【特別展「上杉家の名刀と三十五腰」記念講演】佐野美術館・渡邉妙子館長「上杉家と日本刀」レポート
2017年11月30日 更新

【特別展「上杉家の名刀と三十五腰」記念講演】佐野美術館・渡邉妙子館長「上杉家と日本刀」レポート

ただいま埼玉県立歴史と民俗の博物館(大宮市)にて開催されている「上杉家の名刀と三十五腰」(〜2017年12月10日まで)。その記念として、数多くの名刀を所蔵することで知られる佐野美術館(静岡県三島市)の館長、渡邉妙子氏の講演会が開催されました。女性の日本刀研究者としての道を切り開いてきた渡邉氏の貴重なお話と共に、2018年1月7日から佐野美術館で始まる「上杉家の名刀と三十五腰」の見どころもお伝えします。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

撮影:ユカリノ編集部 (10150)

via 撮影:ユカリノ編集部
2017年11月18日(土)、国立女性教育会館(埼玉県比企郡)にて、佐野美術館(静岡県三島市)館長の渡邉妙子氏による講演会「上杉家と日本刀」が開催されました。
これは2017年9月23日(土)〜10月22日(日)まで米沢市上杉博物館で、2017年11月3日(金・祝)〜12月10日(日)まで埼玉県立歴史と民俗の博物館で、そして2018年1月7日(日)より佐野美術館で始まる特別展「上杉家の名刀と三十五腰」を記念したものです。日本刀研究における女性の第一人者でもある渡邉氏の講演とあり、各地からたくさんの方々が集まりました。

しかもこの地域で生まれたという渡邉氏にとって、今回の講演はとても縁があったそうです。
それでは早速、当日のレポートをお届けいたします。
佐野美術館の渡邉妙子館長

佐野美術館の渡邉妙子館長

via 撮影:ユカリノ編集部

上杉家でいちばん価値のある刀って?

上杉謙信が大好きと語る渡邉氏。当日は着物で登場。

上杉謙信が大好きと語る渡邉氏。当日は着物で登場。

via 撮影:ユカリノ編集部
上杉謙信が大好きという渡邉氏。この特別展に携わった1年間、多忙ながら幸せな日々を送られたそうです。
上杉家の刀の特徴は、鎌倉時代、南北朝時代の太刀が、初ぶの状態で保存されていることが大きいとのことで、今回の特別展で展示される大太刀や大長巻、名刀の一部を紹介をされました。
重要文化財 長巻 無銘 片山一文字(部分)

重要文化財 長巻 無銘 片山一文字(部分)

上杉神社蔵

謙信といえばやはり「長巻」。
via 写真提供:埼玉県立歴史と民俗の博物館
次に、上杉家の初祖である上杉重房を紹介。
上杉重房は鎌倉時代中期、京都の藤原北家の貴族で、後嵯峨天皇の皇子・宗親親王が鎌倉幕府6代将軍に就任にする際、その介添として共に鎌倉に入り、丹波国何鹿郡の上杉庄を賜ったことから、以後上杉氏を名乗るようになったとされています。
上杉重房坐像

上杉重房坐像

明月院蔵
鎌倉国宝館寄託

今回は1/3の縮尺で模造された像が展示されます。
上杉重房の刀といわれる国宝「太刀 銘 一(上杉太刀)」は元は三嶋大社に所蔵されていたもので、刀剣愛好家である明治天皇が大変お気に召し、何度も三嶋大社に足を運んだとか。
渡邉先生も「刀剣も拵も素晴らしい!」と絶賛。今は東京国立博物館に所蔵されており、特別展示されることもあるそうなので、その際は真っ先にチェックしてほしいひと振りとのことです。

アメリカから名刀が帰ってくる?

名刀はスライドを使用して説明

名刀はスライドを使用して説明

via 撮影:ユカリノ編集部
今回の「上杉家の名刀と三十五腰」は、国宝の「上杉景勝腰物目録」(米沢市上杉博物館蔵)と、「御重代三十五腰」から選別されたと話す渡邉氏。
「上杉景勝〜」に記載されている刀剣28腰のうち「姫鶴」など12腰、「御重代〜」から「謙信景光」「五虎退」「火車切」など35腰から27腰までの所在を確認できたそうです。
国宝 短刀 銘 備州長船住景光/元亨三年三月日(謙信景光)

国宝 短刀 銘 備州長船住景光/元亨三年三月日(謙信景光)

埼玉県立歴史と民俗の博物館蔵

埼玉では「写」でしたが、こちらでは展示されます!
via 写真提供:埼玉県立歴史と民俗の博物館
大切に守られてきた上杉家の名刀の多くは、戦後、アメリカなど海外に渡ってしまったとか。今回はその中でも大切に保存されていたという「太刀 銘 備州長船兼光/延文五年六月日(号 三日月兼光)」(個人蔵)が展示されることになりました。
まさに渡邉氏の熱意あってこその展示、これを逃せばいつ見られるかわからない名刀を、しっかり目に焼き付けたいですね。
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