異国情緒たっぷり!エキゾチックな祭り「長崎くんち」【日本名珍祭り図鑑】
2018年10月1日 更新

異国情緒たっぷり!エキゾチックな祭り「長崎くんち」【日本名珍祭り図鑑】

祭り写真家の芳賀日向さんが、日本全国よりその土地ならではの珍しい祭りを紹介する連載。今回は、長崎の氏神・諏訪神社の秋季大祭である「長崎くんち」をご紹介。寛永11(1634)年、二人の遊女が諏訪神社神前に舞を奉納したことが始まりと言われ、以来長崎の秋の風物詩として親しまれています。その見どころを写真とともにご紹介します。

芳賀日向芳賀日向

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長崎ならでは!異国情緒たっぷりのお祭り「長崎くんち」

私が「好きな日本の祭りは?」と聞かれた時、必ずあげるのが10月7日~9日に長崎市で行われる「長崎くんち」です。

戦国時代にキリシタンの信仰が盛んだった長崎では、豊臣秀吉によるバテレン追放が行われました。江戸幕府によるキリシタン禁止令で打ち壊された諏訪神社ですが、1625年に再興し、長崎くんちの祭りを始めたと言われます。

神社の神前に奉納した舞で始まった祭りは、長崎奉行の援助もあって年々盛んに。さらに奉納踊には異国趣味のものが多く取り入れられ、江戸時代より豪華絢爛な祭礼として評判だったそうです。
諏訪町 龍踊

諏訪町 龍踊

via 撮影:芳賀日向
海外の文化にまっ先に触れてきた土地柄がよくわかるこの祭り。江戸時代から異国の文化に興味を持った町人たちが自分たちの祭りに異国の風情を織り込み、日本でも稀な和・洋・中の文化が入り交ざった祭りになりました。その演(だ)し物の披露にかける町民の真剣さは、誰もが感動するでしょう。

「長崎くんち」の見どころ

中国では、奇数はめでたい数字とされています。中でも最も大きな数字、9が重なる旧暦9月9日は重陽の良き日とされており、北九州ではこの日を「くんち」と呼び各地で秋祭りを行います。

「長崎くんち」は長崎旧市内の59町が7つのグループに分けられ、7年に一度、踊町(おどりちょう)となり、それぞれの町が演し物を披露します。7年間通うと全町の演し物を見ることができるのです。
艶やかな三味線の調子が始まると、日本舞踊の「本踊」です。シルクハットを被るなどエキゾチックな格好をして、コミカルに掛け合う2人のオランダさんが登場し一緒に踊る「阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)」が始まります。「南蛮船」や「川船」は片肌の法被姿の男たちが、地響きをたてて舟形の山車を激しく曳き回します。
新橋町 阿蘭陀万歳

新橋町 阿蘭陀万歳

via 撮影:芳賀日向
銅座町 南蛮船

銅座町 南蛮船

via 撮影:芳賀日向
演し物は、まず10月7日朝7時に諏訪神社で奉納し、各踊町は3日間、市内4カ所で披露します。どの踊町も最初にゆっくりと優雅に回る傘鉾(かさぼこ)を奉納します。傘鉾はなんと重さ130キロで、垂れ幕や飾りに1千万円もかかっているそうです。
築町 傘鉾

築町 傘鉾

via 撮影:芳賀日向
続いて、各町の演し物が始まります。
それぞれの会場となる踊場には応援団なる青年たちがいて、観客を煽り、踊りや演し物に「かけ声」をかけるのです。長崎くんち独特のかけ声で、傘鉾がきれいに回ると「よいやー!」。アンコールは、演し物の場合は「もってこーい、もってこい!」、踊りの場合は「しょうもやれー!(所望するのでやれぇ)」という具合。
この応援団と大観衆からかけ声と手拍子で、観客も祭りと一体になり、さらに盛り上がるのです。
伝統の応援団 白とっぽ

伝統の応援団 白とっぽ

via 撮影:芳賀日向

今年の演し物の目玉は?

目玉の演し物は、椛島町の「コッコデショ」。
36人の男が太鼓打ちの子供7人を乗せ、重さ1トンの太鼓山を空高く放り投げてポンと両手を打ち、息をぴたりと合わせて片手で受け止めると、微動だにしないのです。
満員の観客からは「よいやー」の大歓声と拍手。各町の演し物に花を添えるのが、独特の節回しの笛や太鼓のしゃぎりの音です。
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芳賀日向

芳賀日向

はがひなた。祭り写真家。1956年長野県生まれ。米国西イリノイ大学文化人類学科卒業。30年間に渡り世界の祭り48ヵ国、日本各地の祭りを撮り続ける。週刊朝日百科『日本の祭りシリーズ』連載(朝日新聞出版)、『祭りを撮る』監修(旅行読売出版社)、『日本全国祭り図鑑』監修(フレーベル館)など。写真展「世界のカーニバル」、「被災地の夏祭り」(キヤノン)他。日本写真家協会会員。 公式

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