【三大お家騒動】「伊達騒動」現場は東京のど真ん中だった!?
2018年3月27日 更新

【三大お家騒動】「伊達騒動」現場は東京のど真ん中だった!?

「伊達」といえば伊達政宗ですが、彼の孫の綱宗の代に起きた「伊達騒動」は、「江戸三大お家騒動」のひとつになってしまうほど、複雑で大規模なものでした。当時は歌舞伎『伽羅先代萩』として上演され、山本周五郎の小説『樅ノ木が残った』が大河ドラマにもなった「伊達騒動」をわかりやすく、意外な!?事件現場とともに紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

騒動の発端は3代藩主・綱宗の放蕩三昧!?

3代藩主・伊達綱宗

3代藩主・伊達綱宗

父は名君・忠宗。ちゃんと教育していなかったのでしょうか…。
政宗の孫に当たる伊達綱宗は、19歳で家督を継ぎました。父・忠宗は名君だったのですが、この綱宗は実によろしくない藩主だったとも言われています。というのも、放蕩三昧だったそうなんです。
吉原に入り浸っていたなどの放蕩ぶりは口実だという説もありますが、諫言しても改まらない綱宗の行状に、ついに腰を上げたのが、政宗の十男で綱宗の大叔父・伊達宗勝でした。

宗勝と家臣や伊達氏の親族大名らは、幕府に綱宗の隠居を訴え出ました。これが受け入れられると、宗勝は、綱宗の嫡子でまだ2歳の綱村の後見役となり実権を握ったのです。

原田甲斐が起こした刃傷沙汰とは?

『樅ノ木は残った』(上)

『樅ノ木は残った』(上)

山本周五郎著
新潮文庫(全2巻)

『樅ノ木は残った』は創作で、原田甲斐は幕府による取り潰しから藩を守るために尽力した忠臣として描かれています。
しかし宗勝は、奉行の原田甲斐(宗輔)と共に自分の権力を強化し、気に入った部下を贔屓するという困った政治を行ってしまいました。このことが、再び家中の紛争のきっかけとなってしまうのです。

その後、宗勝の甥と、一門の伊達宗重の所領争いの裁定が揉め、宗勝らは宗重によって幕府にその専横を訴えられてしまいました。そして、綱村の家臣と原田、宗重らが江戸に召喚され、審問を受けることになったのです。

大老・酒井忠清の上屋敷で行われた審問ですが、ここでなんと、原田が宗重を斬殺してしまいます。もちろん原田自身はすぐさま斬られ、審問の場は大混乱に陥ります。

結局、幕府の裁定は、幼い綱村の罪は問わず、宗勝や原田らを処罰するというものでした。宗勝は一関藩を改易され、原田の息子たちはみな切腹か斬首となったのです。

この事件は「寛文事件」と呼ばれ、当時は歌舞伎『伽羅先代萩』として江戸中に知れ渡りました。さらに戦後は山本周五郎によって小説『樅ノ木は残った』として人気を博し、昭和45年(1970)には大河ドラマ化され、知名度は全国区となります。

事件現場はなんと、大手町!

「庄内藩酒井家神田橋上屋敷跡」の標柱

「庄内藩酒井家神田橋上屋敷跡」の標柱

ビル敷地内の「エコミュージアム」に立っています。お見逃しなく!
via 撮影:ユカリノ編集部
庄内藩・酒井忠清の上屋敷は千代田区大手町にありました。現在は大手町フィナンシャルビルが建ち、星野リゾートのホテル「星のや 東京」や読売新聞本社、銀行の本店など日本経済の中核となる企業、団体などのビルが建並んでいます。 
将門塚にある「酒井家上屋敷跡」

将門塚にある「酒井家上屋敷跡」

標柱が建っていた場所からここまでかなりあり、上屋敷がどれだけ広かったかがうかがえます。
via 撮影:ユカリノ編集部
原田が宗重を惨殺した上屋敷の中庭は、現在「将門塚」と同じ場所にあります。

