【『西郷どん』では語りきれない真実】西南戦争の激戦地でその歴史を伝える熊本市田原坂西南戦争資料館
2018年10月11日 更新

【『西郷どん』では語りきれない真実】西南戦争の激戦地でその歴史を伝える熊本市田原坂西南戦争資料館

大河ドラマ「西郷どん」も、いよいよ明治へ突入。明治維新から10年後、西郷隆盛を中心とした薩摩軍と明治政府軍との間で日本最後の内戦・西南戦争が勃発します。なかでも激戦地となったのが、熊本市植木町の田原坂です。今も戦いの跡が残る現地で、その歴史を伝えている熊本市田原坂西南戦争資料館を取材してきました。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

激戦地・田原坂で西南戦争の歴史を今に伝える資料館

明治維新後、新政府と対立した西郷隆盛。故郷の鹿児島に下野し、私学校を設立しますが、佐賀や熊本など各地で士族の反乱が続出。ついに西郷も挙兵を決意します。
そして明治10(1877)年2月15日、約7か月に及ぶ壮絶な戦いが始まったのです。なかでも激戦地となったのが、田原坂(たばるざか)でした。
熊本市田原坂西南戦争資料館。入り口には西郷隆盛と谷干城...

熊本市田原坂西南戦争資料館。入り口には西郷隆盛と谷干城の顔ハメパネルが。

via 撮影:ユカリノ編集部
戦いの舞台となった田原坂にある「熊本市田原坂西南戦争資料館」では、西南戦争で実際に使われた銃や弾、「西郷札」などが展示、戦いの経緯や当時の様子を映像やジオラマで分かりやすく今に伝えています。
展望デッキからは、古戦場全体が見渡せる。

展望デッキからは、古戦場全体が見渡せる。

via 撮影:ユカリノ編集部

西南戦争に至るまでの経緯を知る

展示コーナーに入ってすぐの壁面では、ペリー来航から薩長同盟や江戸無血開城など、西南戦争に至るまでに起こった歴史的な出来事を写真や錦絵などで時系列で解説。
西南戦争という重くなりがちなテーマであっても、若い世代が理解しやすいよう展示されています。
幕末から西南戦争までの経緯を、壁画で分かりやすく解説。...

幕末から西南戦争までの経緯を、壁画で分かりやすく解説。奥に見える熊本城へ進軍していくイメージで構成されている。

via 撮影:ユカリノ編集部
西南戦争に至るまでの経緯や、なぜ田原坂が激戦地になったのかを知ってもらいたいと語るのは、館長の中村さん。今年は大河ドラマ『西郷どん』の影響からか、鹿児島や地元の学校の見学依頼も増えており、地元の歴史を見つめ直すきっかけにもなっているようです。

西南戦争最大の謎?薩摩軍総攻撃の3日前に起こった熊本城炎上

正面に見えるのは、西南戦争で燃える前の熊本城の写真。床...

正面に見えるのは、西南戦争で燃える前の熊本城の写真。床には両軍の攻守の図も。

via 撮影:ユカリノ編集部
進軍する薩摩軍と政府軍がまず衝突したのが、ご存じ熊本城です。政府軍による熊本城での籠城作戦で、長年謎とされているのが「熊本城炎上」について。

明治19(1877)年2月19日、熊本城で火事が発生し、天守と本丸御殿が全焼してしまいます。
原因は、失火及び熊本鎮台にいた薩摩人による放火、兵士を鼓舞するためや砲撃目標になりやすい天守をなくすための政府軍による自焼など諸説ありますが、今も分かっていないようです。

同館では、炎上前の貴重な姿を映した熊本城天守閣の写真とともに、平成29年度の発掘調査で出土した当時の瓦を見ることができます。瓦は焼けて変色・変形しており、その凄まじさがうかがえます。

熊本城だけじゃなく田原坂も!西南戦争の影のキーパーソンは加藤清正だった?

政府軍約3千人は50日以上にわたる籠城に耐え、早く進軍したい薩摩軍は熊本城を落とすことを諦めます。このことから、西郷が熊本城を築城した『清正公に負けた』と言った逸話をよく聞きますね。平和だった江戸時代、難攻不落かどうか証明する機会がなかった熊本城ですが、西南戦争によってそのことが証明されたわけですね。

そして、西南戦争と加藤清正とのつながりは、熊本城に限った話ではなかったのだとか。
「田原坂という場所自体、清正公の戦略が活きた場所だった。西南戦争の影のキーパーソンは、実は加藤清正公なんです。」と館長の中村さんは言います。
地形が戦況に影響していることがよくわかる。

地形が戦況に影響していることがよくわかる。

via 撮影:ユカリノ編集部
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