【タイが泳ぐ「縁起の良い」お城?】すぐそこに海が感じられる高松城(香川県)
2017年4月18日 更新

【タイが泳ぐ「縁起の良い」お城?】すぐそこに海が感じられる高松城(香川県)

時折、初夏の日射しが眩しい季節になってきました。海を感じられる「海城」の中から、何と堀の中をタイが泳ぎおめでたい気持ちにさせてくれる日本三大水城のひとつ・高松城(香川県)をご紹介します。5月5日は無料開放日になっていますので、ゴールデンウィークの旅先におすすめですよ。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

高松城は「海城」?

日本三大水城のひとつとされる高松城。別名・玉藻城。

日本三大水城のひとつとされる高松城。別名・玉藻城。

日本100名城にも選ばれています。
日本の城には、山を天然の要害として利用した「山城」、周囲に堀をめぐらして平地に築く「平城」などの種類があります。このうち海に面する形で築かれ、船着き場などを設けた城を「海城」といいます。防御と交通路に海を活用するタイプの城で、西日本に多く築かれました。

中でも有名なのはかつて讃岐国とよばれた香川県高松市にある高松城。今治城(愛媛県)、中津城(大分県)とともに「日本三大海城」に数えられます。羽柴秀吉の水攻めで名高い備中高松城と区別するため「讃岐高松城」とも、近くの海が「玉藻の浦」と呼ばれていたため「玉藻城」とも呼ばれます。
高松城および城下町絵屏風(松平公益会蔵)

高松城および城下町絵屏風(松平公益会蔵)

高松城の実力はいかに?

高松城は代表的な海城

高松城は代表的な海城

近代化に伴って沿岸部が埋め立てられたため、現在の高松城は海岸から離れていますが、かつては城の北側が直接海に面しており、3重の堀には海水が引き込まれて軍船が城内に直接出入りができる構造になっていました。城攻めで海上を完全に封鎖することは難しく、また陸から攻撃しても海から物資や兵士を運搬することができ、いざというときには堀から船で脱出することも想定していました。

築いたのは秀吉に仕えて讃岐一国を与えられた生駒親正ですが、縄張りを手掛けたのは黒田如水(孝高)とも小早川隆景ともいわれています。しかし、実戦を経験したことはないので防衛拠点としての機能がいかほどのものかは実証されていません。
生駒親正像(弘憲寺所蔵)

生駒親正像(弘憲寺所蔵)

織田信長や豊臣秀吉に仕え、着実に知行を増やしました。

往時を偲ばせる重要文化財群

重要文化財のひとつ月見櫓

重要文化財のひとつ月見櫓

城の総面積はかつて66万㎡もありました。現在は8万㎡ほどですが、見どころは少なくありません。中でも国指定重要文化財である艮(うしとら)櫓、月見櫓、渡櫓の3つの櫓、そして水手御門が往時の威容を伝えています。

このうち水手御門は、その名の通り船に乗るための出入り口で、海城ならではの特徴です。城主はこの門から舟に乗りこんだとされ、家臣たちは隣接する月見櫓で城主の船が発着するのを見守ったといいます。そのため月見櫓はもともと「着き見」の意味だったそうですよ。

このほか、二の丸と本丸を隔てる堀に架かる橋には屋根がかかっており、その形状は刀のさやのようにみえるため「鞘橋(さやばし)」と呼ばれています。

100周年を迎える披雲閣

披雲閣内部

披雲閣内部

また三の丸には「披雲閣」という城内で最大規模の和風建築があります。明治維新後、華族となった旧藩主の松平家が別邸として大正時代に建築した建物で、建築面積は約1900㎡。142畳の広さがある大書院をはじめ、絨毯敷きで約100畳分の広さがある壮麗な「蘇鉄の間」などの各部屋は渡り廊下で結ばれ、「内苑御庭」という枯山水の庭などに面しています。

戦後、高松城の敷地は高松市の所有となったので、披雲閣の見学はもとより使用料を払えば各部屋を借りて展示会などのイベントに利用することもできます。この披雲閣ができて今年で100周年を迎え、5月3日(水)には「披雲閣100年記念寄席」が開催。香川県出身の落語家、桂こけ枝さんが出演されます。また、5月5日(金)には、玉藻公園一般開放記念で無料開放されるほか、披雲閣と月見櫓・艮櫓が一般公開(9~15時)となります。
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