平将門の首塚である「将門塚」は、現在こそパワースポットであるものの、いろいろといわくのある場所。首塚そのものは関東大震災で崩壊し、昭和2年(1926)に再建されました。首塚がもともあった場所は不明なのですが、この血なまぐさい騒動との因果を考えずにはいられません。

改革がすべて裏目に出た4代藩主・綱村

4代藩主・伊達綱村

4代藩主・伊達綱村

「どうしてこうなった」の見本・伊達綱村。
事件の後、4代藩主となった綱村は若いながらも藩政に取り組みましたが、彼の改革はすべて裏目に出てしまい、財政を追い込むことになりました。加えて、側近を重職につけるなどの問題も出てきたのです。

そんな綱村の専制政治に対し、一族や重臣は再三諫言をしましたが、綱村は(も?)聞き入れませんでした。そのため、重臣たちは綱村の隠居願いを勝手に幕府に提出しようとまでしています。

こんなゴタゴタが、ついに将軍・徳川綱吉の耳に入ってしまいました。
このままでは改易されてしまうと、綱村の義兄でもあった老中・稲葉正住の説得により、綱村は隠居し、従弟の吉村を5代藩主に迎えることとなったのでした。

綱村は一生懸命やったようですが、政宗のようにカッコ良くはいきませんでした。輝かしい先祖も考えもの。政宗、影響力が強すぎたようですね。

(xiao)
15 件

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

ユカリノ編集部

ユカリノ編集部

全国各地の「ゆかりの」エピソードをほぼ毎日お届け。知ればもっと行きたくなる、歴史の聖地巡礼へご案内します! 公式

関連する記事 こんな記事も人気です♪

新設!「高輪ゲートウェイ駅」周辺の歴史と背景を探る【古地図と巡る江戸街並み探訪:第6回】

新設!「高輪ゲートウェイ駅」周辺の歴史と背景を探る【古地図と巡る江戸街並み探訪:第6回】

JR山手線の田町駅から品川駅の間に新設される駅が「高輪ゲートウェイ駅」とされることが発表され、色々と話題になっています。公募では下位にあった候補でしたが、「高輪」「芝浦」「芝浜」と言った歴史的名称を抑えて、一躍の採用。「ゲートウェイ」とは「玄関口」の意味。今回は、その背景や周辺の歴史を、古地図と今後の都市構想から探ってみます。
田園からおしゃれに進化!城や花街もあった渋谷の歴史【古地図と巡る江戸街並み探訪:第4回】

田園からおしゃれに進化!城や花街もあった渋谷の歴史【古地図と巡る江戸街並み探訪:第4回】

「は~るの小川は さらさら行くよ~♪」で有名な童謡『春の小川』。とても豊かで静かな自然を感じさせる、よく親しまれた歌ですが、この歌の小川、実は渋谷を流れている渋谷川のことを歌っているのです。現在ではすっかりその面影は無くし、ファッションや情報、若者文化の最先端を行く街・渋谷。昼夜を問わず賑やかなこの街の歴史を探しに行ってみましょう。
【今年も開催!しながわ宿場まつり】当代随一の宿場町・東海道「品川宿」の歴史とは?

【今年も開催!しながわ宿場まつり】当代随一の宿場町・東海道「品川宿」の歴史とは?

江戸時代、東海道53次最初の宿場町として栄えた品川宿。その伝統と文化を未来に伝え、地域の発展をめざして開催されるのが「しながわ宿場まつり」です。このエリアは正真正銘の旧東海道の品川宿。「北の吉原 南の品川」といわれ、大名行列や維新志士も通った東海道品川宿の歴史をご紹介します。
歌舞伎町は●●だった!“新しい宿場町”新宿の歴史を探検しよう【古地図と巡る江戸街並み探訪:第3回】

