皇居の四囲を護る〝守護者〟となった銅像たち「ニッポン銅像探訪記 第4回:皇居周辺」
2017年3月17日 更新

皇居の四囲を護る〝守護者〟となった銅像たち「ニッポン銅像探訪記 第4回:皇居周辺」

連載第4回目は東京の中心地・皇居周辺の銅像を紹介。歴史好きの皆様でしたら、天皇が住まう皇居は、江戸時代まで幕府が置かれた江戸城だったことは説明不要でしょう。維新後、天皇の住まいとなった皇居の周囲には、皇室とゆかりが深い歴史人物や、維新に功績があった軍人の銅像が多く築かれました。天皇家および日本の〝守護者〟となった像を訪ねてみましょう。

滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

【楠木正成像】学校総出、10年がかりゆえのクオリティ

尊王の士であり、戦前は英雄視されていた楠木正成像。銅像...

尊王の士であり、戦前は英雄視されていた楠木正成像。銅像の人気投票をすれば、かなり上位にランクインするはず。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
まずは皇居の西側、皇居前広場に立つ楠木正成像。すぐそばに東京観光のマストスポットといえる二重橋があることもあり、正成像前はいつも国内外の観光客の記念撮影でにぎわっています。騎馬武者の勇壮な姿と、兜の影によって素顔がよく見えないそのミステリアスな雰囲気は、外国人にとっても「ohh!ワンダフル!!」となるのでしょう。

 楠木正成は鎌倉時代末期、幕府打倒の狼煙を上げた後醍醐天皇に味方し、建武の新政を支えた武士です。建武の新政が失敗に終わり多くの武士が後醍醐天皇に見切りをつける中、正成は最期まで天皇のために戦ったことから、皇室を守った忠臣として戦前は非常に高い人気を誇りました。銅像の制作者は明治を代表する彫刻家であり仏師である高村光雲。銅像造りは光雲が教授を務めた美術学校の専門家や生徒らも関わり、10年がかりで完成しました。それを聞くと、この銅像のクオリティの高さも納得です。
甲冑のディテールから服装のシワ、馬のたてがみまでじつに...

甲冑のディテールから服装のシワ、馬のたてがみまでじつにリアル。甲冑であれば甲冑の専門家、日本刀であれば日本刀の専門家が制作に参画した。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

【和気清麻呂像】皇居の鬼門はワシが守る!

道鏡の魔手から皇室を救ったとされる和気清麻呂。古風な衣...

道鏡の魔手から皇室を救ったとされる和気清麻呂。古風な衣冠に帯剣姿。楠木正成とともに「文武の二忠臣」と称されることもある。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
 楠木正成像を見たら、内堀通りを北へ。途中、大手門から入って江戸城散策をしたくなりますが、グッとこらえて大手濠沿いを進んでください。しばらく行くと、気象庁前の信号機の広場に、古風な服装の人物像が見えてくるでしょう。和気清麻呂(わけのきよまろ)像です。
内堀通りから見える桜田巽櫓(手前)と富士見櫓(奥)。江...

内堀通りから見える桜田巽櫓(手前)と富士見櫓(奥)。江戸城屈指の撮影ポイント。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
「和気清麻呂って誰?」という人も多いことでしょう。奈良時代後期、女帝であった孝謙天皇に寵愛されていた僧呂・道鏡が、皇位を奪おうとした事件が勃発しました(この事件については異説も多く、ここに書くと怒られてしまうトンデモ説もあったりするので、興味がある人は調べてみてください)。このとき、道鏡の野望を阻止して、続いて平安京への遷都を進言したのが和気清麻呂です。明治維新後は、楠木正成と同様に天皇家に尽くした人物として再評価され、全国の小学校に清麻呂像が立てられたといいます。

 気象庁前に立つこの銅像は、皇紀2600年(神武天皇の即位を元年とする)を記念して1940(昭和15)年に建立されました。設置された場所は、皇居の北東、つまり鬼門の位置にあたります。鬼門は忌むべき方向とされ、悪いことを絶つための鬼門除けとして、皇室を守り抜いた和気清麻呂が選ばれたのでした。銅像が立つ広場の内堀が内側に凹み、角が欠けているのも鬼門除けによるもの。ちなみに、この清麻呂像から北東の方角にある上野には、皇居(江戸城)の鬼門除けとして寛永寺と西郷隆盛像があります。江戸・東京が風水によって成り立っていることを感じることができるスポットです。
和気清麻呂像が立つ広場は、江戸城の鬼門除けである内堀の...

和気清麻呂像が立つ広場は、江戸城の鬼門除けである内堀の欠け(凹み)部分にあたる。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

【大村益次郎像】注釈はつきますが、いちおう日本初です

次は靖国神社を目指しましょう。全体に登りの行程となりますが、途中でへこたれないように。国立近代美術館工芸館の裏手には北白川宮能久親王像(明治の軍人で台湾出征で陣没)、北の丸公園には吉田茂像(総理大臣として戦後日本を牽引)が立ちます。また、九段坂公園にある大山巌像(日露戦争の陸軍総司令官)や品川弥二郎像(吉田松陰の弟子で明治政府高官)も是非鑑賞したいところ。
国立近代美術館工芸館に立つ北白川宮能久親王像。かつては...

国立近代美術館工芸館に立つ北白川宮能久親王像。かつては、この地にあった近衛師団司令部の正門を飾っていたが、1961年に建物の脇に移築された。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
北の丸公園の芝生にたたずむ吉田茂像。

北の丸公園の芝生にたたずむ吉田茂像。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
騎馬像である大山巌像。

騎馬像である大山巌像。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
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滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

かみゆ歴史編集部は「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。最近の編集制作物に『エリア別だから流れがつながる世界史』(朝日新聞出版)、『歴史REAL 山城を歩く』(洋泉社)、『戦国最強の城』(プレジデント社)、『鳥瞰イラストでよみがえる歴史の舞台』(学研プラス)、『廃城をゆく5〜戦国の城を極める!』など。代表の滝沢弘康は講演や講座、メディア出演も行う。 公式

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