日本警察の父・川路利良ゆかりの品とその軌跡【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第15回】
2018年7月27日 更新

日本警察の父・川路利良ゆかりの品とその軌跡【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第15回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第15回は、現在の警視総監にあたる初代大警視・川路利良ゆかりの地。川路ゆかりの品が多く展示されている東京の警察博物館を中心に、出生地・鹿児島にある銅像まで、その生涯を辿ります。

小栗さくら小栗さくら

明治5年、より近代的な警察制度を設置するため、川路らは政府の要請で欧州を視察します。
パリ警視庁での質問録(警察博物館所蔵)

パリ警視庁での質問録(警察博物館所蔵)

川路とともに欧州へ視察へ渡った佐和正らは警察業務全般の多くの資料を持ち帰りました。
via 撮影:ユカリノ編集部
そして帰国した川路は、日本の近代警察を躍進させることになる建議書(建議草案)を提出することになるのです。

建議書は「警察は国家平常の治療なり」に始まり、「良民の保護」「内国の気力を養う」といった役割や、諸外国における警察の重要性などを記しています。

川路大警視誕生

川路が着用した大警視の制服(警察博物館所蔵)

川路が着用した大警視の制服(警察博物館所蔵)

via 撮影:ユカリノ編集部
そうして明治7年1月、東京警視庁が創設されます。
川路は大警視に就任し、警視庁は幹部のほか約5,300人のら卒・巡査・番人で組織されました。
大警視への辞令(警察博物館所蔵)

大警視への辞令(警察博物館所蔵)

via 撮影:ユカリノ編集部

恩人・西郷隆盛との決別

川路利良の評価が分かれる理由の大部分は、西郷隆盛にあります。
通説では、川路は幕末の禁門の変で武功をたてた時、西郷の目に止まったといわれています。そして明治に入ると西郷の推薦によって東京府大属(たいさかん)を拝命。

こうした経緯があるにもかかわらず、西郷が下野したときも、その後の西南戦争でも、川路は西郷についていかなかったどころか、敵方となってしまったのです。
警察博物館に展示されている「西郷隆盛首実検之図」(錦絵)

警察博物館に展示されている「西郷隆盛首実検之図」(錦絵)

via 撮影:ユカリノ編集部

私情を捨てた西南戦争

「私情においてはまことに忍びないが、国家行政の活動は一日として休むことは許されない。大義の前には私情を捨ててあくまで警察に献身する」と決めた川路。これを西郷を裏切ったと捉えるか、私情を捨ててでも国全体のことを考えたと捉えるかによって、評価は分かれると思います。

しかし当時、川路は鹿児島の人々から西郷を暗殺させようとしていたと疑われていたようです。誤解だともいわれていますが、川路が西郷側の人に裏切り者として映っていたことは確かなのでしょう。
別働第三旅団長任命の辞令(警察博物館所蔵)

別働第三旅団長任命の辞令(警察博物館所蔵)

川路は、別働第三旅団(警視隊)を率いて西南戦争へ向かいます。
via 撮影:ユカリノ編集部
警察博物館には展示されている別働第三旅団(警視隊)の写...

警察博物館には展示されている別働第三旅団(警視隊)の写真パネル。

スナイドル銃(警察博物館所蔵)

スナイドル銃(警察博物館所蔵)

警視隊が西南戦争で使用した元込め式ライフル銃。明治初期に輸入された、当時最新式の銃です。
via 撮影:ユカリノ編集部
47 件

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

関連する記事 こんな記事も人気です♪

藩主自ら脱藩!?「最後の大名」林忠崇の戊辰戦争【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第18回】

藩主自ら脱藩!?「最後の大名」林忠崇の戊辰戦争【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第18回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第18回は、昭和まで生きた最後の大名・林忠崇ゆかりの地。請西藩の第3代藩主でありながら、大名自らが脱藩してしまうという異色の経歴を持つ稀有な人物でもあります。あまり知られていない人物ではありますが、彼の戊辰戦争の軌跡を辿れば、きっと興味がわくはずですよ。
戊辰戦争150周年の今こそ見るべき!国立公文書館『戊辰戦争―菊と葵の500日―』展

戊辰戦争150周年の今こそ見るべき!国立公文書館『戊辰戦争―菊と葵の500日―』展

明治維新、そして戊辰戦争から150年の今年、全国各地で関連イベントが開催されています。2018年5月26日~6月30日まで東京・国立公文書館では「戊辰戦争―菊と葵の500日―」と題した企画展が開催中。日本各地で行われた戦闘の記録や、参加した人物にまつわる資料から、戊辰戦争の実像に迫ります。同館ならではの豊富な所蔵品は必見!その展示内容をレポートします。
激動の時代を生きた「最後の浮世絵師」月岡芳年の画業を辿る

