【ゆかりの品からみる篤姫の生涯】小栗さくらがナビ!江戸東京博物館「春を寿ぐ」展
2019年2月8日 更新

【ゆかりの品からみる篤姫の生涯】小栗さくらがナビ!江戸東京博物館「春を寿ぐ」展

江戸東京博物館で開催中の「春を寿ぐ―徳川将軍家のみやび―」展。徳川家ゆかりの品々が多数展示されている本展のなかから、徳川家の女として生きた天璋院篤姫ゆかりの品を中心に、その生涯を歴史タレント・小栗さくらさんが紹介します!

小栗さくら小栗さくら

天璋院篤姫とは

2008年の大河ドラマ「天璋院篤姫」では宮﨑あおいさんが、2018年の「西郷どん」では北川景子さんが演じられた篤姫(天璋院/てんしょういん)。

天保6(1836)年に薩摩藩島津家の分家に生まれ、13代将軍・徳川家定の御台所となり、徳川時代と大奥の終焉を見届けた女性です。「天璋院様は女性のようにござらん」といわれた逸話があるほど、自分の意志をはっきり持った気高い女性でした。
一方で、松平春嶽が「聡明にして温和、人との応接も機知に富み…」と評したように、温かく朗らかな印象もあります。
そんな篤姫は徳川家に入ってどのような生活を送ったのでしょうか。

現在開催中の江戸東京博物館「春を寿ぐ―徳川将軍家のみやび―」展に展示されている篤姫ゆかりの品々も交えながら、江戸での暮らしの一端を追いたいと思います。

篤姫ゆかりの品が展示中!江戸東京博物館『春を寿ぐ』展

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2019年3月3日まで開催されている「春を寿ぐ」展では、篤姫ゆかりの品も展示されています。
篤姫は島津斉彬の養女となり、その後近衛家の養女となってから将軍に嫁ぎますが、斉彬は篤姫の肩身が狭くならないように最高級の嫁入り道具類を揃えさせたといいます。
こうした品々の中には地震や火事により失われたものもあるようですが、展示されているものを見るだけでも篤姫や大奥の女性たちの暮らしが少し見えてきます。

篤姫ゆかりの“かるた”

謡曲かるた 篤姫(天璋院)所用(德川記念財団所蔵)

謡曲かるた 篤姫(天璋院)所用(德川記念財団所蔵)

こちらは篤姫所用と伝わる謡曲かるた。百人一首かるたなども婚礼調度品に含まれましたが、このかるたは島津斉彬の五女で、島津忠義に嫁いだ寧姫の形見として篤姫に贈られた品です。
彩り鮮やかで絵巻物を見ているような美しさでした。

御台所ともなれば、寝ているときでさえ誰かが側に仕えている状態で、1日に3~5度も衣装替えをしていたというお話もあるほど息の詰まるものでした。
島津家の分家で幼い頃は伸び伸びと過ごした篤姫にとって、窮屈なことも多かったと思います。それでも次第に過ごしやすいように自分で道具類を変えていったところに、篤姫の聡明で前向きな性格が読み取れる気がします。
時にはこうした美しいかるたも彼女の心を和ませたかもしれませんね。
超ミニサイズ!和宮所用のかるた

超ミニサイズ!和宮所用のかるた

小指の爪ほどのサイズのかるた!小さくてもちゃんと絵や文字がしるされていて、当時の繊細な技術を目の当たりにできますよ。

書から読み取れる篤姫像

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こちらは篤姫から、14代将軍家茂の正室・和宮に贈られた、新年を祝う消息の下書きです。流れるような文字でありながらも、しっかりとした意志も感じられ、篤姫の性格が伺えます。新年のあいさつという形式ばったものかもしれませんが、「大樹公(家茂)にもよろしくお伝え下さい」「お魚もありがたく頂戴しました」という内容に、2人の交流を垣間見ることができます。

篤姫と和宮の間には嫁姑問題が描かれることが多いですが、篤姫は和宮が江戸に来る前から気遣いを見せています。和宮の姉が不遇の暮らしをしており、それを和宮が憂いていることを知ると、新邸が造営できるように老中に詰め寄ったといわれます。
ほかにも和宮のために最高級の調度品や道具を揃え、お迎えする準備は万端でした。ところが両者の間には認識の違いがあったように思えます。
女性特有である仮名文字の散らし書きでしたためられた「和...

女性特有である仮名文字の散らし書きでしたためられた「和宮宛 敬子自筆消息」慶応元(1865)年(德川記念財団所蔵)

和宮は「江戸でも御所風であること」を条件の1つに降嫁しましたが、篤姫は自分がそうであったように降嫁したからには…と徳川のしきたりを重んじていたのです。
有名な逸話のひとつに、2人の初対面の時、篤姫に敷物があって和宮にはないことやその座る位置に和宮側が嘆いたという話があります。これも篤姫はわざわざ儀礼掛に問い合わせてさまざまな記録を調べさせた上で判断してもらったことのようなのです。
以後大奥には江戸風と京風で溝ができてしまいますが、二人は徳川家が瓦解する際に力を合わせて使者を何度も出すことになります。
伝和宮所用の着物

伝和宮所用の着物

浅葱色の小袖には、色とりどりで細やかな柄の花鳥風月が、友禅染や刺繍で表現されています。隣の振り袖帷子は大きな柄が茶色地の布に映え、小袖とは対象的な印象です。
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小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

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