【江戸最強の除霊師!】祐天上人の凄すぎるパワー
2017年7月12日 更新

【江戸最強の除霊師!】祐天上人の凄すぎるパワー

洗練されたなカフェや雑貨屋が立ち並び、大人女子に人気のお洒落な街・中目黒。ここがまだ「中目黒村」と呼ばれていた江戸中期、除霊をはじめとした霊験で関東に名をとどろかせた高僧がいました。その名は「祐天上人」。この祐天上人を開山とする祐天寺をご案内しながら、圧倒的パワーを讃えられた霊験の数々をご紹介いたしましょう。

こまきこまき

江戸時代中期に活躍した浄土宗の高僧・祐天(1637-1...

江戸時代中期に活躍した浄土宗の高僧・祐天(1637-1718)

via 祐天大僧正利益記
祐天上人といえば、歌舞伎の「累物(かさねもの)」の題材である「累伝説」の怨霊を除霊したことで有名ですが、除霊だけではありません。粋で知られる江戸町火消しの「いろは四十八組」の基礎を作ったり、幾人もの妊婦を難産から救ったり、と驚きの業績が今に伝わっています。
この祐天上人を開山とするのが、東京都目黒区にある祐天寺です。

祐天寺――名勝・目黒の念仏道場

祐天寺(表門)

祐天寺(表門)

東京都目黒区中目黒5-24-53
via 写真/こまき
祐天寺は、渋谷から東横線で4つ目の「祐天寺駅」から歩いて10分ほどのところにあります。「寺院を創営し念仏によって衆生を救いなさい」という祐天上人の遺言により、享保8(1723)年に弟子の祐海が開創した寺院です。「念仏によって……」からわかるように浄土宗の寺院で、現在の本堂は開創当初に常念仏堂として建立されたものを再建した建物です。当時は寺院整理が推し進められていて、新しい寺を創ることは禁じられていました。しかし、祐天上人は徳川家から崇拝され帰依されていたため祐天寺の開創が特に許されたのでした。
寺号碑

寺号碑

via 写真/こまき
表門横の寺号碑には「新東京八名勝」との刻字があります。昭和7(1932)年、東京市が15区から35区に改編された記念に、報知新聞主催で読者投票により選定されたのが「新東京八名勝」でした(祐天寺以外の7つは、池上本門寺・西新井大師・北品川天王寺・日暮里諏訪神社・赤塚松月院・洗足池・亀戸天神、です)。「名勝」の名にふさわしく壮麗な祐天寺では毎年、祐天上人の御命日である5月15日に「祐天上人春季大祭」が行われていて、寺院前の駒沢通りをたくさんの僧侶と檀家の人々が念仏を誦しながら行列する様子は素晴らしいものです。
駒沢通りから臨んだ祐天寺

駒沢通りから臨んだ祐天寺

via 写真/こまき
祐天寺を訪れるには、まず東横線の「祐天寺駅」東口に降りてくださいね。駅前にまっすぐ「祐天寺商店街」通りが伸びています。商店街でのおすすめは何といっても「甘味処 越路」。お団子やおまんじゅうはもちろん、のり巻きや稲荷寿司もあってイートインもOK。今回、筆者は五目稲荷と豆大福を買って祐天寺境内でいただきました♪

「祐天寺商店街」をまっすぐ抜けると駒沢通りにぶつかります。左に曲がるとすぐに祐天寺が見えますよ。

祐天上人――力の源は不動明王より

祐天大僧正二百回遠忌報恩塔

祐天大僧正二百回遠忌報恩塔

via 写真/こまき
祐天上人は寛永14(1634)年、陸奥国(福島)に生まれ15歳の時に増上寺(東京都港区芝公園)で修行を始めました。増上寺は浄土宗の総本山であり、徳川家の菩提寺としても有名ですね。そののち、いったんは教団を離れて僧侶浪人となりましたが、請われて飯沼弘行寺(茨城県常総市)住職や伝通院(東京都文京区)住職などをつとめました。そして再び増上寺へ戻った祐天上人は、正徳元(1711)年に36世法主および大僧正に任じられます。法主と大僧正の両方を任じられるのは、とても珍しいケースです。祐天上人がいかに立派な高僧であったかがわかります。
鐘楼堂と釣鐘

鐘楼堂と釣鐘

via 写真/こまき
祐天上人が類いまれな霊力を身に付けたのは、成田山新勝寺(千葉県成田市)に参篭した時でした。夢に不動明王が現れ、祐天上人の喉に剣を差し入れて「力と智慧」を授けたのです。
この力によって悪霊を封じたのですが、それだけではなく難産の妊婦を幾人も救い無事に出産へと導いた業績が伝わっています。
このことにより、世継ぎの欲しい将軍家と大奥から崇敬を受けるようになります。特に徳川5代将軍・綱吉と生母・桂昌院、徳川6代将軍・家宣は、祐天上人に帰依して篤く信仰しました。祐天寺の鐘楼堂と釣鐘は家宣の正室・天英院より寄進されたものです。
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こまき

こまき

歴史ライター。ワイルドサイドを歩くことを信条とする。『時の娘』をはじめとした歴史ミステリーに目がなく、読む→書く→読む→書くの無限ループのうちに日々を過ごす安楽椅子ライター。昼夜を分かたずラジオを流しているラジオ狂でもある。『姓氏家系歴史伝説大事典』『江戸東京魔界紀行』(共に勉誠出版)『社寺縁起伝説辞典』『横溝正史研究』(共に戎光祥出版)等々へ記事執筆多数。

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