激動の時代を生きた「最後の浮世絵師」月岡芳年の画業を辿る

まるで現在の漫画のような躍動感のある月岡芳年の浮世絵。歴史好きなら一度は見たことのあるのでは?幕末に生まれ明治にかけて活躍した芳年の展覧会「芳年ー激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が8月5日(日)より練馬区立美術館で開催されます。最後の浮世絵師と呼ぶにふさわしい画業を堪能できる貴重な機会です。
2018年は明治維新150年!夏に開催のおすすめ企画展5選

2018年は明治維新150年!夏に開催のおすすめ企画展5選

明治維新150年にあたる今年。高知や山口などの主要箇所もちろん、全国各地で企画展が開催されています。普段の歴史旅や夏休みにプラスしたい企画展の内容をご紹介します。
河鍋暁斎と娘・暁翠の華麗なる父娘競演!「暁斎・暁翠伝」展

河鍋暁斎と娘・暁翠の華麗なる父娘競演!「暁斎・暁翠伝」展

絵師の父娘といえば葛飾北斎とその娘・応為が浮かびますが、幕末から明治前半に活躍した絵師・河鍋暁斎にも、絵師になった長女・暁翠がいたんです。そんな河鍋父娘の作品が見られる「暁斎・暁翠伝」が東京富士美術館にて開催中。近年人気を集める暁斎の魅力と、娘に引き継がれた画業を網羅した展覧会をご紹介します。
【 理想の上司!?】兄・隆盛に劣らず有能だった!西郷従道の生涯

【 理想の上司!?】兄・隆盛に劣らず有能だった!西郷従道の生涯

2018年の大河ドラマ「西郷どん」の主人公・西郷隆盛は、日本人では知らぬものがいないほどの有名人。その実弟である従道にはいまいち光が当たっていませんでしたが、実は兄に負けじと有能だったのです。「西郷どん」では錦戸亮さんが演じ、さらに注目度が高まる従道の生涯とゆかりの地をご紹介します。
【始まりからサンタまで】日本初のクリスマスゆかりの地

【始まりからサンタまで】日本初のクリスマスゆかりの地

日本におけるクリスマスの歴史は古く、天文21年(1552)、現在の山口市にあった教会で降誕祭のミサが行われたことが始まりとされます。その後、鎖国によって消えてしまいますが、明治期の禁教令の廃止と共に復活。やがて日本の冬を彩る一大イベントとして定着しました。今回は始まりから、日本初のサンタにケーキ、イルミネーションまで、初づくしのクリスマスとゆかりの地をご紹介します。
「日本男色史巡り 第4回:幕末・明治の男色」新撰組局長、近藤勇も悩んだ幕末・明治の男色の流行!?

「日本男色史巡り 第4回:幕末・明治の男色」新撰組局長、近藤勇も悩んだ幕末・明治の男色の流行!?

日本の男色史を、ゆかりの品や場所とともにご紹介する連載『日本男色史巡り』。第4回は、次回大河ドラマ「西郷どん」の舞台、幕末・明治。新撰組局長、近藤勇も悩んだ、幕末・明治の男色隆盛の理由とは?
【逃げの小五郎】桂小五郎(木戸孝允)が潜伏した兵庫県出石

【逃げの小五郎】桂小五郎(木戸孝允)が潜伏した兵庫県出石

維新の三傑の一人、桂小五郎(木戸孝允)。大河ドラマ『西郷どん』では玉山鉄二さんが演じています。「逃げの小五郎」とも呼ばれ、一説には池田屋事件で屋根を伝って逃げたとも言われます。彼は禁門の変後、幕府の追っ手の目をかいくぐり潜伏生活を続けました。協力者のおかげでなんとか逃亡を成功させた桂ですが、彼が潜伏したのはどんな場所だったのでしょうか。
西郷隆盛も好物のスイカを買っていた日本橋・千疋屋総本店

西郷隆盛も好物のスイカを買っていた日本橋・千疋屋総本店

夏といえばスイカ。その歴史は古く、あの西郷隆盛も好物だったといいます。西郷が江戸に住んでいた際、スイカを購入したといわれるのが、皆さんもご存知のあの有名果物店でした。今回は西郷とスイカにまつわるエピソードを紹介します。