2月3日は節分!写真で見る日本各地の節分行事とそのルーツ|日本名珍祭り図鑑
2019年2月1日 更新

2月3日は節分!写真で見る日本各地の節分行事とそのルーツ|日本名珍祭り図鑑

2019年2月3日は節分です。神社や寺、家庭や保育園、幼稚園などでは鬼のお面をかぶった人に豆を投げますね。この節分、実はルーツが大変興味深いのです。祭り写真家の芳賀日向さんが、日本全国よりその土地ならではの珍しい祭りを紹介する連載。今回は日本各地の節分行事を写真で紹介するとともに、そのルーツに迫ります。

芳賀日向芳賀日向

節分のルーツ

写真:芳賀日向 (27463)

鬼が家に入らないよう鬼の嫌うヒイラギとイワシの頭を玄関に飾ります。焼嗅(やいかがし)といいます。とがった葉のヒイラギは鬼の目を刺しイワシの頭は鬼にはとっても臭いからです。
via 写真:芳賀日向
私たちは1年を12ヶ月としたグレゴリオ暦という太陽暦の一つで暮らしていますが、それとは別に二十四節気(にじゅうしせっき)という季節を表す言葉があります。立春、春分、秋分、冬至など季節を感じる言葉です。1年間を24等分してそれぞれの季節に名をつけ、種蒔きや刈り入れなど農作業の指標としました。その歴史は古く、紀元前11世紀の中国周王朝の周公旦という政治家が1年で最も日照時間が短くなる日を冬至と定め、そこから二十四節気が作られたといいます。その後の王朝が改良を加え、次第に現在の呼び名になってきました。日本には6世紀頃に暦と一緒に伝わったといわれています。

この二十四節気を4つに区切り、それぞれの前日が節分です。
節分は立春・立夏・立秋・立冬の前日で、立春は二十四節の最初の節であり、新しい年の始まりとしています。この節が変わる前日に、悪鬼がこの世に現れてくるという中国の古い信仰があります。年が新しくなる立春の前日には悪鬼がうじゃうじゃ現れるのです。仏教、道教、儒教などが民間の伝承に一緒に混ざった信仰です。中国では悪鬼は姿を現しません。目に見えないのです。さまよえる魂であったり、亡者であったり、災いをまき散らす精霊であったり、人々から大変恐れられる存在でした。それを退治するのが鬼神(きしん)という、見るからに恐ろしい姿をした鬼の神様です。日本にも伝わり、良い鬼として神や仏の使いとして祭りに登場します。
愛知県岡崎市の瀧山寺で炎の中から現れた鬼神。人間の願い...

愛知県岡崎市の瀧山寺で炎の中から現れた鬼神。人間の願いを約束する良い鬼。

via 写真:芳賀日向
鬼神が悪鬼をやっつけ厄を払う行事の起源は、紀元前17世紀の中国の殷(いん)、 周王朝時代に行われていた「大儺(たいな)」にあります。
日本に伝わったのは大和時代。「続日本記(しょくにほんぎ)」には706年に日本の宮中で大儺を行ったという記録があります。大儺は追儺(ついな)とも呼ばれました。追儺では方相氏(ほうそうし)という神様や神様役の人が現れ鬼を追い払います。京都の平安神宮ではその古いしきたりを再現しています。四ツ目の方相氏が子供を引き連れ悪鬼を退治し、厄を払います。
京都、平安神宮「節分行事」の「大儺(だいな)之儀」。鬼...

京都、平安神宮「節分行事」の「大儺(だいな)之儀」。鬼が怖がるのは目玉。四ツ目の方相氏が矛と盾を持って現れ悪鬼を追い払います。

via 写真:芳賀日向
中国では悪鬼は目に見えない怪物として恐れられていましたが、日本では平安後期より「地獄草紙」などの絵巻に、次第にその姿が登場します。それが現在よく見られる鬼になりました。
平安時代に宮中で旧正月の前日の大晦日(おおみそか)に行われていた追儺の行事は、お寺や神社、民間に伝わり、全国各地で立春の前日に行われる鬼を追い払い、厄を払う節分行事となりました。
青森県「青森ねぶた祭」に現れた鬼。

青森県「青森ねぶた祭」に現れた鬼。

via 写真:芳賀日向

節分ではなぜ鬼に豆を投げる?

中国で主食としていた五穀には(米、麦、粟、大豆、小豆など。場所によって違う)霊が宿り、人間の魂に力を与える穀物とされます。神仏に供えてから人間が食べることによって、その力を分けていただきます。この五穀信仰も日本に伝わりました。日本では穀霊が宿った五穀の中でも大きく硬い豆を炒って鬼にまくことによって、鬼の目をつぶし、厄を払う行事となりました。
愛知県東栄町足込「花祭」の五穀祭。豆などに山の幸を加え...

愛知県東栄町足込「花祭」の五穀祭。豆などに山の幸を加えて神前に供える。

via 写真:芳賀日向
節分の豆は必ず炒りますが、これには面白い民話が東北や中国地方に残っています。
毎年冬に鬼が人や娘を食べに来る村がありました。村人が神様にお願いしたところ、神様は村人に「鬼に炒った豆を渡しなさい、そして鬼に芽が出たら食べに来ても良い、と言いなさい」と教えます。炒った豆ですから、決して芽は出ません。それ以来鬼は二度と村里に現れなかったそうです。

節分の日に悪鬼を追い払う行事は、ルーツは中国ですが日本の暮らしの中で独自の節分として現在まで続いています。中国では1966年から始まった文化大革命で、追儺は迷信とされ、行事が禁止になりました。現在は少数民族などの祭りの中で儺劇(なげき)として地劇(芝居)に現れるだけとなりました。
貴州省の正月の地劇。見えない悪鬼を村の外に追い払う。

貴州省の正月の地劇。見えない悪鬼を村の外に追い払う。

via 写真:芳賀日向

日本各地で行われている様々な節分行事

家庭の節分

家庭の節分

家庭ではお父さんや子供が鬼役になって、豆を投げつけられます。神仏に供えて炒った豆は福豆となり、厄を払い、年の数だけ食べることにより健康な生長を願うのです。
via 写真:芳賀日向
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芳賀日向

芳賀日向

はがひなた。祭り写真家。1956年長野県生まれ。米国西イリノイ大学文化人類学科卒業。30年間に渡り世界の祭り48ヵ国、日本各地の祭りを撮り続ける。週刊朝日百科『日本の祭りシリーズ』連載(朝日新聞出版)、『祭りを撮る』監修(旅行読売出版社)、『日本全国祭り図鑑』監修(フレーベル館)など。写真展「世界のカーニバル」、「被災地の夏祭り」(キヤノン)他。日本写真家協会会員。 公式

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