再評価の動きも?日本軍閥の祖・山縣有朋が眠る護国寺【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第25回】
2018年11月20日 更新

再評価の動きも?日本軍閥の祖・山縣有朋が眠る護国寺【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第25回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第25回は、山縣有朋ゆかりの地です。「日本軍閥の祖」とも呼ばれ、明治政府では軍政家として陸軍の礎を築いた山縣有朋。一般的なイメージはあまり良くないようですが、最近ではその評価も見直されつつあります。山縣が歩んだ人生を、墓所・護国寺とともにご紹介します。

小栗さくら小栗さくら

明治の政界人が眠る護国寺

護国寺仁王門

護国寺仁王門

via 提供:小栗さくら
徳川5代将軍・綱吉が、母・桂昌院の願いを聞いて建てられた護国寺。もとは徳川家の祈願寺だった護国寺ですが、今では明治の元勲のお墓が並ぶ場所となっています。
今回はその一人・山縣有朋(やまがたありとも)に焦点をあててご紹介します。

山縣有朋のイメージ

国立国会図書館デジタルコレクション (25998)

via 国立国会図書館デジタルコレクション
大河ドラマ「西郷どん」で村上新悟さんが演じられている山縣有朋。汚職を責められるという強烈な登場シーンから始まりましたね。
一般的な山縣のイメージは、どうやらあまり良いとはいえないようです。一つにはドラマにもあった汚職、また軍閥・軍国主義の元となった人物というイメージから、長州藩出身者の中でも人気のほどは今ひとつ。ですが最近では再評価の見方もあります。実体験から明治日本の軍制を急務と考えた山縣は、どのような人生を歩んだのでしょうか。

松下村塾を経て、奇兵隊へ

吉田松陰肖像

吉田松陰肖像

via 国立国会図書館デジタルコレクション
足軽よりも低い中間という身分に生まれた山縣ですが、文武に励み、20歳のころ久坂玄瑞の紹介で松下村塾に入塾します。すぐに師・吉田松陰が安政の大獄で処刑されたため、入塾期間は短かったようですが、それでも松陰門下生だったことは生涯山縣の誇りだったとか。
高杉晋作

高杉晋作

via 国立国会図書館デジタルコレクション

奇兵隊での経験

山縣にとって転機となったのは、長州藩が英仏米蘭の四カ国と武力衝突をした「四国艦隊下関砲撃事件」でした。高杉晋作から信頼を寄せられ、奇兵隊の軍監として指揮していた山縣は、欧米の砲撃照準が精密であることや、その威力を身をもって知り、攘夷の難しさや兵制改革の必要性を痛感します。
こうした奇兵隊時代の経験が、明治期の山縣に強く影響したのでしょうね。

日本陸軍の礎を築いた「国軍の父」

西郷従道肖像

西郷従道肖像

via 国立国会図書館デジタルコレクション
明治に入ると、山縣は西郷隆盛の弟・従道と欧米の軍制を視察します。
諸外国の軍制を見た山縣は、日本に国軍が必要だと感じ、帰国後に常備兵と予備兵力の重要性などを説いた意見書を書いています。
明治6(1873)年、「徴兵令」が発布され、同年山縣は初代陸軍卿に就任します。徴兵制についてはここに至るまでに賛否ありましたが、この頃山縣の理解者となっていたのが西郷隆盛でした。
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小栗さくら

小栗さくら

中学生時代に司馬遼太郎氏の『燃えよ剣』を読んで以来、歴史に興味を持つ。 駒澤大学歴史学科卒業と同時に博物館学芸員資格を取得。 現在『歴史タレント』として、TVやCMに出演。また、イベント司会、講演会、コラム執筆と幅広く活躍中。 諏訪市公認キャラクター・諏訪姫の声優も務めている。 タレント活動と並行し「さくらゆき」というアーティスト名で歴史をテーマにした楽曲の発信、ライブ等を行っている『歴史系アーティスト』でもある。 公式

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