兄・容保と最後まで幕府に尽くした、桑名藩主・松平定敬【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第23回】
2018年10月9日 更新

兄・容保と最後まで幕府に尽くした、桑名藩主・松平定敬【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第23回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第23回は、桑名藩主・松平定敬ゆかりの地を紹介します。高須四兄弟の末弟だった定敬は、京都所司代として兄である会津藩主・松平容保とともに幕府に尽くします。しかし戊辰戦争が始まると徐々に追い詰められ…。時流に翻弄された定敬の波乱万丈な生涯を、ゆかりの地とともにご紹介します。

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兄とともに幕府へ尽くした、若き桑名藩主・松平定敬

松平定敬 文久2(1862)年

松平定敬 文久2(1862)年

松平定敬(まつだいら・さだあき)は、幕末の桑名藩主で「京都所司代」の役に就いた人物です。兄である会津藩・松平容保(かたもり)とともに幕府へ尽くした人物ですが、一般的知名度はそう高くはありません。
ですが、定敬は戊辰戦争で、榎本武揚や土方歳三らと同様に箱館まで渡り、箱館が降伏する前に海外に脱出するほど追い込まれた人物なのです。
そんな定敬の人生を多くの方に知っていただきたいと思います。

「高須四兄弟」の末弟として

1878年9月に撮影された 「高須四兄弟肖像」※左から...

1878年9月に撮影された 「高須四兄弟肖像」※左から定敬、容保、茂栄、慶勝

松平定敬は、弘化3(1847)年、美濃高須藩松平家の8男として生まれます。定敬には、ほかに9人の男兄弟がいましたが、そのうちの尾張14代藩主・慶勝、尾張15代藩主・茂徳(もちなが)、会津藩主・容保、桑名藩主・定敬の4人を「高須四兄弟」という名で聞いたことがある方もいると思います。
高須藩は禄高こそ3万石でしたが、御三家筆頭の尾張藩の分家として家格が高く、尾張藩を支える立場だったのですね。
定敬が過ごした、桑名藩江戸藩邸周辺

定敬が過ごした、桑名藩江戸藩邸周辺

東京駅から徒歩10分ほどの場所。
久安橋を越えたあたりが桑名藩邸周辺です。
現在の楓川宝町公園から鳥居稲荷神社の手前くらいがその範囲にあたりますよ。
via 提供:小栗さくら

若くして桑名藩主に

安政6(1859)年、桑名藩主が26歳の若さで亡くなり、後継ぎが幼少だった桑名藩は大騒動となります。そこで藩主の娘・初姫の婿養子として迎えられたのが定敬でした。このとき定敬は13歳、初姫はなんと2歳です。
ですが、江戸での任務が多かった定敬は、3年後にようやく桑名に入城したといいます。江戸生まれの定敬は、16歳まで江戸で育ったのですね。
桑名城の蟠龍櫓(復元)

桑名城の蟠龍櫓(復元)

via 写真提供:桑名市

断りたかった京都所司代

将軍・家茂との出会い

徳川家茂像(絹本著色)徳川記念財団蔵

徳川家茂像(絹本著色)徳川記念財団蔵

まだ定敬が江戸にいた13歳の頃、初めて14代将軍・家茂にお目見得します。二人は共に弘化3(1846~1847)年生まれということもあり、家茂は定敬に親しみを感じていたといいます。

4年後の文久3(1863)年、江戸城で火事が発生。その時定敬は、夜にもかかわらず江戸城へと急ぎ、一番乗りで駆けつけました。家茂は定敬の忠義にとても喜び、その信頼は更に増したとか。
しかしこの信頼が、京都所司代への就任に繋がっていくのでした。
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この記事のキュレーター

小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

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