天下五剣「三日月宗近」復元プロジェクトって?剣豪将軍・足利義輝ゆかりの刀
2016年12月29日 更新

天下五剣「三日月宗近」復元プロジェクトって?剣豪将軍・足利義輝ゆかりの刀

室町幕府第13代将軍・足利義輝。永禄の変で刺客が攻め込んでくると数ある名刀を畳に刺し、刃こぼれする度に新しい刀に持ち替え奮戦した…というのは後世の創作の模様。ですが義輝が数多の名刀を所有したこと、勇猛な人物だったことは本当のようです。そんな足利義輝ゆかりの刀の一部を、逸話と共にご紹介します。

ユカリノ編集部ユカリノ編集部

夢の鬼を切り伏せた鬼丸国綱

「鬼丸国綱」

「鬼丸国綱」

鎌倉幕府の初代執権・北条時政が作らせたといわれる太刀。天下五剣の一つ。
「太平記」に書かれた伝説によると、時政は毎晩夢の中で鬼に苦しめられますが、ある日夢枕に刀の化身と名乗る老人が現れます。
老人いわく、「汚れた手で触られてしまい、錆びて鞘から出られない。手入れをしてくれれば鬼を退治してみせよう」とのこと。

時政が刀の錆を拭って立て掛けると、刀がふと倒れ、傍にあった火鉢の脚を斬ってしまいます。
しかしよく見れば、その脚は鬼があしらわれたもの。
これ以来、時政が夢で鬼に苦しめられることはなくなり、記念して刀に「鬼丸」という号をつけたと言われています。


鬼丸は北条家に受け継がれ、後に新田義貞、斯波高経、足利尊氏へと渡し、以来足利家重代の宝刀として大切にされました。
義輝の弟である室町幕府最後の将軍・義昭から豊臣秀吉に送られ、徳川家康へと渡り、明治維新を迎えると明治天皇へと献上され、現在も皇室所持となっています。

魔を退ける国宝・大典太光世

鬼丸国綱と並んで足利家重代の宝刀とされたのが、大典太光世。
平安時代に作られた太刀で、鬼丸国綱と共に義昭から豊臣秀吉に送られ、その後加賀の前田家に伝わりました。

大典太の名は、前田家でつけられたもの。前田家は家宝として刀をもう1振り持っていましたが、こちらの方が刀身が長かったことから「大伝太」と呼ぶようになったそうです。

大典太は試し切りから切れ味の良さも証明されていますが、魔除けの効果も期待されていました。
秀吉所有時代、暗い夜道を歩いていると怪異現象があったと言われるなか、大典太を持っていると怪異に遭わなかったという話があります。
また、病魔を退散させるともいわれ、重い病にかかると大典太を貸してくれるよう頼んだり、反対にお見舞い代わりに貸し出すということもあったようです。

現在も、大典太は前田家ゆかりの組織である前田育徳会が管理しています。

天下五剣でもっとも美しいと言われる三日月宗近

「天下五剣」の中でももっとも美しい刀と言われてい三日月宗近。平安時代に作られた太刀で、「三日月」の名は刀身に三日月型の刃紋が多数見られることからつけられました。ちなみにこの刃紋、江戸時代には幸運の象徴と考えられる向きもあったようです。

義輝は、永禄の変で三好三人衆・松永久秀が襲撃してきた際に、この三日月宗近などをふるって奮戦したという俗説があります。(ただし、義輝の武勇伝が確認できる史料にはその名は書かれていないようですが…。)

三日月宗近はその後、足利家重代の刀として受け継がれますが、後に豊臣秀吉の正室・寧々から徳川家へと渡りました。
国宝に指定され、現在は東京都台東区にある東京国立博物館に収蔵、時々展示もされています。
三日月宗近は、ゲーム「刀剣乱舞」の人気キャラクターとしても広く知られるようになりました。

2017年1月6日(金)〜15日(日)池袋・サンシャインシティで開催される『刀剣乱舞-本丸博-』では、この「三日月宗近 生ぶ復元プロジェクト」もお披露目されるようです。

平安時代につくられた三日月宗近を現代の刀鍛冶が復元することは出来るのか。
試作された影打「復元 三日月宗近 影」が展示予定だそうなので、刀剣好きはぜひとも見てみたいところ。

2017年も刀剣ブーム継続!武将ゆかりの刀剣を見に行こう

いかがだったでしょうか。
足利義輝が所有したといわれる刀は他にもたくさんあります。面白い逸話があるもの、現物を見る機会があるものも少なくありません。

2015年から巻き起こっている刀剣ブームの流れで、今後数年は珍しい刀剣にお目にかかる機会も増えそうです。
この機を逃さないよう、是非チェックしてみてください。

(Sati)
14 件

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

ユカリノ編集部

ユカリノ編集部

全国各地の「ゆかりの」エピソードをほぼ毎日お届け。知ればもっと行きたくなる、歴史の聖地巡礼へご案内します! 公式

関連する記事 こんな記事も人気です♪

刀剣ファン垂涎!京都国立博物館初の刀剣展「京のかたな」がいよいよ開催

刀剣ファン垂涎!京都国立博物館初の刀剣展「京のかたな」がいよいよ開催

9月29日(土)より京都国立博物館で開催される「特別展 京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ」。同館では120年の歴史上初となる大規模刀剣特別展となり、その豪華すぎるラインナップが注目を集めています。刀剣に詳しい方もそうでない方も、開催前にその見どころを改めてチェック!
戦国に生きた細川ガラシャ、父・明智光秀の実像に迫る「細川ガラシャ展」

