快慶、定慶…鎌倉時代の天才仏師「慶派」スーパースターの名品が堪能できる特別展
2018年10月3日 更新

快慶、定慶…鎌倉時代の天才仏師「慶派」スーパースターの名品が堪能できる特別展

奥が深い仏像の世界。仏教の知識がないとなかなか理解できないのではという方も多いと思いますが、運慶と快慶といった「慶派」だけでも押さえておくと、親しみやすいかもしれませんよ。10月2日からは東京国立博物館の特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」も開催。初心者にも優しい仏教の世界に、足を踏み入れてみませんか。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

鎌倉時代の天才仏師「慶派」とは?

平等院鳳凰堂(世界遺産・国宝)

平等院鳳凰堂(世界遺産・国宝)

6世紀半ばに仏教と共に伝わった仏像。奈良時代には天平文化が花開き、興福寺の阿修羅像など、素晴らしい仏像が数多く作られました。しかし平安時代頃まで、仏像を作った仏師の名が残るということはほとんどありませんでした。

平安時代末期の1050年頃、定朝(じょうちょう)が、複数の木材を組み合わせて作る「寄木造り技法」を完成。工房による分業制を確立し、大陸の影響を強く受けた唐朝仏の模刻から、国風文化を模索した繊細で複雑な仏像を制作するようになりました。

定朝の代表作といえば、平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像(国宝)。柔和で瞑想的な表情を持つ定朝の仏像は、平安貴族の間で「仏の本様」と讃えられ大ブームに。そして定朝は仏師として初めて朝廷から僧位を授かります。

こうして仏師の地位が飛躍的に高まると、その作風は弟子達に受け継がれ、やがて「円派」「院派」「慶派」といった流派が生まれました。運慶と快慶はその中の「慶派」に属する仏師です。

慶派の2大スター!運慶と快慶

力強く写実的な作風の運慶

仏像を作る際にはまず設計図となる絵がありますが、絵から形を起こす際の運慶の造形の才能には、目を見張るものがあります。

定朝が確立した様式をさらに発展させた運慶の作品は、力強く写実的で革新的。この時代に台頭してくる武士達に特に好まれました。

1176年、運慶20代の作といわれている奈良・円成寺の大日如来像(国宝)には、新時代の気風と、青年・運慶の若々しいエネルギーがみなぎっています。

優美で端正な作風が魅力の快慶

運慶の弟弟子にあたる快慶は、自らを安阿弥陀仏と称し、阿弥陀如来像を多く残しました。快慶が製作した仏像は「安阿弥様」(あんなみよう)と呼ばれ、貴族や武士だけでなく一般庶民にも広く親しまれました。

作風は、写実的なのはもちろん優美で端正。現存するもので最も古いのは、ボストン美術館蔵(旧興福寺)弥勒菩薩立像(文治5・1189年)といわれています。建仁元年(1201年)には、東大寺の僧形八幡神像を製作しています。

代表作として知られる東大寺南大門の「金剛力士立像」

東大寺・南大門(世界遺産・国宝)

東大寺・南大門(世界遺産・国宝)

治承4(1180)年に起きた「南都焼討事件」により、東大寺や興福寺などをはじめとする奈良(南都)の仏教寺院は、そのほとんどを焼失してしまいます。
その後の復興事業で、東大寺大勧進職として指揮をとる重源のもと、仏師として抜擢されたのが運慶と快慶でした。

建仁3(1203)年に東大寺南大門の再建が始まり、金剛力士立像の製作が始められたのです。
東大寺南大門の金剛力士立像、阿形像(左)と吽形像(右)

東大寺南大門の金剛力士立像、阿形像(左)と吽形像(右)

二体一対となっている金剛力士立像。「阿」は宇宙の始まり、「吽」は宇宙の終わりを表しているといわれています。
現在も愛され続ける運慶と快慶の作品。2017年9月にも東京国立博物館で「運慶」展が開催され、大きな話題になりました。

そして今年は10月から、東京国立博物館で特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」が開催。快慶と、運慶の弟子である定慶・行慶ら「慶派」スーパースターの名品が一挙に公開されます。

慶派の名品が一堂に会する特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」

特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」

特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」

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