【『西郷どん』では語りきれない真実】西南戦争の激戦地でその歴史を伝える熊本市田原坂西南戦争資料館
2018年10月11日 更新

【『西郷どん』では語りきれない真実】西南戦争の激戦地でその歴史を伝える熊本市田原坂西南戦争資料館

大河ドラマ「西郷どん」も、いよいよ明治へ突入。明治維新から10年後、西郷隆盛を中心とした薩摩軍と明治政府軍との間で日本最後の内戦・西南戦争が勃発します。なかでも激戦地となったのが、熊本市植木町の田原坂です。今も戦いの跡が残る現地で、その歴史を伝えている熊本市田原坂西南戦争資料館を取材してきました。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

田原坂が激戦地となった理由は、その当時、田原坂は熊本城へ向かう幹線道路であり、大砲を率いた軍隊が通ることができる唯一の道だったためといわれます。
籠城を続ける熊本城の支援に向かう政府軍にとって、田原坂はどうしても突破しなければならない道だったのです。
しかし田原坂は、加藤清正が熊本城を攻めてくる敵を迎え撃つことを想定して、曲がり角が多く両側を高くして造られた道でした。薩摩軍は、それを利用して政府軍を迎え撃ったのです。
資料館を訪れる際に、木葉方面から田原坂を進むと、その地形を感じることができます。
地元の学生やボランティアの皆さんによる、リアルな再現映像

地元の学生やボランティアの皆さんによる、リアルな再現映像

via 撮影:ユカリノ編集部
田原坂で政府軍を迎え撃った薩摩軍。「越すに越されぬ田原坂」というように、政府軍はこの田原坂と吉次峠において大変な苦戦を強いられました。

同館ではその戦いの様子を、映像でリアルに再現。年端も行かぬ少年たちが、時には親兄弟でさえ敵味方に分かれ、殺し合わなければならなった現実。彼らがその先に思い描いたものとはーー。
最後に映し出される言葉に、その意味の重さを考えさせられます。

今も発掘される銃弾…戦いの悲惨さを物語る品々

薩摩軍の陣地から出土された銃弾の数々

薩摩軍の陣地から出土された銃弾の数々

via 撮影:ユカリノ編集部
政府軍が田原坂の十七昼夜にわたる戦闘で消費した弾薬は、1日平均約32万発といわれています。日露戦争の第二次旅順攻撃でも約30万発だったといわれるので、田原坂の戦いはまさに地獄絵図のようだったでしょう。

白っぽい方が、政府軍が発砲したと思われるスナイドル銃弾。薩摩軍が陣を構えていた田原熊野座神社付近を政府軍が盛んに攻撃したため、調査では1000点を超える遺物が出土されているのだとか。
補給路を分断されて銃弾の補給ができなくなった薩摩軍は徐々に追い詰められ、政府軍の撃った弾を拾って使い回しながら戦ったのです。
当時の軍服や食事などのレプリカ

当時の軍服や食事などのレプリカ

薩摩軍は服装が統一していなかったようですが、当時『おかま帽』と呼ばれたフェルトの中折れハットが流行っていたのだそうです。
via 撮影:ユカリノ編集部
長引く戦闘において、援軍や補給物資といった面で有利だった政府軍。薩摩軍は大雨のなか一気に攻め込まれ、総崩れに。明治10(1877)年3月4日から同月20日までの17日間にわたる田原坂の激戦は、多大な犠牲者を出し、終わりを告げたのです。

若い世代に知ってもらいたい、西南戦争の真実

薩摩軍の少年兵をイメージした同館の人気キャラクター、美...

薩摩軍の少年兵をイメージした同館の人気キャラクター、美少年の「山口雄吾」

このキャラクターを描いたのは、なんと熊本市の担当者さん!
熊本市文化振興課植木分室が企画・編集している「年刊 田原坂」の表紙にこのイラストが使われると、親しみやすさが話題を呼び、創刊号は初版3万部からなんと2度も増刷に。
内容はあくまでも戦争の事実をしっかりと伝えていますが、若者世代にも興味を持ってもらう良いきっかけとなっているようです。
via 撮影:ユカリノ編集部
記念撮影スポットも充実

記念撮影スポットも充実

展示の最後には記念撮影スポットも設けられています。薩軍・官軍の制服や看護服などの衣装を自由に借りて撮影可能です。
via 撮影:ユカリノ編集部
館長の中村さんは「西南戦争は、教科書ではたった2行程度で説明されてしまいます。けれどその奥には様々な事実があり、ドラマがありました。大河ドラマ『西郷どん』をきっかけに、もっと詳しく知りたいと興味を持ってもらえたら嬉しいですね。そして田原坂へ足を運んでいただき、実際はどうだったのかを感じてほしいです。」と話してくれました。

大河ドラマや教科書では語りきれない、西南戦争の真実と、戦いに関わった人々のドラマ。
ぜひこの機会に田原坂を訪れ、体感してみてください。

熊本市田原坂西南戦争資料館

平成30年10月20日(土)~平成31年1月30日(水)の期間は、明治150年特別企画展「会津と熊本」も開催。ともに明治初期に大きな戦いの舞台となった会津(福島県)と熊本を比較しながら紹介します。「鬼官兵衛」こと佐川官兵衛着用と伝わる脚絆などが展示されるとのことです。
所在地:熊本市北区植木町豊岡858-1
定休日:12月29日〜1月3日
営業時間:9時〜17時(入館は16時30分まで)
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