【今も息づく「吉原遊郭」の光と闇】当時の街の形が引き継がれた現代の吉原を歩く
2018年1月29日 更新

【今も息づく「吉原遊郭」の光と闇】当時の街の形が引き継がれた現代の吉原を歩く

江戸文化の象徴の一つであり、屈指の賑わいを誇った吉原。浅草の北、吉原のあった地域は、当時の道や区画が、ほぼ現代に引き継がれているのが特徴です。歴史をテーマにした街歩きガイドを務める岡田英之さんが、吉原の光と闇と共に、ゆかりの地をご案内します。

岡田英之岡田英之

明治時代の吉原の遊女

明治時代の吉原の遊女

もとは、人形町にあった吉原遊郭

吉原遊郭は明暦3年(1657)、人形町より浅草の北へ移転してきたことから、その歴史が始まりました。
そもそも人形町にあった頃は、大物の商人として「親父(おやじ)」との愛称で親しまれていた庄司甚右衛門(甚左衛門)が代表となり、幕府非公認の「岡場所」を一カ所にまとめて「(元)吉原」として幕府の認可を得たことから発展します。

しかし江戸の街の拡大と共に人形町が徐々に街中になっていったため、明暦2年(1656)江戸幕府より移転の命令が下り、翌年浅草の地への移転がなされました。
「戸火事図巻」

「戸火事図巻」

「明暦の大火」を描いたもの。
ちょうど同年に江戸城天守をも焼いた「明暦の大火」が江戸を襲い、(元)吉原も灰燼に帰してしまったことが、大きなきっかけの一つともなっています。

※(元)吉原という名前は移転した後の吉原に対しての名前ですので、当初は「吉原」遊郭でした。

街の形が見事に引き継がれた吉原

江戸時代の吉原

江戸時代の吉原

江戸後期の古地図より。
via 国立国会図書館蔵
現代の吉原

現代の吉原

国土地理院の地図より。古地図にある吉原遊廓と、現代の千束4丁目付近の区画が重なります。
人形町の(元)吉原は一部の濠の跡を除いてほとんど形跡がなくなってしまいましたが、移転後の吉原の方は見事にその街の形が今に引き継がれています。

当時の区画や名前がそのまま残る

吉原大門の交差点

吉原大門の交差点

唯一の出入口であった「吉原大門(よしわらおおもん)」が、交差点名としても残っています。
via 写真提供:岡田英之
吉原大門交差点の脇にある「見返り柳」

吉原大門交差点の脇にある「見返り柳」

新しい樹ではありますが、遊郭で遊んだ人が名残惜しく振りかえったという場所で、今でも残されています。
via 写真提供:岡田英之
また、中が見通せない様に、さらに出入りを管理するために大きくクランク状になっている特徴的な道も、現在もその形がそのまま残されています。
吉原大門からのクランク

吉原大門からのクランク

奥が見えないよう、S字カーブになっているのも当時のまま。
via 写真提供:岡田英之
吉原大門の跡や周囲を囲んでいた濠、「おはぐろどぶ」も、道などとして残されています。
また仲之町通り、揚場通り、江戸町通り、京町通りなどのそれぞれの通りもそのまま現在に受け継がれていて、遊郭の賑わいと喧騒が感じられそうな雰囲気です。
42 件

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

岡田英之

岡田英之

おかだひでゆき。1977年、神奈川県生まれ。株式会社歩き旅応援舎での古地図散歩や、SNSを活用した博物館散歩、鎌倉散歩といった街歩きなどのガイドを務める。特に、歴史ある「場所」「モノ」に対する、専門用語を使わない、わかりやすい解説を得意としている。テレビ朝日系列「羽鳥慎一のモーニングショー」のコーナー、「良純未来図」や、BS朝日の「テイバン・タイムズ」に歴史案内人として複数回出演。著書に『東京街かど タイムトリップ』(河出書房新社)がある。 公式

関連する記事 こんな記事も人気です♪

2018年NHK時代劇で話題!『解体新書』杉田玄白ゆかりの地

2018年NHK時代劇で話題!『解体新書』杉田玄白ゆかりの地

2018年に放送されるNHK正月時代劇「風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~」。三谷幸喜さんの脚本とあって、期待が高まっている人も多いのでは?今回は主人公のひとりで、享保18年(1733)9月13日に生まれた杉田玄白の生涯とゆかりの地を紹介します。『解体新書』はどのように生まれたのか?前野良沢や平賀源内との関係とは?放送前にチェック!
【将門首塚、四谷怪談、番長皿屋敷……】江戸のミステリースポットで肝だめし⁉︎

