戦国最弱?だけど愛された武将・小田氏治の華麗なる戦績
2018年6月12日 更新

戦国最弱?だけど愛された武将・小田氏治の華麗なる戦績

現在の茨城県にあたる常陸国の戦国武将・小田氏治。記録にあるだけでも20回近く戦に敗北するという最弱?ぶりながら、家臣や領民に慕われ、さらに上杉謙信や佐竹義重など自分を敗った武将より長生きしました。そんな氏治こと天庵が大好きな歴史ナビゲーター・歴史作家の長谷川ヨシテルさんが彼の華麗なる戦績を語ります!

長谷川ヨシテル/れきしクン長谷川ヨシテル/れきしクン

史上最弱?な戦国武将・小田氏治

小田氏治

小田氏治

最弱だけど愛された?武将・小田氏治。
ついにNHKの『歴史秘話ヒストリア』でも単独で特集され、最近ますます話題となってきた小田氏治こと「天庵」さん!
(以降は親しみを込めて出家後の法号の「天庵」さんで呼ばせていただきます)

私もいちファンなのですが、その出会いは『信長の野望 革新』(PS4)というゲームでした。
大名を選択して全国統一を目指すゲームなのですが、武将にはそれぞれ4つの能力(統率、武勇、知略、政治)が付けられています。

例えば、ゲーム名にもある「織田信長」の能力は「統率92、武勇89、知略96、政治105」といった感じです。それに対して、我らが天庵さんの能力は「統率40、武勇19、知略38、政治42」というポンコツぶりなんです!

「なんだ、この弱い武将は・・・」
ゲームではほとんど使用しませんでしたが(笑)、歴史好きになりたての私に強烈なインパクトを残してくれました。

小田氏治の居城・小田城

とにかく能力値の低かった天庵さんの歴史を実際に調べてみると、本当に弱いんです。
出身は現在の茨城県にあたる常陸国でして、小田城(茨城県つくば市)を居城としていました。
小田城(茨城県つくば市)

小田城(茨城県つくば市)

築城は文治元年(1185)と伝わる。初代の八田知家から15代の小田氏治まで、小田家代々の居城となった。小田原の北条家の支配下の際に大規模な改築が行われたという。平成28年(2016)に整備が終わり「小田城跡歴史ひろば」として公開されている。
via 写真提供:長谷川ヨシテル

小田氏治の華麗なる?戦績

実家はかなりの名門で、天庵さんは15代目にあたります。初代の八田知家は源頼朝から常陸の守護に任じられた人物です。
ここでざっくりと天庵さんの戦績をご紹介いたします。

天文15年(1546)河越城の戦い(河越夜戦)VS.北条氏康

足利・上杉連合軍の8万の軍勢の一員として参戦(初陣)!
相手は“相模の獅子”北条氏康の軍勢1万1千。
しかし氏康の奇襲によって連合軍は大敗。天庵さんは命からがら小田城へ・・・。

弘治2年(1556)海老ヶ城の戦い VS.結城政勝

支城の海老ヶ城を結城氏に攻められ、救援に向かう天庵さん!
しかし迎撃されて敗戦。ついでに小田城も落とされ、家臣のいる土浦城へと逃れます。
土浦城(茨城県土浦市)

土浦城(茨城県土浦市)

小田家の重臣・菅谷家の居城。小田城を追われた小田氏治が度々落ち延びた。水に浮いた亀の姿に似ていることから「亀城」とも呼ばれ、太鼓櫓門が現存、東櫓と西櫓が復元されている。「続日本100名城」のひとつで、現在は亀城公園として整備されている。
via 写真提供:長谷川ヨシテル

永禄2年(1559)結城城の戦い VS.結城氏

先年に敗れた結城政勝が病死して、チャンスが訪れた天庵さんは結城城を攻撃!
しかしあえなく敗戦。『関八州古戦録』という史料には「無用の戦」とディスられる(笑)。

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長谷川ヨシテル/れきしクン

長谷川ヨシテル/れきしクン

歴史ナビゲーター、歴史作家。ニックネームは「れきしクン」。 漫才師としてデビュー、「芸人○○王(戦国時代編)」(MBS、2012年放送)で優勝するなどの活動を経て、歴史ナビゲーターとして、日本全国でイベントや講演会などに出演、芸人として培った経験を生かした、明るくわかりやすいトークで歴史の魅力を伝えている。 テレビ・ラジオなどの出演のみならず、歴史に関する番組・演劇の構成作家や、歴史ゲームのリサーチャーも務めるほか、講談社の「決戦!小説大賞」の第1回と第2回で小説家として入選するなど、幅広く活動している。 著書に『あの方を斬ったの…それがしです 日本史の実行犯』(KKベストセラーズ)、『ポンコツ武将列伝』(柏書房)、『マンガで攻略! はじめての織田信長』(白泉社・原作・重野なおき、金谷俊一郎と共著)がある。 公式

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