戦国に生きた細川ガラシャ、父・明智光秀の実像に迫る「細川ガラシャ展」

細川家ゆかりの名品が展示されている永青文庫展示室。その開設10周年を記念し、熊本県立美術館で好評開催中の特別展「細川ガラシャ」。なぜガラシャは今も人々を惹きつけてやまないのか?戦国の乱世を生きた彼女の実像に迫る本展には、父・明智光秀に関する新史料や「本能寺の変」関連文書、夫・細川忠興の愛刀「歌仙兼定」など話題の品が勢ぞろい。注目の特別展の模様をレポートします。
京博初の刀剣特別展から、戊辰150年関連も!2018年9月歴史イベントまとめ

京博初の刀剣特別展から、戊辰150年関連も!2018年9月歴史イベントまとめ

歴史的にも様々な節目を迎える今年の秋は、記念イベントが各地で開催。没後160年の歌川広重記念展から、会津では戊辰150年特別展や恒例のお祭りも。そして京都ではお待ちかねの刀剣特別展がいよいよ開幕。どれも見逃せない2018年9月の歴史イベントを厳選して紹介します。シルバーウィークのお出かけの参考にどうぞ!
長光、景光など貴重な刀剣集結!備前長船刀剣博物館の特別展「古今東西刀匠・職方列伝パートⅡ」

長光、景光など貴重な刀剣集結!備前長船刀剣博物館の特別展「古今東西刀匠・職方列伝パートⅡ」

2018年に開館35周年を迎える岡山県瀬戸内市の備前長船刀剣博物館。その記念として6月29日(金)~9月2日(日)、特別展「古今東西刀匠・職方列伝パートⅡ」が開催されます。「友成」をはじめとした「長光」「景光」などの備前刀や、来派の「国俊」、広島県重要文化財に指定された「助国」など、貴重な刀剣が県内外から集結。刀剣ファンは必見です!
歴史旅のお供に!夏の旅行に使える便利グッズ5選

歴史旅のお供に!夏の旅行に使える便利グッズ5選

そろそろ夏の旅行先も決まってくるこの時期。今回は旅先にあると便利な歴史グッズを厳選してご紹介。日焼けや虫対策など実用的なものから、旅の雰囲気を盛り上げるものまで。自分はもちろん、友人へのプレゼントにもぜひチェックしてみてください!
戦国一の猛将・本多忠勝の名槍「蜻蛉切」がゆかりの地・岡崎で公開

戦国一の猛将・本多忠勝の名槍「蜻蛉切」がゆかりの地・岡崎で公開

6月2日(土)より愛知県の岡崎市美術博物館で開催される「名刀は語るー美しき鑑賞の歴史ー」。静岡県三島市の佐野美術館の収蔵品より、国宝・重文含む約100件の名刀、刀装具が揃います。目玉は何と言っても本多忠勝愛用の名槍「大笹穂槍 銘 藤原正真作(号 蜻蛉切)」の展示。戦国&刀剣ファンは必見です!
織田信長、伊達政宗らが欲した香木とは?日本人とお香の歴史

織田信長、伊達政宗らが欲した香木とは?日本人とお香の歴史

アロマテラピーがポピュラーになり、誰もが気軽に香りを楽しむようになった現代。その起源であり、古来より親しまれた「お香」は、貴族や武将に愛され、江戸時代には庶民にも広まるようになりました。かつては伊達政宗と前田利家、細川忠興がひとつの香木を巡って争ったといわれる、偉人と香りの関わりとともに、その歴史をご紹介します。
刀のせいで眼病に?丹羽長秀と妖刀「あざ丸」

刀のせいで眼病に?丹羽長秀と妖刀「あざ丸」

織田信長からも「ズッ友」認定された、地味ながらも織田陣営で確固たる存在感を発揮した武将・丹羽長秀。しかし妖刀「あざ丸」を所有したことによりあることに悩まされたとか・・・のちに熱田神宮に奉納された「あざ丸」とは、どんな刀だったのか?その由来とともにご紹介します。
刀剣女子必見!新しくなった刀剣博物館の魅力と「現代刀職展」の見方

刀剣女子必見!新しくなった刀剣博物館の魅力と「現代刀職展」の見方

国宝・重要文化財の刀剣を所蔵し、その保存と研究に励む「刀剣博物館」が墨田区両国に移転、2018年1月にオープンしました。新しくなった刀剣博物館の魅力と現在開催中の企画展「現代刀職展」の見どころを、「歴☆女子会」主宰で、刀剣にも詳しい磯部深雪さんがたっぷりご紹介します。
【足利学校、鑁阿寺、美人弁天まで】足利氏ゆかりの地・足利市のオススメ史跡

【足利学校、鑁阿寺、美人弁天まで】足利氏ゆかりの地・足利市のオススメ史跡

南北朝時代の偉人・足利尊氏を輩出した足利氏の本拠地である栃木県足利市。昨今では刀剣ブームにより足利ゆかりの刀工が注目され、多くの刀剣ファンでにぎわっています。そこで本稿では足利氏ゆかりの地・足利市のオススメ史跡をご紹介。この機会にぜひ、足利氏の歴史と文化にふれてみてはいかがでしょうか?