【ゆかりの品からみる篤姫の生涯】小栗さくらがナビ!江戸東京博物館「春を寿ぐ」展
2019年2月8日 更新

【ゆかりの品からみる篤姫の生涯】小栗さくらがナビ!江戸東京博物館「春を寿ぐ」展

江戸東京博物館で開催中の「春を寿ぐ―徳川将軍家のみやび―」展。徳川家ゆかりの品々が多数展示されている本展のなかから、徳川家の女として生きた天璋院篤姫ゆかりの品を中心に、その生涯を歴史タレント・小栗さくらさんが紹介します!

小栗さくら小栗さくら

豪華!篤姫&和宮の調度品コレクション

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「春を寿ぐ」展では、可愛らしいミニチュアの道具を数多く楽しむことができますが、一番目を引くのは篤姫・和宮の雛道具です。ずらりと並べられた雛道具には、黒塗りに美しい蒔絵が施されています。
「黒塗松唐草牡丹紋散蒔絵雛道具」左:書棚・中央:厨子棚...

「黒塗松唐草牡丹紋散蒔絵雛道具」左:書棚・中央:厨子棚・右:黒棚(德川記念財団所蔵)

篤姫は島津斉彬の養女となったあと、更に近衛家に入ってから嫁いでいます。この雛道具には、近衛家の牡丹紋と松唐草が蒔絵として描かれています。雛道具とはいってもどれも細かな細工が見事で、こうした雛道具が並べられた大奥の雛祭りはさぞ華やいだろうと想像できますね。
「黒塗松唐草牡丹紋散蒔絵雛道具」左:書棚・中央:厨子棚...

「黒塗松唐草牡丹紋散蒔絵雛道具」左:書棚・中央:厨子棚・右:黒棚(德川記念財団所蔵)

篤姫と和宮の齟齬には、雛道具のお話もあります。和宮のため、大奥では豪華な雛道具を揃え、雛壇を組んで飾られたそうですが、これはあくまで江戸風。御所ではお雛様が宮様(和宮)を見下ろす形にならないよう壇を組まないことから、和宮は自室で京風の飾りを楽しんでいたのだとか。
篤姫側から見れば、良かれと思ってしていた数々のことが、全て空回っている気がしたのかもしれませんね。

篤姫は並々ならぬ覚悟で徳川に嫁ぎ、懸命に己のすべきことを果たそうとしていました。その信念は同じ女性として尊敬に値しますが、一方で天皇の妹として生きてきた和宮の戸惑いも仕方のないことだと思います。

篤姫は結婚2年で夫に先立たれ、同じ月に養父・斉彬を亡くしています。そして和宮は実質的な結婚生活は2~3年で夫を亡くし、前年に母を亡くしています。全く違う生き方をした2人ですが、どこか似た境遇もあり、重い使命や重圧をその身に受けていたのも同じです。
明治に入り、2人がご飯をよそい合う姿を勝海舟が見た頃には、互いの派閥や重圧から解放されお互いの心だけで接し合えていたのかもしれませんね。

常設展には本物も展示中

松竹梅椿酸漿紋蒔絵女乗物

松竹梅椿酸漿紋蒔絵女乗物

雛道具でミニチュア版の女乗物を見た後は、常設展で本物を見てみてはいかがでしょうか。身分の高い女性が使用した女乗物は、家柄によって使える仕様が違ったそうです。年に何度か女乗物の展示替えがありますので、中の絵柄までじっくり見てみてくださいね。

篤姫を含め、当時の人々の目を楽しませた道具類も驚くほど綺麗に残っています。江戸の暮らしを想像しながら春を感じに行ってみてはいかがでしょうか。

春を寿(ことほ)ぐ ―徳川将軍家のみやび―

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会期:2019年1月2日(水)~3月3日(日)
会場:東京都江戸東京博物館 常設展示室内 5F企画展示室
開館時間:9時30分~17時30分(土曜日は19時30分)※入館は閉館の30分前まで
休館日:2月4日(月)・12日(火)・18日(月)・25日(月)
主催:東京都、東京都江戸東京博物館、公益財団法人德川記念財団
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小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

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