東京駅の謎、答えは佐賀に!建築家・辰野金吾の粋な干支ミステリー
2018年8月10日 更新

東京駅の謎、答えは佐賀に!建築家・辰野金吾の粋な干支ミステリー

日本の玄関口、東京駅。平成24(2012)年に大改修が行われ、大正3(1914)年当時と変わらない姿に生まれ変わりました。辰野金吾が設計した駅舎には隠れた見どころがあり、その謎は遠く佐賀県にも関係があることがわかりました。この夏休み、東京駅を利用する際はぜひチェックしてみてください。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

東京駅の設計を手掛けた辰野金吾

辰野金吾(たつの きんご)

辰野金吾(たつの きんご)

via 国立国会図書館デジタルコレクション
明治・大正時代を代表する建築家、辰野金吾。東京駅以外にも日本銀行本店や初代国技館の設計を手掛けたことで有名です。

東京駅といえば赤レンガ作りの外観を眺める方は多いと思いますが、今回注目してほしいのは丸の内駅舎の八角形のドーム天井です。
駅構内でわざわざ天井をじっくり眺めたことがない、という人も多いのではないでしょうか。しかしよく見ると、そこに隠れた見どころがあるのです。

東京駅の駅舎天井にある、8つだけの干支レリーフ

東京駅

東京駅

via 撮影:ユカリノ編集部
駅舎のドーム天井

駅舎のドーム天井

via 撮影:ユカリノ編集部
 (22943)

天井までの距離があるため少々見づらいですが、よく目を凝らしてみると丑・寅・辰・巳・未・申・戌・亥の8つの干支レリーフが確認できます。
ここで気になるのが、残りの4つの干支の行方ですよね。同じ東京駅構内の何処かにあるのではと思うでしょう。しかし東京駅内にそれらしいものはなく、残り4つの干支レリーフの行方は長年の謎でした。

平成24(2012)年の東京駅大改修の際にも疑問視されましたが、辰野が残した資料には何も書かれておらず、誰も謎が解けないままだったのです。

残り4つの干支は、佐賀県の武雄温泉に!

このまま十二支揃うことはないと思われていましたが、2013年に意外な場所で発見されました。それは佐賀県にある武雄温泉楼門の天井。残り4つ、「酉(とり)」「子(ね)」「卯(う)」「午(うま)」四干支の彫絵が存在していたのです。
発見に至った経緯は偶然で、JR東日本の建築設計事務所に勤めている職員が武雄温泉を訪れた際、たまたま発見したのだとか。
国重要文化財の武雄温泉楼門

国重要文化財の武雄温泉楼門

via 写真提供:武雄市観光協会
楼門の天井に見られる「午(うま)」の彫絵

楼門の天井に見られる「午(うま)」の彫絵

via 写真提供:武雄市観光協会

なぜ佐賀県なのか?

偶然の発見により全て揃った干支のレリーフですが、なぜ東京駅から遠い佐賀県の武雄温泉に設置されていたのでしょうか。実はこの武雄温泉楼門も、佐賀県唐津市出身の辰野による設計なのです。

モダンで洋風な近代的建築物である東京駅と、釘も使用せずに作られた和風建築物である武雄温泉の楼門。正反対の2つの建物は同時期に設計されており、初めから十二支のレリーフを分けて設置しようという辰野の遊び心だったという説もあります。また、伝統も新たな技法も大切にするべきという日本の建築に対する辰野の主張だったのかもしれません。

現地では、この楼門の四干支を見学するガイド付きプログラムが期間限定で開催されています。
「楼門四干支見学会」
期間:平成31年3月31日(日)まで
※毎週火曜日は除く。8月14日は実施。
時間:午前9時~午前10時(受付は9時30分まで)1回あたり約20分
見学料:大人400円、子ども200円 ※文化財保護協力費として(入浴付き)
25 件

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

ユカリノ編集部

ユカリノ編集部

全国各地の「ゆかりの」エピソードをほぼ毎日お届け。知ればもっと行きたくなる、歴史の聖地巡礼へご案内します! 公式

関連する記事 こんな記事も人気です♪

全国から参加可能!古地図を見ながら幕末の江戸をバーチャルウオーキングしよう

全国から参加可能!古地図を見ながら幕末の江戸をバーチャルウオーキングしよう

近年、歴史ファンのみならず注目されている古地図散歩。関連アプリもたくさん出ており、スマホ片手に気軽に街歩きが楽しめると人気です。気づくと一日中歩いてしまう…そんな方におすすめしたいのが、タニタの「からだカルテ」を使ったバーチャルウオーキング。幕末の江戸、そして今の東京を比較しながら、楽しく健康に古地図散歩をしてみませんか?【PR】
エピソード満載!早稲田大学創設者・大隈重信ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第10回】

