【生誕150年】夏目漱石ゆかりの地・新宿と「漱石山房記念館」
2017年12月9日 更新

【生誕150年】夏目漱石ゆかりの地・新宿と「漱石山房記念館」

2016年に没後100年、そして2017年に生誕150年を迎えた文豪・夏目漱石。慶応3年(1867)1月5日に生まれ、大正5年(1916)12月9日、現在の新宿区早稲田南町の「漱石山房」で亡くなりました。その跡地に今年の9月オープンしたのが「漱石山房記念館」です。漱石の生涯や作品、同世代の作家まで網羅する記念館の、おさえておきたい見どころをご紹介いたします。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

夏目漱石

夏目漱石

漱石と新宿

現在の新宿区喜久井町1番地にある「夏目漱石誕生之地」

現在の新宿区喜久井町1番地にある「夏目漱石誕生之地」

漱石が生まれた現在の新宿区喜久井町という町名は、当時このあたりの名主であった漱石の父・直克が、夏目家の家紋「井桁(いげた)に菊」にちなんで名付けたもの。
via 撮影:ユカリノ編集部
文豪・夏目漱石のゆかりの地といえば、『坊っちゃん』の舞台となった愛媛県松山市の道後温泉や、教師として赴任した熊本を思い浮かべますが、新宿は漱石の生まれた町であり、作家として創作活動の拠点かつ、終焉の地でもありました。

漱石は慶応3年(1867)1月5日、江戸牛込馬場下横町(現在の新宿区喜久井町)で生まれます。学生時代に、小石川あたりに下宿することもありましたが、松山の愛媛県尋常中学校に教師として赴任するまで、喜久井町の生家で暮らしました。
夏目坂

夏目坂

生家のあった「夏目漱石誕生之地」から、記念館方面へと下る坂。この坂の名も漱石の父・直克が自分の姓をつけて呼んでいたのが人々に広まり、地図にのるようになったそう。
via 撮影:ユカリノ編集部
その後、熊本の第五高等学校、イギリス留学を経て、帰国後は現在の文京区で暮らし、『吾輩は猫である』で作家デビューに至ります。

教員生活に終止符を打ち、朝日新聞社に専属作家として入社した明治40年(1907)9月29日、牛込区早稲田南町(現在の新宿区早稲田南町)の家に入居し、ここを「漱石山房」と呼んだのです。当時は木造、平屋建て、和洋折衷の建物で、漱石は洋間二間を書斎・客間として使い、『三四郎』『門』『こころ』など名作の数々を世に送り出します。そして『明暗』連載中の大正5年(1916)12月9日、胃潰瘍の悪化により49年の生涯を閉じたのです。

漱石の作家人生は約11年と意外と短いのですが、そのうち約9年間を「漱石山房」で暮らし、執筆しました。

「漱石山房」は昭和20年(1945)5月25日の山の手大空襲で消失してしまいますが、平成29年(2017)9月24日、新宿区立漱石山房記念館として整備されました。漱石と家族が暮らし、多くの友人や門下生が集ったゆかりの地として、漱石とその文学の世界を感じられる記念館の魅力をお伝えしたいと思います。
2017年9月24日に開館した新宿区立漱石山房記念館

2017年9月24日に開館した新宿区立漱石山房記念館

via 撮影:ユカリノ編集部
記念館の前にある夏目漱石の銅像(富永直樹 作)

記念館の前にある夏目漱石の銅像(富永直樹 作)

記念館に隣接する「漱石公園」内には、猫塚(夏目漱石終焉の地)があります。
via 撮影:ユカリノ編集部

漱石山房記念館見どころ1:1階&地下の無料コーナーが充実!

1階のパネル展示

1階のパネル展示

ここでは夏目漱石の生涯と人物像を紹介。
via 撮影:ユカリノ編集部
近代的な建物の中に入ると、ガラス張り、吹き抜けのオープンなスペースになっている1階。ここでは夏目漱石の生涯や人物像が、豊富な写真や映像で紹介されています。生い立ちや学生時代、結婚と家族、植物や動物との関わりなど、漱石の基本的な情報をほとんど網羅した贅沢な展示です。

しかもここは無料ということもあり、平日の昼間でも人がたえず訪れていました。改めて漱石の人気の高さがうかがえます。
地下の図書室も無料で利用可能

地下の図書室も無料で利用可能

地下にある漱石と関連書籍が収められた図書室。図書室内であれば自由に読むことができます。

漱石山房記念館見どころ2:再現展示の書斎

再現展示室

再現展示室

via 写真提供:漱石山房記念館
漱石山房記念館の一番の見どころはやはり、1階奥にある再現展示室。

漱石や家族、門下生が残した証言のもと、資料的な裏付けのある書斎、客間の一部、ベランダ式回廊を再現。また、長男を疎開させていたおかげで難を逃れた遺品や写真類は、県立神奈川近代文学館に寄贈されているものを元に、再現されました。

こうしてみると、漱石がそこにいるかのような臨場感。本が積み上がった様子は本好きならたまらないのでは?小さな机や座布団、火鉢など、レトロな家具にもときめいてしまいます。
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