イケメン漁師がもみ合う!房総半島・秋の風物詩「裸祭り」【日本名珍祭り図鑑】
2018年9月4日 更新

イケメン漁師がもみ合う!房総半島・秋の風物詩「裸祭り」【日本名珍祭り図鑑】

祭り写真家の芳賀日向さんが、日本全国よりその土地ならではの珍しい祭りを紹介する連載。今回は、千葉県で開催される「大原はだか祭り」「上総十二社祭り」、2つの「裸祭り」をご紹介します。どちらもその起源は古く、秋の風物詩として地元で親しまれています。躍動感ある神輿と参加者の生き生きとした姿はまさにフォトジェニック!その見どころを写真でご紹介します。

芳賀日向芳賀日向

撮影:芳賀日向 (23422)

via 撮影:芳賀日向
千葉県房総半島の港は、秋に豊漁を願う威勢の良い神輿の祭りがおこなわれます。
白いさらしを巻いた男たちが神輿を担ぎ海岸線を走り、海中で揉み合うのです。普通の神輿には、縦棒と横棒が組み合わされていますが、房総半島の神輿には横棒はありません。それは曲がりくねった道でも走り抜けられるようになっているからです。それだけに担ぎ手の負担は大変ですが、どの神輿も威勢良く走ります。今月はその中から2つの祭りをご紹介します。

“神輿のトライアスロン”といわれる「上総十二社祭り」(千葉県一宮町)

千葉県一宮町で、9月中旬に行われるのが「上総十二社祭り(かずさじゅうにしゃまつり)」。

2020年東京オリンピックのサーフィン競技会場となる一宮町釣ヶ崎海岸。そこは神話の聖地でもあるのです。
古代には、海の神の娘とされる女神「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」とその一族が上陸したといわれています。玉依姫命は玉前神社の祭神として祀られ、一族の神々も周辺11の神社に祀られました。

年に一度、神々が上陸した釣ヶ崎海岸を御旅所として12の神社から御霊が分けられた神輿に乗って来て再会するのが「上総十二社祭り」です。記録によると、約1200年の歴史があるといわれています。

この祭りのすごいことは別名「神輿のトライアスロン」と呼ばれ、神輿一基の重さはなんと360~480kg!これを担いで休むことなくひたすら走って、御旅所の釣ヶ崎海岸に来るのです。
現在ご神幸するのは9基の御輿ですが、神社から御旅所までは片道8キロ以上もあります。担ぎ手一人が神輿を担いで走れる距離は数十メートル。そのために周囲を併走する100人が次々と交替します。
衣装は男女、子供も白のサラシを巻き、白パン、白足袋姿です。神輿を担げない女性、子供は神輿の先端にある綱を引っ張って走ります。
男たちが神輿を担ぎ、子供も女性も皆、ひたすら走ります。

男たちが神輿を担ぎ、子供も女性も皆、ひたすら走ります。

via 撮影:芳賀日向
見所は、御旅所の手前、九十九里浜の波打ち際を駆け抜ける先頭集団の5頭の馬。
先頭は御幣を鞍の上に乗せた「神馬(かんのうま)」。神様を乗せた馬なので勢い良く跳ねながら走ります。そして「神主(こうぬし)」、「命婦(みょうぶ)」とばれる稚児役の幼児が続きます。
玉前神社の祭神「玉依姫命」を馬の鞍におうつしした「神馬...

玉前神社の祭神「玉依姫命」を馬の鞍におうつしした「神馬(かんのうま)」が勢い良く走る。

via 撮影:芳賀日向

【プロが教える撮影ポイント】

釣ヶ崎周辺がハイライトとなる場所です。釣ヶ崎海岸に建っている鳥居を背にして海を正面に見ると左側に堤防と堤防の間に浜があります。浜の幅は約200m位です。神馬や馬に乗ったお稚児さん、神輿はこの方向からやってきます。カメラマンが多く並ぶ所では元気よく走ります。

大切なマナーとして、カメラマンは浜側に一列に位置を取って海側の背景を空けましょう。
髪の毛が浮き上がったことによりスピード感がでます。

髪の毛が浮き上がったことによりスピード感がでます。

命婦のスピード感は、髪の毛が弾んで浮き上がったところにあります。また水平線と首が重ならないようにカメラの高さを事前に確認しましょう。
失敗例

失敗例

髪の毛が寝てしいました。
カメラマンは海側に位置するのをやめましょう。
すべての神輿が御旅所の釣ヶ崎海岸に集まるのが午後3時過ぎ。そこで一斉差し上げが行われます。神輿が高く差し上げられ、お互いにくっつき練り合うのです。見事な連帯感です。

そして最後のハイライトは鳥居くぐり。
次々に、神輿と人々が大きな鳥居の下を走り抜けて行きます。そして別れを惜しみながら各神社へと戻り、宮入をして祭りは終わります。
すべての神輿が高く差し上げられる「一斉差し上げ」

すべての神輿が高く差し上げられる「一斉差し上げ」

via 撮影:芳賀日向
鳥居の下から一気にダッシュ。「鳥居くぐり」

鳥居の下から一気にダッシュ。「鳥居くぐり」

via 撮影:芳賀日向
女性たちも元気に「鳥居くぐり」

女性たちも元気に「鳥居くぐり」

via 撮影:芳賀日向
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芳賀日向

芳賀日向

はがひなた。祭り写真家。1956年長野県生まれ。米国西イリノイ大学文化人類学科卒業。30年間に渡り世界の祭り48ヵ国、日本各地の祭りを撮り続ける。週刊朝日百科『日本の祭りシリーズ』連載(朝日新聞出版)、『祭りを撮る』監修(旅行読売出版社)、『日本全国祭り図鑑』監修(フレーベル館)など。写真展「世界のカーニバル」、「被災地の夏祭り」(キヤノン)他。日本写真家協会会員。 公式

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