エピソード満載!早稲田大学創設者・大隈重信ゆかりの地【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第10回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第10回は大隈重信ゆかりの地です。早稲田大学創設者であり、総理大臣に二度も就任している大隈は、日本で初めて始球式を行うなど、エピソードの宝庫でもあります。青年時代から新政府の中枢に入るまでの、とくに興味深いエピソードとゆかりの地をご紹介します。
幕末維新に活躍した肥前佐賀藩の先人「佐賀の七賢人」まとめ

幕末維新に活躍した肥前佐賀藩の先人「佐賀の七賢人」まとめ

幕末から明治にかけて、数多くの人材を輩出した肥前佐賀藩。その中でも中心的な役割を果たした7人を「佐賀の七賢人」と呼びます。幕末の佐賀藩主・鍋島直正や、早稲田大学創設者の大隈重信などの有名人から知られざる?人物まで、七賢人をまとめてご紹介。3月17日(土)から始まる「肥前さが幕末維新博覧会」の予習にどうぞ!
教科書で見た資料がズラリ!国立公文書館の明治150年特別展「躍動する明治-近代日本の幕開け-」

教科書で見た資料がズラリ!国立公文書館の明治150年特別展「躍動する明治-近代日本の幕開け-」

2018年は明治150年の記念の年。東京・国立公文書館では特別展「躍動する明治-近代日本の幕開け-」が開催中です。明治に突入し、日本は欧米諸国の制度を取り入れた急速な近代化を進め、目まぐるしい変化を遂げました。そんな明治期の日本の歩みを貴重な資料とともに振り返る本展から、「教科書で見た!」と言いたくなる見どころを厳選してレポートします。
日本銀行本店が建つ場所は、江戸の昔から“お金”とゆかりのあるところだった

日本銀行本店が建つ場所は、江戸の昔から“お金”とゆかりのあるところだった

10月10日は日本銀行開業の日。そこで日本銀行本店の中を見せてもらえる「一般見学コース」を体験してきました。歴史を感じる素晴らしい建物。そして日銀が担う大切な役割。さらにここがお金と大変ゆかりのある地だということもわかりました。まさに、見て・楽しんで・学べる、歴史好きの方々におススメしたい見学ツアーです。
兄・容保と最後まで幕府に尽くした、桑名藩主・松平定敬【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第23回】

兄・容保と最後まで幕府に尽くした、桑名藩主・松平定敬【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第23回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第23回は、桑名藩主・松平定敬ゆかりの地を紹介します。高須四兄弟の末弟だった定敬は、京都所司代として兄である会津藩主・松平容保とともに幕府に尽くします。しかし戊辰戦争が始まると徐々に追い詰められ…。時流に翻弄された定敬の波乱万丈な生涯を、ゆかりの地とともにご紹介します。
田園からおしゃれに進化!城や花街もあった渋谷の歴史【古地図と巡る江戸街並み探訪:第4回】

田園からおしゃれに進化!城や花街もあった渋谷の歴史【古地図と巡る江戸街並み探訪:第4回】

「は~るの小川は さらさら行くよ~♪」で有名な童謡『春の小川』。とても豊かで静かな自然を感じさせる、よく親しまれた歌ですが、この歌の小川、実は渋谷を流れている渋谷川のことを歌っているのです。現在ではすっかりその面影は無くし、ファッションや情報、若者文化の最先端を行く街・渋谷。昼夜を問わず賑やかなこの街の歴史を探しに行ってみましょう。
【今年も開催!しながわ宿場まつり】当代随一の宿場町・東海道「品川宿」の歴史とは?

【今年も開催!しながわ宿場まつり】当代随一の宿場町・東海道「品川宿」の歴史とは?

江戸時代、東海道53次最初の宿場町として栄えた品川宿。その伝統と文化を未来に伝え、地域の発展をめざして開催されるのが「しながわ宿場まつり」です。このエリアは正真正銘の旧東海道の品川宿。「北の吉原 南の品川」といわれ、大名行列や維新志士も通った東海道品川宿の歴史をご紹介します。
近藤勇たち新選組隊士が志を育んだ、江戸剣術道場めぐり後編【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第21回】

近藤勇たち新選組隊士が志を育んだ、江戸剣術道場めぐり後編【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第21回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第21回は、新選組ゆかりの江戸道場を巡ります。各地から隊士が集まった新選組、江戸には局長・近藤勇の試衛館のほかにも、幹部ゆかりの道場が点在します。沖田総司や土方歳三、山南敬助、永倉新八らが志を育んでいった場所で、彼らの若き情熱を感じてみてください。
明治天皇と乃木希典、明治の精神にふれるゆかりの神社巡り

明治天皇と乃木希典、明治の精神にふれるゆかりの神社巡り

今年は明治維新150年という節目の年。明治45(1912)年9月13日は、その明治という時代と共にあった明治天皇の大喪が行われた日、そして乃木希典・静子夫妻が殉死した日にあたります。今回は明治天皇と乃木希典、そして二人の人徳を今に伝える明治神宮と乃木神社をご紹介します。