【将門首塚、四谷怪談、番長皿屋敷……】江戸のミステリースポットで肝だめし⁉︎

夏といえば聞きたくなるコワイ話。東京には古くは平将門の首塚や、『四谷怪談』『番長皿屋敷』など、江戸時代の有名な怪談のゆかりの地が残されています。怪談、首塚、幽霊から妖怪まで、今回は東京のミステリースポットをご紹介。まだまだ暑い日が続く中、都会の真ん中でひんやり、肝だめし体験しちゃいましょう!
こいつら、全員悪人!江戸の「悪」を集めた展覧会が東京で開催

こいつら、全員悪人!江戸の「悪」を集めた展覧会が東京で開催

つい惹かれてしまう「悪」の魅力。盗賊や小悪党、悪女まで、悪人を集めた展覧会「江戸の悪 PARTⅡ」が東京・太田記念美術館にて6月2日(土)より開催されます。2015年に開催された同名の展覧会がさらにパワーアップ。しかも今年は同時期に連携展が開催されるなど、東京中が「悪」に染まる?その詳細をご紹介します。
再オープンでショップ、ガイドも充実!【加治まやの美術館 de 江戸巡り】第3回:東京都江戸東京博物館

再オープンでショップ、ガイドも充実!【加治まやの美術館 de 江戸巡り】第3回:東京都江戸東京博物館

日本の美術や歴史が大好きなモデル・加治まやさんが、美術館を巡り江戸の文化を紹介する連載。今回は4月に再オープンした東京都江戸東京博物館です。歴史を扱う博物館の中でも特にこちらがお気に入りというまやさんが、新しくなったポイントとともに通ならではの楽しみ方を伝授します!
実は明智光秀という説も!?謎多き天海の正体とゆかりの寺

実は明智光秀という説も!?謎多き天海の正体とゆかりの寺

家康・秀忠・家光の徳川三代に仕え、上野の寛永寺や、日光東照宮の建立に力を尽くした僧侶・南光坊天海。しかし、その前半生はいまだ謎に包まれています。高貴落胤説、あるいは2020年の大河ドラマの主役に決定した明智光秀という説もある、天海の謎の一端を、ゆかりの寺を巡りながら解き明かしていきましょう。
墓はあるけど謎だらけ!「八百屋お七」悲劇のヒロインの真相

墓はあるけど謎だらけ!「八百屋お七」悲劇のヒロインの真相

恋人に会いたい一心で放火事件を起こし、火刑に処された少女「八百屋お七」。しかし実際のお七は、八百屋の娘ということも含め、はっきりとわかっていません。その謎だらけの伝説がかえって関心を呼び、創作が盛り込まれ、私たちの知るお七になっているのです。今回は残された史跡を巡りながら、お七の実像を探ります。
【三大お家騒動】「伊達騒動」現場は東京のど真ん中だった!?

【三大お家騒動】「伊達騒動」現場は東京のど真ん中だった!?

「伊達」といえば伊達政宗ですが、彼の孫の綱宗の代に起きた「伊達騒動」は、「江戸三大お家騒動」のひとつになってしまうほど、複雑で大規模なものでした。当時は歌舞伎『伽羅先代萩』として上演され、山本周五郎の小説『樅ノ木が残った』が大河ドラマにもなった「伊達騒動」をわかりやすく、意外な!?事件現場とともに紹介します。
リニューアルオープン!企画展ラッシュ!この春行きたい博物館&美術館

リニューアルオープン!企画展ラッシュ!この春行きたい博物館&美術館

江戸東京博物館、高知県立坂本龍馬記念館、仙台市博物館と、長らく休館していた人気の博物館がついにリニューアルオープン!さらに国立博物館での大型展や、専門美術館の個性的な企画展など、歴史好きには嬉しいニュースがもりだくさんのこの春。週末やGWに向け、お出かけの計画にぜひお役立てください。
気になる!江戸時代の女装&男装文化【加治まやの美術館 de 江戸巡り】第2回:太田記念美術館

気になる!江戸時代の女装&男装文化【加治まやの美術館 de 江戸巡り】第2回:太田記念美術館

日本の美術や歴史が大好きなモデル・加治まやさんが、美術館を巡り江戸の文化を紹介する連載。第2回は浮世絵専門の美術館で知られる太田記念美術館です。現在は、江戸時代の異性装の風習を浮世絵を通して紹介する企画展「江戸の女装と男装」が開催中。江戸好き、また浮世絵好きならずとも気になる企画展の内容を、いちおしの絵とともにご案内します。
第7回:都心に残る見どころ満載の城!江戸城【月刊 日本の城】

第7回:都心に残る見どころ満載の城!江戸城【月刊 日本の城】

webサイト「日本の城写真集」の管理人・けいすけが、日本の名城の見どころ、撮りどころを徹底的に紹介する連載「月刊 日本の城」。第7回は江戸城です。江戸幕府の居城だった江戸城は、中心部こそ皇居として使用されていますが、それ以外は公園などとして一般に開放されています。都会にありながら城郭を堪能できる江戸城のおすすめポイントを、写真を中心にご紹介します。