河鍋暁斎と娘・暁翠の華麗なる父娘競演!「暁斎・暁翠伝」展
2018年4月25日 更新

河鍋暁斎と娘・暁翠の華麗なる父娘競演!「暁斎・暁翠伝」展

絵師の父娘といえば葛飾北斎とその娘・応為が浮かびますが、幕末から明治前半に活躍した絵師・河鍋暁斎にも、絵師になった長女・暁翠がいたんです。そんな河鍋父娘の作品が見られる「暁斎・暁翠伝」が東京富士美術館にて開催中。近年人気を集める暁斎の魅力と、娘に引き継がれた画業を網羅した展覧会をご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

「画鬼」暁斎と、父の情熱を受け継いだ長女・暁翠

河鍋暁斎「横たわる美人と猫」河鍋暁斎記念美術館蔵

河鍋暁斎「横たわる美人と猫」河鍋暁斎記念美術館蔵

幕末から明治前半にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎(きょうさい)。
自らを「画鬼」と称し、狩野派の絵師としてだけではなく、他の流派・画法も貪欲に取り入れ、幅広い作風を生み出しました。
その筆力、写生力は群を抜いており、海外でも高い評価を受けています。
弟子に鹿鳴館などの設計で知られるイギリスの建築家、ジョサイア・コンドルがいたことでも知られています。
河鍋暁翠「寛永時代美人図」 

河鍋暁翠「寛永時代美人図」 

河鍋暁斎記念美術館蔵
そんな河鍋暁斎の長女・暁翠(きょうすい)も、父と同じ絵師の道を選びます。
5歳のとき父に手本を与えられ、日本画の手ほどきを受けたとか。その手本を、暁翠は生涯大切に持っていたといわれています。
柔らかで色彩豊かな美人画や小児図を得意とし、ときには父・暁斎と同様の勇壮な、またユーモラスな作品を描きました。
さらに暁翠は、私立女子美術学校(現・女子美術大学)で女性初の日本画教師をつとめました。

父から娘へ、その孫に引き継がれた画業の数々

河鍋暁斎「美人観蛙戯図」河鍋暁斎記念美術館蔵

河鍋暁斎「美人観蛙戯図」河鍋暁斎記念美術館蔵

河鍋暁斎のひ孫で、暁翠の孫にあたる河鍋楠美さんが館長を務める河鍋暁斎記念美術館には、暁斎の非凡な技量をうかがわせる3000枚を超える下絵をはじめ、江戸末期から伝わる作品、資料が多く残されています。近年は研究が進み、暁斎の多彩な画業が明らかになってきました。

この展覧会では、暁斎の伝説的なエピソードとともに、断片的に紹介されてきた暁斎の魅力を総合的に展望。娘・暁翠に引き継がれ、さらに河鍋家に伝えられた画業が紹介されています。
河鍋暁斎「いせ辰千代紙 秋・赤」

河鍋暁斎「いせ辰千代紙 秋・赤」

河鍋暁斎記念美術館蔵

テキスタイルのような鮮やかな絵も!
狩野派の風格を感じさせる美人画から、歌川国芳のもとで学んだ写生力を発揮した動物画。妖気漂う幽霊画や妖怪画、ユーモアあふれる風刺画など、ひとりの人間が描いたのかと思うほど、暁斎が多彩であったことがわかります。

また、錦絵や能・狂言画で評価を受けた暁翠も、父と同様に幅広い才能を発揮していたことが実感できますよ。
河鍋暁翠「百猩々」

河鍋暁翠「百猩々」

河鍋暁斎記念美術館蔵
河鍋楠美さんによると、暁翠はとても大らかな人柄であったそう。
しかし、娘にも孫にも、画家になることはおろか、筆を持つことも禁じていたそうです。画業の苦しさを知っていたからなのでしょうか・・・。
そんな親子の情熱がつまった「暁斎・暁翠伝」にぜひ、足を運んでみてください。

「暁斎・暁翠伝ー先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄ー」

 (18510)

開催日:2018年4月1日(日)〜6月24日(日)
前期:4月1日(日)〜5月13日(日)
後期:5月15日(火)〜6月24日(日)
開催時間:午前10時〜午後5時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(祝日の場合は開館。翌平日休館)
開催場所:東京富士美術館
22 件

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

ユカリノ編集部

ユカリノ編集部

全国各地の「ゆかりの」エピソードをほぼ毎日お届け。知ればもっと行きたくなる、歴史の聖地巡礼へご案内します! 公式

関連する記事 こんな記事も人気です♪

藩主自ら脱藩!?「最後の大名」林忠崇の戊辰戦争【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第18回】

藩主自ら脱藩!?「最後の大名」林忠崇の戊辰戦争【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第18回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第18回は、昭和まで生きた最後の大名・林忠崇ゆかりの地。請西藩の第3代藩主でありながら、大名自らが脱藩してしまうという異色の経歴を持つ稀有な人物でもあります。あまり知られていない人物ではありますが、彼の戊辰戦争の軌跡を辿れば、きっと興味がわくはずですよ。
日本警察の父・川路利良ゆかりの品とその軌跡【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第15回】

