【人鬼が住む城?】和仁三兄弟が守り通した田中城(熊本県)
2019年2月7日 更新

【人鬼が住む城?】和仁三兄弟が守り通した田中城(熊本県)

2019年の大河ドラマ「いだてん」の主人公・金栗四三が生まれた地として注目されている熊本県和水町ですが、この地には歴史ファンにとってもう一つの見どころがあります。それが、戦国時代に和仁氏が居城とした田中城です。肥後国衆一揆で壮絶な抵抗を繰り広げた和仁三兄弟の伝説と合わせて、ご紹介しましょう。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

肥後国衆一揆の舞台・田中城(熊本県玉名郡和水町)

戦国時代、肥後は50以上の国衆がそれぞれの領地を治めていました。そのひとりが和仁氏で、彼らが拠点としていたのが田中城です。
築城年代は不明ですが、暦応4(1340)年には史料に登場する田中城。小高い台地の上に築かれ、現在は空堀や建物、井戸跡などが残されています。
肥後国衆一揆において、和仁三兄弟が壮絶な籠城戦を繰り広げた舞台です。

和仁氏と肥後国衆一揆

「肥後の新国主となった佐々成政だが、国衆たちの反発を一...

「肥後の新国主となった佐々成政だが、国衆たちの反発を一身に受けた」

和仁氏は、当初は菊池に従い、菊池氏の没落後は大友氏に属しました。戦国時代の当主は和仁親実で、一度城を失いますが、すぐに取り戻しています。
豊臣秀吉の九州征伐の際には、親実は案内役をつとめ、本領を安堵されました。しかし、佐々成政が新たな国主としてやって来ると、肥後の国衆たちはその検地の性急さに反発し、隈部親永の挙兵をきっかけに、肥後国衆一揆が勃発します。
親実は弟の親範や親宗、妹婿の辺春親行らと共に、900の兵で田中城に籠城しました。
対する豊臣軍は、大将の小早川秀包を筆頭に、安国寺恵瓊や立花宗茂、鍋島直茂など1万もの軍勢を投入し、田中城を包囲したのです。

勇猛果敢な和仁三兄弟

「和仁三兄弟の像:左端の巨漢が三男・親宗」

「和仁三兄弟の像:左端の巨漢が三男・親宗」

親実の末弟・親宗は、身長6尺7寸(約228cm)、顔は真っ赤で眼はらんらんと光り輝き、隈のように力強い手足を持ちながら驚くほどの敏捷さを持ち合わせていたと伝わります。
その容貌から「人鬼」と呼ばれた親宗、実母が大友宗麟から与えられた南蛮女性だったというのです。
田中城籠城戦で、親宗は多くの敵を斬り伏せ、獅子奮迅の活躍を見せました。しかし、長兄・親実が辺春親行の内通によって殺害されると、形勢は一気に不利となり、次兄・親範は追いつめられ、両脇に敵兵を挟んで谷底に身を投げました。

一方の親宗は、数千の敵の包囲を突破後に行方不明になったとも、母が葬られた南蛮毛という場所で自害したとも伝わっています。
田中城は38日間持ちこたえましたが落城し、やがて肥後国衆一揆も収束に向かいました。佐々成政は責任を問われて切腹となり、この一揆が刀狩を徹底させていきます。

戦国肥後国衆まつり

2018年の第41回戦国肥後国衆まつりの様子

田中城がある熊本県和水町では、毎年2月の第2日曜日に肥後国衆一揆にちなんだ「戦国肥後国衆まつり」を開催しています。勇壮な武者行列や一揆の激戦の再現、木製のソリに大将を載せて走る「先陣修羅レース」など、見どころが盛りだくさんです。
第42回戦国肥後国衆まつり
日時:平成31年2月10日(日)午前9時30分から
場所:和水町多目的広場(三加和総合支所裏)
ご当地では伝説的な人物となっている和仁三兄弟。末弟・親宗の逸話には興味がわきますよね。「いだてん」ゆかりの地を巡る際には、ぜひ田中城にも足を運んでみてはいかがでしょうか?

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