松陰・木戸・高杉…活躍の裏にこの藩主あり!特別展「激動の幕末長州藩主 毛利敬親」
2018年6月28日 更新

松陰・木戸・高杉…活躍の裏にこの藩主あり!特別展「激動の幕末長州藩主 毛利敬親」

倒幕の中心として存在感を発揮した長州藩ですが、他藩に比べ藩主のイメージが薄い…と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、当時の長州藩主・毛利敬親(たかちか)がいたからこそ、藩士たちは活躍できたとも言えるのです。毛利敬親とはどんな人物だったのか、7月13日(金)より山口県立美術館で開催される特別展「激動の幕末長州藩主 毛利敬親」展に展示される資料とあわせ、彼の人柄や功績に迫ってみましょう。

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回り回って藩主の座に!長州藩13代藩主・毛利敬親

《毛利敬親象》(部分)E.キヨッソーネ 明治時代 山口...

《毛利敬親象》(部分)E.キヨッソーネ 明治時代 山口県立山口博物館蔵

慶応2年(1866)、三田尻(現・防府市)に停泊中の英国艦上で撮影された写真をもとに、後年キヨッソーネが描いた画。
天保8年(1837)、毛利敬親(たかちか)は長州藩13代藩主を襲封し、藩政の舵取りを任されました。

もともと敬親の家系は傍系であり、祖父は生涯部屋住みの身でした。そのため藩主になるような雰囲気ではなく、父・斉元は一度家老の福原家へ養子に出ています。ところが、10代藩主斉熈が亡くなったため、毛利に復帰し藩主となりました。
しかし斉元も、跡を継いだ斉広も藩主になってからたった20日で病死。敬親に藩主の座が回ってくることとなったのです。

長州藩13代藩主としての敬親

ただ、敬親の船出はかなり困難なものでした。前年には彼の屋敷まで浸水するほどの大洪水に襲われましたし、積み重なった借金もあり、疲弊しきった長州藩を建て直さなければならなかったのです。

藩主となった敬親は、財政の建て直しのために自ら質素倹約につとめました。絹ではなく木綿の服を着て、参勤交代の弁当まで小さくしたそうです。酒もお猪口で一杯だけにするほどだったとか。城内に田んぼをつくって自ら田植えをし、領民の苦労も知ったそうですよ。

また、藩政改革に乗り出し、家柄を問わない人材登用を行いました。吉田松陰や高杉晋作はこうして見出され、後に木戸孝允や大村益次郎、伊藤博文なども登場するのです。
《吉田松陰自賛肖像(吉田家本)》(部分)

《吉田松陰自賛肖像(吉田家本)》(部分)

松浦松洞 安政6年(1859) 山口県文書館蔵
ただその一方で、このような急進派と保守派の対立などにより、藩は一時的に暴走状態となってしまいます。これが禁門の変や下関戦争を呼び起こし、第一次長州出兵の対象となってしまったわけですね。しかし、その局面を打開したのもまた、敬親が登用した人材たちだったのです。

敬親は「そうせい侯」だった?

原田直次郎 《毛利敬親肖像》 明治23年(1890)

原田直次郎 《毛利敬親肖像》 明治23年(1890)

(山口県立山口博物館所蔵)
司馬遼太郎氏の有名な小説「世に棲む日日」では、敬親は『そうせい侯』として描かれています。
それは家臣の言葉に「うん、そうせい」と答えることが多かったためとされていますが、藩の最重要局面にはしっかりと意見を発しています。

第一次長州出兵となり、藩内でその対応について1日中議論しても答えが出ない中、敬親は「長州藩は幕府に帰順する」と一言で方針を決定したこともあります。

『そうせい侯』に徹したのは彼なりの意図があったともみられ、後に「佐幕か倒幕か、どちらか片方に肩入れすれば、自分は殺されていただろう」と回想したそうです。

その後、長州藩は倒幕へと突き進み、明治維新へと至ります。新時代の幕開けと共に敬親は隠居し、間もなく亡くなったのでした。
幕末の四賢侯には名を連ねることのなかった敬親ですが、彼のそういった姿勢が多くの人材を世に送り出し、結果的に明治維新が実現したのですから、彼の存在はやはり大きいと言えますね。

明治150年記念特別展「激動の幕末長州藩主 毛利敬親(たかちか)」

山口県立美術館で7月13日(金)~8月26日(日)に開催される明治150年記念特別展「激動の幕末長州藩主 毛利敬親」では、長州藩13代藩主・毛利敬親の生涯と事績を中心に、長州藩の歩みを、重要文化財30点を含む、200点を越える歴史資料と美術工芸品で紹介します。記事内に掲載している敬親の肖像画のほか、毛利家ならではのお宝にも注目です!

一級の歴史資料と豪華な美術工芸品も見どころ

《白地桐唐草文様陣羽織》江戸時代(19世紀) 毛利博物館蔵

《白地桐唐草文様陣羽織》江戸時代(19世紀) 毛利博物館蔵

天保14年(1843)、西洋列強の攻撃に備えて行われた軍事操練において敬親が着用したとされる陣羽織。
裏地はすべて金糸織で、藩主ならではの豪華さ!
《太刀 銘□友(伝助友)附 衛府太刀拵》野田神社蔵 重...

《太刀 銘□友(伝助友)附 衛府太刀拵》野田神社蔵 重要文化財

野田神社創建の際に奉納された毛利家伝来の太刀。まさに毛利家の格の高さを象徴する逸品。
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