【日本を愛したお雇い外国人】ジョサイア・コンドルが手がけた建築物の数々
2018年6月21日 更新

【日本を愛したお雇い外国人】ジョサイア・コンドルが手がけた建築物の数々

明治政府の「お雇い外国人」ジョサイア・コンドル。コンドルは明治新政府関係の建造物を手がけた建築家であり、日本における新進気鋭の建築家を育成することにも尽力しました。また、日本文化をこよなく愛した日本通でもあったのです。今回は、今もまだ見ることができるコンドルゆかりの建築物をご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

古河虎之助邸:現・旧古河庭園大谷美術館(東京都北区)

旧古河庭園大谷美術館

旧古河庭園大谷美術館

古河財閥の3代目の当主・古河虎之助がコンドルに依頼し、大正6(1917)年に完成したコンドル晩年の作が、現在の旧古河庭園大谷美術館です。

1階は応接と食堂、2階は客間や居間というつくりですが、洋館然とした外見とはかなり異なり、内部は和洋が調和した空間です。(内部見学は事前予約制)
また、バラが咲き乱れる美しい庭園は、日本通のコンドルが日本庭園との調和を考えてつくったそうですよ。

関東大震災でもこの館は無傷だったため、古河は診療所として提供し、庭園には仮設住宅を設けて被災者に解放したといいます。

ニコライ堂(東京都千代田区)

都会の喧騒の中で威容を誇るニコライ堂(重要文化財)

都会の喧騒の中で威容を誇るニコライ堂(重要文化財)

正式名称は「東京復活大聖堂」といい、正教会の大聖堂であるニコライ堂は、原設計をロシア人建築家ミハイル・シチュールポフが行い、実施設計をコンドルが手がけました。
ビル群の中で一際目を引くドーム型の聖堂は、コンドルによってイギリス風のアレンジも加えられています。

ニコライ堂の名は、日本に正教を伝えたロシア人大主教に由来します。彼に影響を受けたのが、坂本龍馬の親族でもある沢辺琢磨。彼は元々攘夷思想を持った宮司であり、ニコライを当初は敵視していましたが、改宗し後に日本人初の正教会の司教となりました。
沢辺琢磨

沢辺琢磨

剣術に優れた彼が現れると、ニコライ堂建設に反対する右翼はさっと姿を消したという。

旧諸戸清六邸:現・六華苑(三重県桑名市)

国の重要文化財 六華苑

国の重要文化財 六華苑

via 桑名市
コンドルが設計した現存建造物がほぼ東京に集中するなか、三重県桑名市に現存するのが六華苑です。
実業家・諸戸清六邸として大正2年(1913年)に建てられ、事務所として使用されたのち、市に寄贈されました。
なぜ桑名市にコンドルの作品があるのかというと、初代清六がコンドルが顧問を務めていた三菱財閥の岩崎家と交流があったため、設計の依頼を受けたのではと考えられています。

木造2階建てのヴィクトリア朝住宅様式を基調とした洋館で、4階建の塔屋や多角形に張り出した1階のベランダなどが特徴です。コンドルは当初、塔屋を3階建としていましたが、「揖斐川を見渡せるように」との清六の意向で4階建てに変更されたそうです。

雰囲気抜群の洋館は観光地としてはもちろん、ドラマのロケ地としても人気です。桑名市といえば、2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の舞台でもありますので、こちらのロケ地としても登場するかもしれませんね。
今はもうありませんが、明治初期の外交の舞台・鹿鳴館もコンドルが手がけた代表的建造物です。都内には他にも現・清泉女子大学本館である島津家袖ヶ崎邸や、三井家倶楽部などが残っています。
都心の近未来型なビルの谷間に点在する彼の作品は、いま訪れてみてこそ新鮮さを感じるのではないでしょうか。

(xiao)
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