織田信長、伊達政宗らが欲した香木とは?日本人とお香の歴史
2018年4月18日 更新

織田信長、伊達政宗らが欲した香木とは?日本人とお香の歴史

アロマテラピーがポピュラーになり、誰もが気軽に香りを楽しむようになった現代。その起源であり、古来より親しまれた「お香」は、貴族や武将に愛され、江戸時代には庶民にも広まるようになりました。かつては伊達政宗と前田利家、細川忠興がひとつの香木を巡って争ったといわれる、偉人と香りの関わりとともに、その歴史をご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

奈良時代:始まりは淡路島に流れ着いた一本の流木から

聖徳太子を描いたとされる「唐本御影」

聖徳太子を描いたとされる「唐本御影」

献上された香木で観音像を作ったという聖徳太子。
日本書紀によると、推古天皇3年(595)4月、淡路島に一本の流木が漂着しました。
それを燃やしてみると、何とも良い香りがしたので、人々は朝廷にこれを献上したのです。
これが日本で最初の香木で、「沈香木」と呼ばれました。聖徳太子はこれで観音像を作ったそうです。

香木が御神体!枯木神社(兵庫県洲本市)

枯木神社(兵庫県洲本市)

枯木神社(兵庫県洲本市)

国産みの神話でも有名な淡路島にある神社。
via 写真提供:淡路島観光協会
島に流れ着いた香木を御神体としたのが、枯木神社です。
淡路島では今も線香の生産が盛んで、お香との関わりが深い土地です。

香木が流れ着いた日が4月であり、「香」の字を分解すると「一十八日」となることから、4月18日が「お香の日」となりました。

平安時代:武士ながら香に通じた平忠盛

平忠盛

平忠盛

武士ながら貴族のたしなみも忘れなかった忠盛。
平安時代になると、貴族がお香を衣服に焚き染めたり、香りを鑑賞したりするようになります。香木は高価だったため、財力や権威の象徴でした。

あの平清盛の父・忠盛は、武士ながら香に通じており、こうした香の調合法を記した「香之書」を著しました。

室町時代:上流階級の間で流行した「聞香」

また、室町時代に入ると、作法に従って香を焚き香りを楽しむ「聞香(もんこう)」が上流階級のたしなみとなります。足利義政などがその中心にいました。

香木が権力者の象徴であることは相変わらずで、後に織田信長は東大寺の正倉院に収蔵されている「蘭奢待(らんじゃたい)」という香木を削り取り、その威信を天下に示そうとしています。
蘭奢待

蘭奢待

東大寺の正倉院に収蔵されている香木・蘭奢待(らんじゃたい)。天皇家の宝物で、切り取りを許されたのは、室町幕府3代・義満、6代・義教、8代・足利義政のみ、信長以後も明治天皇のみとされています。

戦国時代:ひとつの香木を巡ってバトル!

左から伊達政宗、前田利家、細川忠興。

左から伊達政宗、前田利家、細川忠興。

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