大和撫子なんて時代錯誤!ニッポンを牽引した強き女性たち「ニッポン銅像探訪記 第11回:女性像」
2017年11月1日 更新

大和撫子なんて時代錯誤!ニッポンを牽引した強き女性たち「ニッポン銅像探訪記 第11回:女性像」

今回のテーマは女性像。今や男女同権が当たり前、筆者が属するメディア業界を見渡しても、前線で活躍しているのは女性が中心。向こう見ず、もとい、活発で聡明な女性スタッフに牽引されなければ、もはやコンテンツづくりなど成り立たないのではないかとさえ思います。日本史を見返しても、男社会を引っ張った女性は多くいました。男たちを先導し、時代を切り開き、さらには銅像となってリスペクトを受けるニッポンの「強き女性」たちを紹介しましょう。

滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

甲冑を纏い、戦場に舞った猛き女性たち

大三島に5体もの銅像が立つ鶴姫

独立を守るため、女性ながら大三島軍を率いて戦った鶴姫。...

独立を守るため、女性ながら大三島軍を率いて戦った鶴姫。(愛知県今治市)

via PIXTA
まずは自ら甲冑を身につけ、戦場に立った女性の像から。

瀬戸内海を渡るしまなみ海道のほぼ中央に位置し、創建が6世紀までさかのぼる大山祇(おおやまづみ)神社があることから、「神の島」とも呼ばれる大三島。この大三島のシンボルとなっているのが、戦国時代に島の独立を守るため、わずか16歳で出陣したとされる鶴姫です。三島安精氏が1966年に発表した小説『海と女と鎧』とそのテレビドラマ化によって知名度を上げた鶴姫を、島では観光資源として大いに喧伝。その結果、大山祇神社周辺とその港町には、5体もの鶴姫像が寄り集まることになりました。同一人物の銅像密集率としては、もしかしたら日本一かもしれません。
大山祇神社宝物館そばの鶴姫像。大山祇神社には、腰のくび...

大山祇神社宝物館そばの鶴姫像。大山祇神社には、腰のくびれと胸部の膨らみを持つ、日本唯一とされる女性用の甲冑が所蔵されており、鶴姫像のほとんどはこの鎧がモチーフとなっている。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
左手にかけた鈴は母の形見とされるもので、悲劇のエピソー...

左手にかけた鈴は母の形見とされるもので、悲劇のエピソードを伝えている。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
大山祇神社の鳥居と水軍が出撃した宮浦港を見つめる少女時...

大山祇神社の鳥居と水軍が出撃した宮浦港を見つめる少女時代の鶴姫像。

via PIXTA
鶴姫というと、ある恋愛悲話が知られています。女性の身、さらには10代の身でありながら、瀬戸内海への勢力拡大を目論む大国・大内家に対抗して大三島勢を率いてきた鶴姫。彼女は戦場で、配下であり自分を支えてくれる越智安成と恋仲になります。

しかし、大内の大軍に対して夜襲をしかけ港に戻ったとき、そこに安成の姿はありませんでした。敵の刃にかかり戦死していたのです。安成のいないこの世に絶望した鶴姫は、一人小舟を漕いで沖に出て、母の形見である鈴を抱いて入水し、安成の後を追いました。18歳という若さでした。この悲劇から、鶴姫は「瀬戸内海のジャンヌ・ダルク」とも称されています。
藤公園(鶴姫公園)には、池を挟んで見つめ合う鶴姫と越智...

藤公園(鶴姫公園)には、池を挟んで見つめ合う鶴姫と越智安成の像が立つ。七夕的なシチュエーションによって、離ればなれとなった2人の悲痛を描く。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
一連の「鶴姫伝説」は研究者によってほぼ否定されているが...

一連の「鶴姫伝説」は研究者によってほぼ否定されているが、それはそれとして、大三島で悲恋の歴史浪漫に浸ってみたい。

「三大御前」のひとり、板額御前

新潟県のJR中条駅前広場には、古い形式の大鎧を身につけた板額(はんがく)御前の銅像が立ちます。誰?という人も多いでしょうが、越後の豪族・越氏の一族で、鎌倉幕府成立後、越後で勃発した反幕府の謀反を率いた女性武将です。

『吾妻鏡』には、弓の名手でかつ、美貌の女武者と記されており、銅像もそれに倣っているといえるでしょう。右手をかざして見つめるその先には、板額御前が生まれ育ち、そして守将として戦い抜いた鳥坂城がそびえます。
板額御前は、同時代を生きた静御前(義経の妻)、巴御前(...

板額御前は、同時代を生きた静御前(義経の妻)、巴御前(義仲の妻)と並んで「三大御前」と呼ばれており、3人とも銅像化している。(新潟県胎内市)

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

大河ドラマ「八重の桜」で登場した中野竹子

時代は下って幕末へ。新政府軍と旧幕府軍が戦った戊辰戦争で、もっとも激戦となった会津戦争。会津軍は圧倒的に兵力が劣る中で、女性たちもそれぞれの立場で奮戦しました。大河ドラマ「八重の桜」の主役・山本八重のように、戦場に立った女性も少なからずいたわけですが、そのひとりが中野竹子。「八重の桜」では黒木メイサが演じた人物です。
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滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

かみゆ歴史編集部は「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。最近の編集制作物に『エリア別だから流れがつながる世界史』(朝日新聞出版)、『歴史REAL 山城を歩く』(洋泉社)、『戦国最強の城』(プレジデント社)、『鳥瞰イラストでよみがえる歴史の舞台』(学研プラス)、『廃城をゆく5〜戦国の城を極める!』など。代表の滝沢弘康は講演や講座、メディア出演も行う。 公式

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