その格好良さに身震いせよ!戦場を駆ける猛将と駿馬「ニッポン銅像探訪記 第8回:騎馬像」
2017年7月21日 更新

その格好良さに身震いせよ!戦場を駆ける猛将と駿馬「ニッポン銅像探訪記 第8回:騎馬像」

「カッコイイ銅像は何?」と聞かれたら、「●●の騎馬像!」(●●にはそれぞれの推しメンが入る)と答える人は多いでしょう。きちんと集計したわけではないので恐縮ですが、著者の感覚では全国の銅像総数に占める騎馬像の割合は10分の1程度。でも、「銅像=騎馬像」というイメージを抱かせるほど、騎馬像には傑作が多いですし、記憶に残る存在なのです。今回はそんな騎馬像の中から、戦場を駆ける戦う騎馬像をまとめて紹介しましょう!

滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

鬼石曼子(島津)、敵中に参る!!!

鹿児島本線の伊集院駅前に立つ島津義弘騎馬像。伊集院駅は...

鹿児島本線の伊集院駅前に立つ島津義弘騎馬像。伊集院駅は島津本家の居城だった一宇治城や義弘を祭る徳重神社の最寄り駅である。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
「戦場を駆ける騎馬像」というテーマで、まずはこの銅像を挙げないわけにはいかないでしょう。泣く子もだまる“鬼島津”こと、島津義弘の騎馬像。関ヶ原の戦いでの敵中突破をモチーフにしているこの騎馬像は、その猛々しさやフォルムの格好良さに加え、九州最南端の鹿児島県に立地しているというアクセスの悪さゆえの神秘性も相まって(鹿児島在住のみなさま、ごめんなさい)、銅像ファンの憧れともいえる存在です。

「戦国最強の猛将」との呼び声も高い島津義弘。島津四兄弟の次男であり、通称は又四郎、号は惟新(この号がまたカッコイイ)。弟の歳久や家久とともに各地を席巻し、ほぼ九州を統一。朝鮮出兵では3万ともいわれる大軍をわずか7千の寡兵で打ち破り、朝鮮兵に「鬼石曼子(グイシーマンズ/鬼島津)」と怖れられたと言います。
采配を振る義弘と、大きく前足を蹴り上げた駿馬。どうです...

采配を振る義弘と、大きく前足を蹴り上げた駿馬。どうですかこの躍動感!著者ははじめてこの騎馬像を訪れたとき、あまりの勇壮に魅せられ、炎天下の中1時間以上シャッターを切り続けました。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
これだけでも充分に武勇の誉れ高しと評される活躍なのですが、何と言っても彼を伝説的人物たらしめているのが、関ヶ原の戦いでの「島津の退き口」でしょう。与した西軍の敗北が決定的になると、義弘は敵中に活路を見出し、前方の敵大軍に向けて突撃を開始。井伊直政や本多忠勝といった並みいる名将を相手に、島津軍は「捨て奸(すてがまり)」という、数名の鉄炮兵がその場に座して敵の足止めを行い、全滅したらまた別部隊がその場に座すという凄惨な戦法で多くの犠牲を払いながら、大将の義弘は見事に戦線からの離脱に成功したのです。
左手で手綱を引く義弘、後ろ足で踏ん張る馬の姿に見ている...

左手で手綱を引く義弘、後ろ足で踏ん張る馬の姿に見ているこちらも力が入る。義弘の具足は結び紐などのディテールまで表現されている。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
騎馬像は、その敵中突破のシーンを描いたもの。右手で力強く采配を振り、「チェストぉぉぉっ!」と一喝、敵兵を威嚇しているのかもしれません。手綱を引かれた馬は前足を大きく蹴り上げており、見る角度によっては翼を広げたペガサスが天を舞っているようにも見えます。神々しさすら漂う島津義弘像、銅像好きであれば必見です!
写真左側の山の頂上部に、一宇治城跡がある。現在は公園化...

写真左側の山の頂上部に、一宇治城跡がある。現在は公園化されている。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

謀将・北条早雲による小田原城攻めの手段とは

おっと、島津義弘に魅せられて紙幅を使い過ぎてしまいました。ここから先は駆け足で行きます。
小田原駅西口のロータリーに立つ北条早雲騎馬像。馬と牛が...

小田原駅西口のロータリーに立つ北条早雲騎馬像。馬と牛がコラボする銅像というのも希少。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
小田原城の最寄りである小田原駅前に立つのは北条早雲像。関東を治めた北条5代の初代であり、乱世を象徴する下剋上の体現者です。指揮棒を高々と掲げた早雲の傍らには、奇妙な小動物が。よく見ると、角に火を灯した牛が3体。そう、この銅像は、早雲が小田原城を落城させた「火牛の計」を表現しているのです。
采配を高く掲げ、頭巾をかぶる早雲。鐙(あぶみ)には家紋...

采配を高く掲げ、頭巾をかぶる早雲。鐙(あぶみ)には家紋が彫刻されている。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
角に松明を付けた火牛3兄弟。

角に松明を付けた火牛3兄弟。

via 撮影:滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)
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滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

滝沢弘康(かみゆ歴史編集部)

かみゆ歴史編集部は「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。最近の編集制作物に『エリア別だから流れがつながる世界史』(朝日新聞出版)、『歴史REAL 山城を歩く』(洋泉社)、『戦国最強の城』(プレジデント社)、『鳥瞰イラストでよみがえる歴史の舞台』(学研プラス)、『廃城をゆく5〜戦国の城を極める!』など。代表の滝沢弘康は講演や講座、メディア出演も行う。 公式

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