生誕900年の特別展も開催!世を捨て和歌に生きた歌人・西行法師の歩いた道
2018年10月12日 更新

生誕900年の特別展も開催!世を捨て和歌に生きた歌人・西行法師の歩いた道

2018年は、歌人・西行が生まれてから900年の記念の年。生誕地である和歌山県・和歌山県立博物館ではその記念展が開催されます。多くの歌集に歌を残し、後世まで大きな影響を与えた彼の人生はどんなものだったのでしょうか。武家に生まれながらそれを捨て、僧として生きる道を選んだ西行の生涯を、ゆかりの地とともにたどってみませんか?

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

歌人・西行の生涯

西行坐像(弘川寺蔵)

西行坐像(弘川寺蔵)

via 写真提供:和歌山県立博物館
西行は、元々は鳥羽院に仕えた北面武士で、俗名を佐藤義清といいました。武芸や和歌に通じた才能あふれる若者でしたが、23歳で突如出家し、西行と名乗るようになります。理由ははっきりしていませんが、友の死や失恋が関係しているのではないかとも言われています。

その後、諸国を巡る旅に出た西行。2度の東北訪問や、中国・四国地方、高野山、伊勢など多くの場所を訪れ、たくさんの和歌を残しています。鎌倉では源頼朝に面会したこともありました。
河内国の弘川寺を終の棲家とした西行は、建久元(1190)年に73歳で亡くなります。

人生のほとんどを隠棲者として過ごし、その世界観を盛り込んだ西行の和歌のスタイルは、当時のみならず後世にも大きな影響を与えました。藤原俊成・定家親子など当代一流の歌人たちとも交流があった西行。彼の和歌は、新古今和歌集や千載和歌集、百人一首にも撰ばれ、現在に残されています。

全国にある西行ゆかりの地

西行法師の道(香川県坂出市)

写真提供:(公社)香川県観光協会 (24869)

西行が詣でたとされる道のりが整備され、『西行法師の道』となった。
via 写真提供:(公社)香川県観光協会
鳥羽院に仕えていた西行ですから、おそらくその息子である崇徳院とも交流があったのでしょう。保元の乱に敗れて讃岐へ配流となり、失意のうちに亡くなった崇徳院を偲び、西行はその墓である白峯御陵を訪れています。
「よしや君 昔の玉の 床とても かからん後は 何にかはせん」
(かつては立派な御殿にいらしたあなたですが、お亡くなりになった後は、いったい何になるのでしょうか…どうか成仏ください)
御陵の前で彼が詠んだ歌には、崇徳院への思いがにじんでいます。
白峯御陵への道は「西行法師の道」と呼ばれ、西行と崇徳院の歌碑や灯籠が並んでいます。

西行永眠の地・弘川寺(大阪府河南町)

弘川寺

弘川寺

西行が晩年を過ごした弘川寺には、西行の墓や西行記念館のほか、西行を偲んで詠まれた歌碑もたくさんあります。
西行は桜を好んでよく歌に詠んでいますが、弘川寺も桜の名所となっています。
「願はくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月のころ」
(願わくば、春に桜の下で死にたいものだ。2月15日の満月の頃に…)
この有名な和歌の通り、彼は旧暦2月16日に亡くなります。そのことに多くの人が感嘆し、西行の名声をいっそう高めました。

生誕地・和歌山では生誕900年特別展を開催

元永元年(1118)、紀伊国田中荘(現・和歌山県紀の川市)に生まれた西行。
今年は生誕900年にあたり、ゆかりの地である和歌山県の和歌山県立博物館では平成30(2018)年10月13日(土)から特別展を開催。冒頭でご紹介した西行像や、その生涯を描いた絵巻物、和歌を収録した歌集など、西行ゆかりの品々が展示されます。
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