【逃げの小五郎】桂小五郎(木戸孝允)が潜伏した兵庫県出石
2018年8月9日 更新

【逃げの小五郎】桂小五郎(木戸孝允)が潜伏した兵庫県出石

維新の三傑の一人、桂小五郎(木戸孝允)。大河ドラマ『西郷どん』では玉山鉄二さんが演じています。「逃げの小五郎」とも呼ばれ、一説には池田屋事件で屋根を伝って逃げたとも言われます。彼は禁門の変後、幕府の追っ手の目をかいくぐり潜伏生活を続けました。協力者のおかげでなんとか逃亡を成功させた桂ですが、彼が潜伏したのはどんな場所だったのでしょうか。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

長州藩と禁門の変

急進的な攘夷思想が主力となった長州藩は、幕府に代わって天皇を擁し、攘夷を実行に移そうとします。そして元治元(1864)年7月、禁門の変で薩摩藩や幕府方と衝突が起きてしまいました。
これに敗れた長州藩は朝敵となってしまい、攘夷に対して慎重論を唱えていた桂ももちろん長州藩の中心とみなされ、命を狙われる状態となってしまったのです。

こうして、彼の逃走と潜伏生活が始まったのでした。
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『トイレに行きたい』と言って逃げ出したこともある桂小五郎(木戸孝允)
はじめのうちは京都に潜伏し、時には物乞いの姿をして橋の下に隠れたこともあったそうです。この時、食事を運んだり情報を伝えたりしたのが、後の妻となる芸妓・幾松でした。
しかし、追っ手の目が厳しくなると、桂は京都を脱出することを選びます。行き先は出石(兵庫県豊岡市)でした。

桂小五郎が潜伏した兵庫県出石

桂小五郎居住跡(荒物屋跡)

桂の逃亡を手助けしたのが、商人の広戸甚助・直蔵兄弟でした。彼らは桂を出石に潜伏させ、荒物屋の主人に仕立て上げます。この時、桂は「廣江孝助」と名乗っていました。

現在、荒物屋跡は蕎麦屋になっていますが、そのかたわらに石碑があります。そのうちのひとつには「桂小五郎再生之地」とあり、彼がこの出石から再起を図ったことが感じられます。
桂小五郎居住跡(兵庫県出石)

桂小五郎居住跡(兵庫県出石)

とはいっても、桂はこの荒物屋だけに腰を落ち着けていたわけではありません。追っ手をかく乱するかのように、彼は近辺を転々としています。そのため、他にも彼の居住跡という石碑が建てられています。

追っ手から逃れる苦しい潜伏生活の中でも、桂にはささやかな楽しみがあったそうです。それが、潜伏先からほど近い昌念寺の和尚と碁を打つこと。この時だけは、逃亡の辛さから少しは解放されていたのかもしれません。

時には峠も越えて身を寄せた「西念寺」(兵庫県養父市)

峠を越えて身を寄せた西念寺

峠を越えて身を寄せた西念寺

via 写真提供:一般社団法人やぶ市観光協会
出石に潜伏していた桂ですが、時には追っ手である新選組が出石にまで見回りに来ることもありました。その情報を耳にするたび、桂は峠を越え、養父市の西念寺に身を寄せたそうです。この時は寺男だと偽って隠れていたのだとか。
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