世界遺産候補!長崎と天草地方の潜伏キリシタンの歴史
2018年5月9日 更新

世界遺産候補!長崎と天草地方の潜伏キリシタンの歴史

今年、ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しとなった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県・熊本県)。江戸幕府がキリスト教を禁じていた17〜19世紀、ひそかに信仰を守り続けたキリシタンが育んだ独自の文化が世界で評価されることとなりました。その信仰の地と彼らの歴史をご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」とは?

この夏、ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しとなった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。
島原・天草一揆の舞台となった原城跡(長崎県南島原市)や潜伏キリシタンが暮らした集落、現存する教会では国内最古の大浦天主堂(長崎市)など、長崎・熊本両県の12資産で構成されています。

Nagasaki Harmony2 (長崎ハーモニー2)

潜伏キリシタンとは?

フランシスコ・ザビエル

フランシスコ・ザビエル

天文18年(1549)、イエズス会の宣教師であるザビエルが鹿児島に上陸、布教活動を始めます。
16世紀半ば、日本に伝わってから急速に広まったキリスト教。
その広がりは権力者の警戒を招き、慶長19年(1614)江戸幕府は禁教令を発布します。
潜伏キリシタンとは、17〜19世紀の禁教期の日本において、ひそかにキリスト教由来の信仰を続けていた人々のことです。
彼らは聖画やロザリオを隠し持ち、農民や漁民として生活しながらも信仰し続けたのです。

潜伏キリシタンのきっかけは島原の乱

天草四郎

天草四郎

原城跡に立つ、天草四郎の銅像。
キリスト教の弾圧に反発した農民らにより、寛永14年(1637)に島原・天草一揆(島原の乱)が起こります。
元和元年(1615)の一国一城令より廃城となった原城がその舞台になりました。群衆は合わせて約3万7千人。天草四郎を総大将とし、幕府軍相手に籠城戦を展開します。
しかし3カ月に及ぶ籠城は補給がなく、天草軍はほぼ全滅。幕府軍は原城が再び一揆の拠点になることをおそれ、徹底的に破壊したのです。
原城跡(長崎県南島原市)

原城跡(長崎県南島原市)

via 写真提供:長崎県
平成2年(1990)から始まった原城の発掘調査では、大量の人骨とともに十字架やロザリオなども発見されました。
この島原・天草一揆のあと、キリスト教の信者は潜伏生活を送ることになります。

移住先の社会や宗教と共生しながらの信仰

寛文4年(1664)、小西行長の孫で日本最後の宣教師・小西マンショの殉教により、国内は神父不在になりました。
信徒らは小さな集落単位で秘密組織となり、密かにオラショ(祈祷文)を唱え、慈母観音像を聖母マリアに見立てるなど、独自の文化を形成。移住先の社会や宗教と共生しながら信仰を続けました。
平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)(長崎県平戸市)

平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)(長崎県平戸市)

長崎地方におけるキリスト教布教の最初の地である平戸。
当時の景観を残す春日集落には、神仏の信仰対象である石碑や石祠などがあり、現在も守られています。
via 写真提供:長崎県
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