商売繁盛で笹もってこい!浪花のお正月は「十日戎」で始まる|日本名珍祭り図鑑
2019年1月3日 更新

商売繁盛で笹もってこい!浪花のお正月は「十日戎」で始まる|日本名珍祭り図鑑

祭り写真家の芳賀日向さんが、日本全国よりその土地ならではの珍しい祭りを紹介する連載。今回は、毎年1月9~11日に大阪市浪速区の今宮戎神社で開催される「十日戎(とおかえびす)」です。年の初めのお祭りとして、3日間で約100万人の参詣者が訪れるという、浪花のお正月を象徴するお祭り。お祭りの見どころや撮影ポイントをご紹介します!

芳賀日向芳賀日向

大阪・今宮戎神社で毎年開催「十日戎(とおかえびす)」

毎年1月9~11日の3日間、大阪の今宮戎(いまみやえびす)神社は大変多くの参拝者で賑わいます。境内は朝から「商売繁盛で笹持ってこい」と繰り返しのフレーズでお囃子が流れ、境内は無料で配られる孟宗竹の福笹を手にした人々であふれます。
撮影:芳賀日向 (26680)

via 撮影:芳賀日向

御祭神は商売繁盛の神様として知られる「えびす様」

今宮戎神社の御祭神の一神は事代主命(ことしろぬしのみこと)で、えびす様として知られています。島根県美保神社によると国譲りの神話では、父の大国主神(おおくにぬしのかみ)に代わり、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の使い建御雷神(たけみかづちのかみ)に国譲りを承知した神です。
「青柴垣神事」(美保神社)

「青柴垣神事」(美保神社)

天照大御神に国を譲ると、島根県の美保の海で乗っていた舟を青柴垣に変えて海に還ったとの神話があり、美保神社では4月7日にこの神話を再現する祭り「青柴垣(あおふしがき)神事」が行われます。
via 撮影:芳賀日向
事代主神は海で釣りをするのが好きだったことから、海の恵みを持ってきて人々を訪れる来訪神とされました。海の彼方という言葉から「えべす」、転化して「えびす様」となったと言われ、遠くから恵みを持って来る神様として「恵比須」「恵比寿」「戎」などの漢字が当てられたのです。

全国に広まった七福神信仰

釣り竿をもって大きな鯛を釣ったえびす様は、漁業だけでなく、商売繁盛の神様として崇められました。日本には海の彼方から宝船に乗ってやってくる七福神の来訪神信仰があります。
七福神は庶民信仰の神様で、日本、インド、中国に伝わる神々から七神を選りすぐった、日本独自の信仰です。
えびす様以外は外国の神々で、日本の神々に習合しました。商業が盛んになってきた室町時代に京都で生まれた信仰で、商売繁盛を願った京都の商人や町民たちの七福神信仰が全国へと伝わりました。
宝船に乗って訪れてくる七福神

宝船に乗って訪れてくる七福神

・恵比寿(日本生まれの神様、釣り竿を持ち大きな鯛を釣った姿で現れます)
・大黒天(インドの神様で台所の神様といわれます。様々な物を振り出す、打出の小槌をもっています)
・弁財天(インドの水の女神様。芸術と知恵を与えてくれます)
・毘沙門天(インドの守護神で武神として崇められています)
・寿老人(頭巾をかぶって杖をもち、めでたい長寿の神様)
・福禄寿(長い頭の徳の高い神様で長寿を授ける)
・布袋(太鼓腹で半裸の実在の和尚。大きな袋に福を呼び込む神様)
金華ホヤで知られる宮城県石巻市寄磯浜で正月に行われる「...

金華ホヤで知られる宮城県石巻市寄磯浜で正月に行われる「子供大黒舞」

津波で面が流されましたが、善意による寄付で祭りが復活した。早朝に七福神が登場して舞う。
via 撮影:芳賀日向
長野県「御柱祭 里曳き」に登場する七福神

長野県「御柱祭 里曳き」に登場する七福神

via 撮影:芳賀日向

1月10日は「初えびすの日」

「初えびすの日」と言われる1月10日は、主に西日本で十日戎が開催され、商売繁盛を願う人々で賑わいます。平安期にこの地より宮中に鮮魚を献進し、市が開かれるようになり、その市の守り神として今宮戎神社の戎さまが祀られるようになったことに由来します。

今宮戎神社のある道頓堀では、江戸元禄期から始まったという宝恵駕(ほえかご)が祭りに華を添えます。駕籠で担がれた芸者衆や芸能人たちが晴れ着姿で乗り、ホリデイ・イン大阪難波前より今宮戎神社へと向かいます。「ホエカゴホエカゴ、エライヤッチャエライヤッチャ」のかけ声が響きます。看板やネオンサインがごちゃごちゃと並ぶ道頓堀を宝恵駕が通り、商売繁盛を願います。大阪ミナミの芸妓衆が駕籠をくり出して今宮戎神社に参詣したことに由来するそうです。
宝恵駕

宝恵駕

via 撮影:芳賀日向
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芳賀日向

芳賀日向

はがひなた。祭り写真家。1956年長野県生まれ。米国西イリノイ大学文化人類学科卒業。30年間に渡り世界の祭り48ヵ国、日本各地の祭りを撮り続ける。週刊朝日百科『日本の祭りシリーズ』連載(朝日新聞出版)、『祭りを撮る』監修(旅行読売出版社)、『日本全国祭り図鑑』監修(フレーベル館)など。写真展「世界のカーニバル」、「被災地の夏祭り」(キヤノン)他。日本写真家協会会員。 公式

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