歌舞伎町は●●だった!“新しい宿場町”新宿の歴史を探検しよう【古地図と巡る江戸街並み探訪:第3回】

新宿というと、何を思い浮かべますか?高層ビル群、魅力的な飲食店街、オフィス街、鉄道、行き交う大勢の人々…今でこそ、押しも押されもせぬ東京の中心の一つですが、江戸時代にはどんな街並みであったのでしょうか。古地図とともに、新宿三丁目駅から四谷三丁目近辺を、江戸時代の痕跡を探しながら掘り下げてみましょう。
坂本龍馬や桂小五郎も!幕末志士ゆかりの江戸剣術道場めぐり前編【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第20回】

坂本龍馬や桂小五郎も!幕末志士ゆかりの江戸剣術道場めぐり前編【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第20回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第20回は、坂本龍馬ゆかりの千葉定吉桶町道場と江戸三大道場をめぐります。後に「位は桃井、技は千葉、力は斎藤」と評された江戸三大道場では、それぞれ歴史に名を残した志士たちが腕を磨いていました。今回は坂本龍馬ゆかりの道場を中心に、江戸の剣術道場めぐりをご案内します。
目黒は江戸の人気観光地!浮世絵にも残る当時の面影【古地図と巡る江戸街並み探訪:第2回】

目黒は江戸の人気観光地!浮世絵にも残る当時の面影【古地図と巡る江戸街並み探訪:第2回】

桜の季節には目黒川沿いが美しく彩られ、高級住宅街が広がり、おしゃれな店舗も並び立つ街、目黒。この街は、江戸時代はどのような姿であったのでしょうか。JR目黒駅界隈から東急東横線中目黒駅界隈までを、江戸時代の古地図とともに、この街の歴史を探ってみたいと思います。きっと意外な発見があることでしょう。
江戸時代、銀座は庶民の街だった!?【古地図と巡る江戸街並み探訪:第1回】

江戸時代、銀座は庶民の街だった!?【古地図と巡る江戸街並み探訪:第1回】

現在、世界中の高級店や老舗が立ち並ぶ、押しも押されもせぬ繁華街として栄える銀座、東京の象徴の一つにもなっている為か、最近は外国人観光客もかなり増えてきました。そんな街を、江戸時代からの姿を古地図から見ていくと、意外な発見が現われます。今回は、そんな銀座の歴史と魅力をご紹介していきたいと思います。
江戸の町にタイムトリップ!?深川江戸資料館【加治まやの美術館 de 江戸巡り:第5回】

江戸の町にタイムトリップ!?深川江戸資料館【加治まやの美術館 de 江戸巡り:第5回】

日本の美術や歴史が大好きなモデル・加治まやさんが、美術館を巡り江戸の文化を紹介する連載。今回は深川江戸資料館です。江戸時代末期の町並みを実物大で再現、細部までこだわった展示室は、まるで当時にタイムトリップしたかのよう。初めての人はもちろん、再度訪れたくなる資料館のディープな魅力をご案内します。
天下の名器・国宝「曜変天目」が公開中!静嘉堂文庫美術館【加治まやの美術館 de 江戸巡り:第4回】

天下の名器・国宝「曜変天目」が公開中!静嘉堂文庫美術館【加治まやの美術館 de 江戸巡り:第4回】

日本の美術や歴史が大好きなモデル・加治まやさんが、美術館を巡り江戸の文化を紹介する連載。今回は三菱財閥の2代目・岩﨑彌之助とその息子・小彌太の集めた美術品を所蔵する静嘉堂文庫美術館です。江戸をはじめとする日本や東洋の貴重な美術品のなかでも国宝「曜変天目」の所蔵で知られる美術館の魅力をお届けします。
古地図で発見!真田、黒田、毛利…東京に残る戦国武将の遺構

古地図で発見!真田、黒田、毛利…東京に残る戦国武将の遺構

関ヶ原合戦後、藩主となり江戸に藩邸を持った武将たち。東京には彼らの遺構がいくつも残されています。今回は、真田信之が東軍に参戦した真田家、黒田長政が関ヶ原で奮闘した黒田家、西軍敗北となるも減封にとどまった毛利家の遺構を、歴史をテーマにした街歩きガイドを務める岡田英之さんが古地図をもとにご紹介します。