高杉晋作の恋文もお披露目!「長州幕末女子会 in TOKYO」レポート
2017年11月7日 更新

高杉晋作の恋文もお披露目!「長州幕末女子会 in TOKYO」レポート

高杉晋作や吉田松陰など、維新志士を輩出した長州藩。その山口県により、2018年の明治維新150周年事業のPRとして、「長州幕末女子会 in TOKYO」が11月4日(土)、世田谷区民会館で開催されました。高杉晋作の恋文についての貴重な講演や、松陰神社の散策、またサプライズとして高杉本家のご子孫も登場するなど、幕末好き歴女の熱気に包まれた当日の様子をお届けします。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

始まりから嬉しいサプライズ!

会場の入口では山口県PR本部長のちょるるがお出迎え

会場の入口では山口県PR本部長のちょるるがお出迎え

via 撮影:ユカリノ編集部
東京・松陰神社の近くにある、世田谷区民会館で開催された「長州幕末女子会 in TOKYO」。事前の申し込みでは10歳から70歳代までの応募があったそう。歴女の年齢層の幅広さを感じさせます。当日も学生さんや親子での参加など、80名近い歴女が集まりました。

内容は萩博物館特別学芸員の一坂太郎先生の講演、松陰神社の齋藤憲輝宮司による講義と散策、最後に山口県による観光PRという三部構成。当日はサプライズで、高杉本家のご子孫、高杉春正さんもご挨拶に登場。女性ばかりの会に、少し照れていらっしゃいました。
左から、司会の磯部深雪さん(歴☆女子会主宰)、高杉春正...

左から、司会の磯部深雪さん(歴☆女子会主宰)、高杉春正さん、齋藤憲輝宮司、一坂太郎先生。

via 撮影:ユカリノ編集部

晋作の人間らしさが伝わる手紙

撮影:ユカリノ編集部 (9495)

via 撮影:ユカリノ編集部
始まりは、長州維新史を中心に研究、執筆している一坂太郎先生の講演から。「高杉晋作の恋文(ラブレター)」という、なかなか聞けない話だけに、期待が高まります。

高杉晋作の生涯を「黒船」「吉田松陰」「上海」の3つをターニングポイントとして紹介したあと、いよいよ本題へ。

最初は妻であるマサへの手紙を紹介。
マサは萩一番の美人と言われ、選びきれないほどの縁談があり、ベスト3に絞り込んだ後、こよりによるくじ引きで決定したのが晋作でした。午前中にお見合い、午後には即、結婚式という、まさにスピード婚だったそうです。

そんなマサへの手紙の日付は元治元年(1864)2月18日。京都で薩摩藩と会津藩が結託して起こした八月十八日の政変で、長州藩が追放されてから約半年後、京都に潜伏していた晋作からのものです。
〜さ候わば曾我物語、いろは文庫など送り候間、それを御読みなされ心をみがく事専一にござ候。武士の妻は町人や百姓の妻とは違うというところ忘れぬ事、事要にござ候。〜
武士の妻は町人や百姓の妻とは違うということを忘れないように、と書かれています。晋作が武士としてのプライドを持っていたことがわかる内容です。

手紙とともに本も贈ったことが書かれていますが、曽我物語とは鎌倉時代の敵討ちの話で、いろは文庫というのは忠臣蔵のことです。これを読んで武士のことを勉強しなさいということらしいのですが、奥様に贈るものとしては少し渋いのかもしれません。

わかりやすい?妻と愛人の手紙の違い

下関戦争が始まり、下関にいた晋作は、うのという芸者と暮らしていました。藩の命令もあり、晋作は母親とマサ、息子を下関に呼んでともに暮らし始めたのです。

当時の愛人というのは、現代の感覚と少し違うようで、晋作は一緒に暮らすのを楽しみにしていたそうです。しかし実際住んでみると、やはりそこはいろいろあったようで、「死んでしまいたい」などと桂小五郎に手紙を送っていたとか。もちろん理由はそれだけではなく、お金がないこと、人から悪口を書かれることなど、いろいろあったようですが、桂はそんな晋作を気の毒に思ったのか、彼の願いどおり長崎に行かせます。

その時にマサに宛てた、慶応2年(1866)4月ころの手紙がこちら。
〜関(下関)にてははなはだ不人情の事ばかり致し今さら後悔、気苦千萬、恥じ入りまいらせ候間、あしからず思し召し下され候よう頼みまいらせ候。我らとでも鬼でもなし、妻兒を思わぬ事はこれなく候えども、行きかかりあって彼是にて不あしらい致しおるように相なり候事故、御堪忍下され心かわりのなきよう頼みまいらせ候。〜
先ほどの手紙とは打って変わって、めちゃくちゃ謝っているのがわかります。下関でのことを反省しているのかもしれません。

対して、愛人のうのに送った、慶応2年(1866)4月5日付の手紙では、
〜しゃしんおくり候間、御請取下さるべく候。色々申し遣したくござ候えども、先ずおしき筆止め、あらあらかくの如くござ候。めでたくかしこ。
 四月五日
尚々、風を引かぬようにようじんかんにょうに存じまいらせ候。かしこ
という、自分の写真も同封したうえ、最後に思いやりのこもった一文まで添えられているのです。

マサへの手紙の筆跡が、桂小五郎など男性に出したものとほぼ同じようなものに対し、うのへの手紙は、とても華奢な、女性のような字で書かれているのも特徴だと話す一坂先生。晋作にとって、恋愛の対象はうのであり、妻のマサとは、高杉家の共同経営者、番頭さんのような存在だったのではないか、とのことでした。

相手によって手紙の内容はもちろん、筆跡まで違うのは面白いですね。かっこいいだけではない、晋作の人間らしさが伝わる、貴重な講演でした。
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