至極のアートで迎春!東京国立博物館へ初もうでに行こう
2016年12月28日 更新

至極のアートで迎春!東京国立博物館へ初もうでに行こう

「トーハク」の愛称で親しまれている東京国立博物館では、1/2から1/29まで新春企画「博物館に初もうで」が開催されます。選りすぐりの名品が「新春特別公開」として公開されるほか、2017年の干支の「酉」にゆかりのある作品や、正月らしい吉祥がテーマの作品が展示されるこの企画。見逃す手はありません。

こまきこまき

トーハクの新春特別公開で国宝を堪能する

「東京国立博物館」本館外観

「東京国立博物館」本館外観

上野恩賜公園の中にある東京国立博物館は、明治5(1872)年創設の日本でいちばん古い博物館で、本館は重要文化財に指定されています。収蔵品の数は約11万6000件以上にのぼり、その中には国宝88件と重要文化財634件(2016年12月現在)が含まれています。国宝収蔵数はもちろん日本一。すごいですね。
国宝 松林図屛風(右隻)長谷川等伯筆 安土桃山時代・1...

国宝 松林図屛風(右隻)長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館蔵

2017年1月2日(月・休)~1月15日(日)まで本館2室(国宝室)にて展示
トーハクの国宝の中でも、今年で14年目になる新春企画のこの時期だけにしか見られないのが、桃山時代を代表する水墨画の画人・長谷川等伯(1539~1610)の最高傑作「松林図屛風」です。

墨の濃淡のみで表現された松林とそこに漂う静粛な空気感は、見る者に思わず居住まいを正させるほどの見事さ。1年のスタートにふさわしく、身が引き締まるような水墨画の名品です。

また、「国宝 古今和歌集(元永本) 上帖(平安時代・12世紀)」のほか、「国宝 扇面法華経冊子(平安時代・12世紀)」と「国宝 舟橋蒔絵硯箱 (本阿弥光悦作。江戸時代・17世紀)」も公開されます。

※「国宝 古今和歌集(元永本) 上帖」と「国宝 扇面法華経冊子」はどちらも2017年1月2日(月・休)~1月15日(日) 本館3室にて展示
※「国宝 舟橋蒔絵硯箱」は2017年1月2日(月・休)~3月20日(月・祝) 本館12室にて展示

縁起の良い「酉」モチーフで新年のスタートを切る

2017年は酉年。
鶏は太陽を呼び、夜明けを告げる鳥として、古来より縁起の良い生き物とされています。

『古事記』上巻には天岩戸に隠れた太陽の神・アマテラスを呼び出そうと長鳴鳥(=鶏)を集めて鳴かせる話がありますね。この所伝によって伊勢神宮や熱田神宮では「神鶏」と呼ばれる鶏が放し飼いされています。また、西欧にも鶏の鳴き声が邪を祓うという伝承は多く、建物の屋根に付ける風見鶏には魔除けの意味もあるといわれています。
鶏に餌をやる男女 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 東京...

鶏に餌をやる男女 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵

2017年1月2日(月・休)~1月29日(日)まで本館特別2室にて展示
新春企画「博物館に初もうで」では、「新年を寿ぐ鳥たち」と題して「暁の鳥」・「祝の鳥」の二つのテーマで鳥モチーフの美術工芸品が展示されます。
江戸時代中期の浮世絵師・鈴木春信筆の「鶏に餌をやる男女」は、庶民の生活を叙情的に描いた名作。鶏を抱く可憐な女性の着物の柄には松が描かれ、めでたいもの尽くしの酉年の新春らしい作品です。

そして鶏の絵画といえば、江戸末期の絵師・伊藤若冲。若冲には鶏を描いた作品が数多くありますが、同企画で展示される「松梅群鶏図屏風(江戸時代・18世紀)」は色数が抑えられた雪景気の中に幾羽もの鶏が描かれた幻想的な作品。鶏が止まっている御影石の石灯籠は点描で質感が表現されています。

めでたい尽くしでパワーを充電!

新春企画「博物館に初もうで」では「吉祥をテーマにした作品」も展示されます。
「富士山」「松竹梅」「鶴」「梅鶯」など、おめでたく縁起の良い題材の美術工芸品の数々から、良い年を過ごせるようパワーをいただいてみませんか。
名所江戸百景・日本橋雪晴 歌川広重筆 江戸時代・安政3...

名所江戸百景・日本橋雪晴 歌川広重筆 江戸時代・安政3年(1856)

2017年1月2日(月・休) ~ 1月29日(日) 本館10室にて展示
展示作品のひとつである歌川広重筆「名所江戸百景・日本橋雪晴」は、広重晩年の連作「名所江戸百景」の1番目の作品です。日本橋川には魚河岸へ向かう舟が並び、日本橋を大名行列が行くその右奥には江戸城が、さらに遠景には白く雪をいただいた富士山が見えます。ゴッホやモネが模写した「名所江戸百景」の巻頭を飾るにふさわしい吉祥モチーフの正月絵です。
小袖 紅綸子地松竹鶯文字模様 江戸時代・18世紀 東京...

小袖 紅綸子地松竹鶯文字模様 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵

2017年1月2日(月・休) ~ 2月26日(日) 本館10室にて展示
また、ここ数年の着物ブームで古典柄が注目されていますが「吉祥モチーフの作品」展示の中にも素敵な柄行きの小袖があります。

江戸時代の「小袖 紅綸子地竹梅鶯文字模様」は、梅と竹が描かれた綸子地に「鶯」の文字が配されたおしゃれな小袖です。「梅に鶯」といえば調和のシンボルですし、竹も成長のシンボルでどちらも縁起物として知られるモチーフですね。

このほか「鶴」モチーフとして夭折の天才絵師・黒川亀玉筆の「芭蕉孤鶴図」、「松竹梅」モチーフとして「色絵松竹梅文瓶(伊万里)」などの展示もあります。
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こまき

こまき

歴史ライター。ワイルドサイドを歩くことを信条とする。『時の娘』をはじめとした歴史ミステリーに目がなく、読む→書く→読む→書くの無限ループのうちに日々を過ごす安楽椅子ライター。昼夜を分かたずラジオを流しているラジオ狂でもある。『姓氏家系歴史伝説大事典』『江戸東京魔界紀行』(共に勉誠出版)『社寺縁起伝説辞典』『横溝正史研究』(共に戎光祥出版)等々へ記事執筆多数。

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