明治天皇と乃木希典、明治の精神にふれるゆかりの神社巡り
2018年9月13日 更新

明治天皇と乃木希典、明治の精神にふれるゆかりの神社巡り

今年は明治維新150年という節目の年。明治45(1912)年9月13日は、その明治という時代と共にあった明治天皇の大喪が行われた日、そして乃木希典・静子夫妻が殉死した日にあたります。今回は明治天皇と乃木希典、そして二人の人徳を今に伝える明治神宮と乃木神社をご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

明治大帝と仰がれた明治天皇

明治天皇

明治天皇

明治天皇は嘉永5年9月22日(1852年・新暦11月3日・現在は文化の日)、京都御所でお生まれになりました。そして幕末の動乱の中で父君の孝明天皇が崩御されると、数え年の16歳で皇位を継ぎ、大政奉還、王政復古の大号令の後、年号を明治と改められました。

明治天皇が明治元年(1868年)に「五箇條の御誓文」を発布した時、同時に発せられた御宸翰(ごしんかん・天皇直筆の文書)には、明治維新への責任と覚悟を、以下のように述べています。
今般朝政一新の時に膺(あた)り
天下億兆一人も其処を得ざる時は、
皆朕が罪なれば、今日の事、朕自ら
骨身を労し心志を苦しめ
艱難の先に立云々
明治神宮本殿前の夫婦楠

明治神宮本殿前の夫婦楠

「和魂洋才」を大切に日本の近代化を導く

新しい時代になり、日本は明治2(1869)年に版籍奉還・東京奠都、明治4(1871)年に廃藩置県、明治5(1872)年に学制頒布・鉄道開通・太陽暦の採用、明治22(1889)年に大日本帝国憲法発布、明治23(1890)年に帝国議会開設と、すさまじい速さで近代化を進めました。そして明治27(1894)年の日清戦争、明治37(1904)年の日露戦争で大国に勝利し、世界を驚かせます。

明治天皇は「和魂洋才」を大切にし、日本の伝統の心を大切にしつつ西洋の優れた文物を取り入れるなど、常に国民の手本となりました。断髪も洋食も洋装も、まず明治天皇が示したことで、早く国民に浸透したといわれています。

また常に質素を旨とし、自己を律することに厳しくありました。
日清・日露戦争の時は、「戦地で戦う兵士達と苦労を共にしたい」と、どんなに寒い日でも暖房は火鉢ひとつだけ、真夏でも冬の軍服で、立ったまま執務を行ったと伝わります。
 (23833)

記憶力も抜群で、いつも丁寧に書類に目を通され、総理大臣だった伊藤博文も舌を巻いたといわれています。
明治44(1911)年、日本にとって悲願だったイギリスやアメリカとの間の不平等条約が改正されました。これは幕末に旧幕府が結んだもので、「領事裁判権の規定」(外国人が日本で犯した罪を、出身国の法律で裁く権利)や「関税自主権(日本が輸入品に対して自主的に関税を決められる権利)の欠如」など、日本が先進国として自立していくうえで、大きな障害となっていたものでした。

こうして日本は明治維新からわずか半世紀程で、極東の小国から世界五大国のひとつへと躍進することができたのです。明治天皇はその指導者として、国民から敬われました。

しかし明治45(1912)年7月30日、明治天皇は持病の糖尿病が悪化し、数え年の61歳で崩御。東京の青山で御大葬が行われ、京都にある伏見桃山御陵にお鎮まりになりました。

明治天皇をお祀りする明治神宮

高さ12mもある明治神宮の第二鳥居

高さ12mもある明治神宮の第二鳥居

via naoko
明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后をお祀りする神社です。

明治45(1912)年7月30日に明治天皇、大正3(1914)年に昭憲皇太后がご崩御されると、明治天皇を敬う多くの人々から「お二方のご神霊をお祀りし、ご遺徳を追慕する明治神宮をご創建したい」との声があがりました。

そこで皇室の御料地であった「代々木御苑」(江戸時代は肥後の加藤家や彦根の井伊家のお屋敷でした)が候補に上がり、周囲の荒れ地だった部分も含め、明治神宮が創建されることになったのです。

明治神宮の鎮守の杜の造営には、全国から10万本の木が献木され、全国から11万人もの青年団が勤労奉仕に訪れたといいます。そして大正9(1920)年に明治神宮が創建され、並行して様々なスポーツ施設などがある明治神宮外苑も完成しました。

明治神宮の創建からちょうど100年目に当たるのが2020年、東京オリンピックの年です。

この100年の間に明治神宮の森は“奇跡の森”と称される程に成長し、東京の真ん中にありながら、野生のタヌキやハヤブサが生息することでも知られています。
また深い森が外来種の侵入を防ぎ、今では絶滅危惧種となったニホンタンポポも自生しており、100年前の東京の自然を残したタイムカプセル、ともいわれています。

JR原宿駅のすぐ隣にご鎮座する明治神宮。鳥居をくぐると空気がちょっと変わる気がします。

明治神宮御苑(旧代々木御苑)

明治神宮の一の鳥居をくぐり本殿へと向かう途中、左手に明治神宮御苑があります。生涯に9万首以上もの和歌を詠まれた明治天皇は、この代々木御苑のことも多数和歌に詠まれています。園内には菖蒲池などがあり、こんこんと清水が沸く「清正の井戸」は、パワースポットとしても人気です。
パワースポットしても人気の「清正の井戸」

パワースポットしても人気の「清正の井戸」

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