日本警察の父・川路利良ゆかりの品とその軌跡【小栗さくらがゆく!幕末維新のみち:第15回】

歴史タレント・小栗さくらが、幕末維新ゆかりの場所を旅する連載。第15回は、現在の警視総監にあたる初代大警視・川路利良ゆかりの地。川路ゆかりの品が多く展示されている東京の警察博物館を中心に、出生地・鹿児島にある銅像まで、その生涯を辿ります。
戊辰戦争150周年の今こそ見るべき!国立公文書館『戊辰戦争―菊と葵の500日―』展

戊辰戦争150周年の今こそ見るべき!国立公文書館『戊辰戦争―菊と葵の500日―』展

明治維新、そして戊辰戦争から150年の今年、全国各地で関連イベントが開催されています。2018年5月26日~6月30日まで東京・国立公文書館では「戊辰戦争―菊と葵の500日―」と題した企画展が開催中。日本各地で行われた戦闘の記録や、参加した人物にまつわる資料から、戊辰戦争の実像に迫ります。同館ならではの豊富な所蔵品は必見!その展示内容をレポートします。
激動の時代を生きた「最後の浮世絵師」月岡芳年の画業を辿る

激動の時代を生きた「最後の浮世絵師」月岡芳年の画業を辿る

まるで現在の漫画のような躍動感のある月岡芳年の浮世絵。歴史好きなら一度は見たことのあるのでは?幕末に生まれ明治にかけて活躍した芳年の展覧会「芳年ー激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が8月5日(日)より練馬区立美術館で開催されます。最後の浮世絵師と呼ぶにふさわしい画業を堪能できる貴重な機会です。
2018年は明治維新150年!夏に開催のおすすめ企画展5選

2018年は明治維新150年!夏に開催のおすすめ企画展5選

明治維新150年にあたる今年。高知や山口などの主要箇所もちろん、全国各地で企画展が開催されています。普段の歴史旅や夏休みにプラスしたい企画展の内容をご紹介します。
【 理想の上司!?】兄・隆盛に劣らず有能だった!西郷従道の生涯

【 理想の上司!?】兄・隆盛に劣らず有能だった!西郷従道の生涯

2018年の大河ドラマ「西郷どん」の主人公・西郷隆盛は、日本人では知らぬものがいないほどの有名人。その実弟である従道にはいまいち光が当たっていませんでしたが、実は兄に負けじと有能だったのです。「西郷どん」では錦戸亮さんが演じ、さらに注目度が高まる従道の生涯とゆかりの地をご紹介します。
【始まりからサンタまで】日本初のクリスマスゆかりの地

【始まりからサンタまで】日本初のクリスマスゆかりの地

日本におけるクリスマスの歴史は古く、天文21年(1552)、現在の山口市にあった教会で降誕祭のミサが行われたことが始まりとされます。その後、鎖国によって消えてしまいますが、明治期の禁教令の廃止と共に復活。やがて日本の冬を彩る一大イベントとして定着しました。今回は始まりから、日本初のサンタにケーキ、イルミネーションまで、初づくしのクリスマスとゆかりの地をご紹介します。
「日本男色史巡り 第4回:幕末・明治の男色」新撰組局長、近藤勇も悩んだ幕末・明治の男色の流行!?

「日本男色史巡り 第4回:幕末・明治の男色」新撰組局長、近藤勇も悩んだ幕末・明治の男色の流行!?

日本の男色史を、ゆかりの品や場所とともにご紹介する連載『日本男色史巡り』。第4回は、次回大河ドラマ「西郷どん」の舞台、幕末・明治。新撰組局長、近藤勇も悩んだ、幕末・明治の男色隆盛の理由とは?
【逃げの小五郎】桂小五郎(木戸孝允)が潜伏した兵庫県出石

【逃げの小五郎】桂小五郎(木戸孝允)が潜伏した兵庫県出石

維新の三傑の一人、桂小五郎(木戸孝允)。大河ドラマ『西郷どん』では玉山鉄二さんが演じています。「逃げの小五郎」とも呼ばれ、一説には池田屋事件で屋根を伝って逃げたとも言われます。彼は禁門の変後、幕府の追っ手の目をかいくぐり潜伏生活を続けました。協力者のおかげでなんとか逃亡を成功させた桂ですが、彼が潜伏したのはどんな場所だったのでしょうか。
西郷隆盛も好物のスイカを買っていた日本橋・千疋屋総本店

西郷隆盛も好物のスイカを買っていた日本橋・千疋屋総本店

夏といえばスイカ。その歴史は古く、あの西郷隆盛も好物だったといいます。西郷が江戸に住んでいた際、スイカを購入したといわれるのが、皆さんもご存知のあの有名果物店でした。今回は西郷とスイカにまつわるエピソードを紹介します。