます。黒田が箱館戦争で榎本武揚ら幕臣の助命嘆願をしていたのは、こうした縁があったからなのでしょうね。

また、大坂時代と違いお金に余裕ができた大鳥は、仲間と3人で江ノ島まで遊びに行ったなんてお話も残っています。
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小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

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