温泉を愛した武将たちの記録も!国立公文書館「温泉~江戸の湯めぐり~」展
2019年1月28日 更新

温泉を愛した武将たちの記録も!国立公文書館「温泉~江戸の湯めぐり~」展

日本人が古くから親しんできた温泉。江戸時代には、名所図会や紀行文などを通して、温泉地の情報が広く流布しました。多くの人々が訪れ、温泉は次第に湯治場としてだけではなく、行楽地としても賑わうようになります。国立公文書館では平成31年1月26日(土)〜3月9日(土)の期間、江戸時代の資料を中心に人々と温泉の関わりを紹介する企画展「温泉~江戸の湯めぐり~」を開催。その見どころをご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

資料からみる江戸の温泉文化

名所案内にみる温泉風景

江戸中期以降、名所図会をはじめとした多くの名所案内が刊行されました。箱根七湯の一つ、塔之沢の旅宿の風景が描かれた「東海道名所図会」など、本展では、江戸時代の温泉風景を名所案内から紹介しています。
七湯集(しちとうしゅう)

七湯集(しちとうしゅう)

「七湯集(しちとうしゅう)」は、江戸時代後期の文化8年(1811)に成立した箱根温泉の案内書です。江戸に住む弄花(ろうか)と文牕(ぶんそう)が箱根の箱根七湯(湯本、塔之沢、堂ヶ島、宮ノ下、底倉、木賀、芦之湯)をめぐり、温泉の効能や名所旧跡などを調べた成果がまとめられています。
via 画像提供:国立公文書館
他にも、紀行文や日記などにも温泉の情報は記されており、なかには入湯法や温泉の効能・成分を分析して解説した書物まで!
本展では、様々な観点で記された温泉に関する資料を見ることができます。

歴史上の人物ゆかりの温泉も多数紹介

古くから知られている温泉の薬用効果。日本では古代から近世まで、天皇や公家、僧侶や武将といった様々な人が、療養を目的に温泉地を訪れていました。そんな温泉を愛した歴史上の人物との関わりについても紹介しています。

豊臣秀吉も愛した「有馬温泉」(兵庫県神戸市)

有馬温泉に関する案内書「摂津国有馬山勝景図(せっつのく...

有馬温泉に関する案内書「摂津国有馬山勝景図(せっつのくにありまやましょうけいず) 」寛延2年(1749)刊

via 画像提供:国立公文書館
江戸時代の温泉番付でも、最高位に格付けされていた有馬温泉。
その有馬温泉を愛したことで知られる人物のひとりが、豊臣秀吉です。

本展に展示されている「摂津国有馬山勝景図」には、温泉地を含む有馬山の景色が彩色画で描かれ、その由来や入湯方法、さらにお土産などについても記されています。

また、秀次の側近かつ右筆だった駒井重勝による公務日記「駒井日記」では、文禄2(1593)年閏9月に熱海で湯治していた秀次が、有馬で湯治を行っている秀吉へお見舞いの手紙を送っていることも読み取れますよ。
「駒井日記」(昌平坂学問所旧蔵・全2冊)

「駒井日記」(昌平坂学問所旧蔵・全2冊)

via 画像提供:国立公文書館

温泉好きで有名な戦国武将といえば、武田信玄

 江戸時代初期に成立した「甲陽軍鑑」(紅葉山文庫旧蔵・...

江戸時代初期に成立した「甲陽軍鑑」(紅葉山文庫旧蔵・全19冊)

温泉好きで知られる戦国武将といえば、甲斐の虎・武田信玄公を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
信玄・勝頼二代にわたる治績・合戦・戦術が記載されている「甲陽軍鑑」には、村上義清と争った上田原の戦いで負傷した信玄が、甲州嶋の湯(現・湯村温泉)において30日間湯治を行ったという記録も。
via 画像提供:国立公文書館
江戸時代を中心に、様々な観点から温泉の文化を知ることができる国立公文書館の企画展「温泉~江戸の湯めぐり~」。
寒い季節こそ恋しくなる温泉。出かける前にその歴史を学べば、より味わい深い旅になりますよ。
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