甲冑好き必見!長政や黒田二十四騎の甲冑像も見られる「甲冑にみる江戸時代展」
2018年5月8日 更新

甲冑好き必見!長政や黒田二十四騎の甲冑像も見られる「甲冑にみる江戸時代展」

福岡市博物館で平成30年4月24日(火)~6月24日(日)開催中の「甲冑にみる江戸時代展5―武士と武人の甲冑像―」。同館が収蔵する江戸時代の復古調の甲冑を中心に、黒田長政や黒田二十四騎といった福岡藩ゆかりの人物の肖像画なども多数展示。まさに甲冑好き必見の本展の見どころを、同館学芸員さんにお伺いしました。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

福岡藩ゆかりの人物の肖像画や甲冑が多数展示

戦国時代中頃~桃山時代にかけて、鉄板を張り合わせた「頭形兜」(ずなりかぶと)と、鉄板などを張り重ねた「桶側胴」(おけがわどう)で作る当世具足(とうせいぐそく)が発達しました。

その当世具足を着用した武将の絵画として有名なのが、福岡藩初代藩主・黒田長政の馬上像です。
本展でも見ることができる「黒田長政像」には陣羽織に黒糸威の桶側胴、そして一の谷形兜という頭形兜で典型的な当世具足の姿が描かれ、まさに江戸時代初期の武将の姿といえます。
重要文化財 黒田長政像

重要文化財 黒田長政像

via 提供:福岡市博物館
そんな江戸時代の甲冑を中心に、福岡藩ゆかりの人物の肖像画なども展示されているのが福岡市博物館で開催中の「甲冑にみる江戸時代展」です。
当時の甲冑はもちろん、黒田長政をはじめ黒田二十四騎の甲冑像なども見ることができる、甲冑好きにはたまらない本展。その気になる見どころを、福岡市博物館の学芸員さんに伺いました。

見どころ① 乱世に生まれた当世兜と桶側胴の典型

瓦頭立置手拭形兜・紺糸威五枚胴具足 1領(写真左)、鉄...

瓦頭立置手拭形兜・紺糸威五枚胴具足 1領(写真左)、鉄錆地桃形鬼面前立兜・紺糸威五枚胴具足 1領(写真右)

via 提供:福岡市博物館
写真右の「鉄錆地桃形鬼面前立(てつさびじももなりきめんまえたて)兜・紺糸威(こんいとおどし)五枚胴具足」は、福岡藩の家老・三奈木黒田家に仕えた加藤家に伝来した甲冑です。鉄板を張り合わせて作った桃形兜で、側面が刀剣や鉄砲玉を滑らせるなどの防御力にも優れています。戦国中頃~桃山時代に流行した当世兜の代表的なものです。

また写真左は、三奈木黒田家の重臣所用の当世具足「瓦頭立置手拭形(かわらずたておきてぬぐいなり)兜・紺糸威五枚胴具足」です。
胴は上方の甲冑師の一族・春田氏の製作で、細長い鉄板を鋲で止めて重ね合わせた桶側胴となっています。兜も鉄板を張り合わせて頭の頂上の部分を厚くした「置手拭形」と呼ばれるものです。

どちらも5つのパーツに分けられて製作しやすいため、戦国時代中頃から普及しました。

見どころ② 先祖伝来の古風な筋兜、星兜たち

武家で伝来していた星兜、筋兜

武家で伝来していた星兜、筋兜

via 提供:福岡市博物館
日本の兜は細い鉄板を張り合わせており、繋ぐために鋲で止めて頭の形の鉢に作りますが、室町時代までは、星に見立てた大型の鋲で止めていたため「星兜」と呼ばれました。
室町時代中頃には鋲が小さくなったため、その頭をつぶし張り合わせた鉄板が長い筋に見えるようにした「筋兜」が主流となったのです。

見どころ③ 殿様が命じた正確な肖像・甲冑調査

黒田二十四騎図巻(二十四臣之図)1巻 ※文化15(18...

黒田二十四騎図巻(二十四臣之図)1巻 ※文化15(1818)年/木邨信周筆/福岡市博物館蔵

via 提供:福岡市博物館
江戸時代後期に第10代藩主・斉清の命によりつくられた「黒田二十四騎画帖」。上の写真は、その写しです。黒田二十四騎の子孫の家々に残る肖像画や甲冑を実際に細かく調査し、実物の甲冑を着た姿に近い、二十四騎の一人一人の肖像が描かれた画帖が黒田家にあり、本展で展示している「黒田二十四騎図巻」でも、写真のように後藤基次や母里友信・小河信章・栗山利安の姿を見ることができます。

甲冑好きにとってはたまらない本展。甲冑の歴史を知れば、武将たちの肖像画の見方も変わるかもしれませんよ。

「甲冑にみる江戸時代展5―武士と武人の甲冑像―」

開催:平成30年4月24日(火)~6月24日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(入館は午後5時まで)
休館日:毎週月曜日
※月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで
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